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“お水”の女性が「ガラガラ声」になる理由

2016-10-19 21:30:30


執筆:南部 洋子(看護師)
監修:坂本 忍(医師、公認スポーツドクター、日本オリンピック委員会強化スタッフ)
声がかすれてハスキーな状態になっている状態を、「酒焼け」したなどといいますよね。
酒焼けというと、スナックのママさんだとか居酒屋のおかみさんなどが、そのようなイメージで描かれることが多いですよね。
しかしそれはなぜでしょうか?
またそのガラガラ声は、本当にアルコールのせいなのでしょうか? 医学的な見地から分析してみます。

のどの構造と発声のメカニズム


ガラガラ声になることを「のどがかれる」と表現するように、のど(咽喉)は発声のための重要な役割を担っています。
まずはのどの構造について見ていきましょう。
咽頭(いんとう)は、口腔と食道の間を指し、ここには扁桃腺や耳管の開口部があります。咽頭の奥は食道と気管に枝分かれしており、この枝分かれした部分から気管までを喉頭(こうとう)と呼びます。
喉頭の上端には飲み込んだものが肺に向かわないように被せる「フタ」状の構造があり、これを喉頭蓋(こうとうがい)といいます。
喉頭は、喉頭蓋から気管までの間の部分で、男性だとのどぼとけが出ている部分です。
喉頭の枠組みは軟骨でできており、内部には2つのヒダ状の部分があり、上のヒダが仮声帯、下のヒダが声帯です。
この声帯・仮声帯が声を出す器官です。
声帯は喉頭の左右に付いているヒダで、カーテンのように中央が開閉します。肺から出る空気がこのヒダを通過する際に起こる振動が声になります。そして声帯の開閉は、喉頭軟骨および喉頭筋によって行われます。

ガラガラ声の酒焼けとはどんな状態か


では、のどが「焼ける」とはどのような状態でしょうか?
お酒に酔うと、脈拍数が増えて呼吸の回数も増します。普段以上に頻繁にのどを空気が出入りすることで、気管の粘膜の水分が奪われることになります。
また酒席では大きな声で話をすることが多いですし、多弁にもなります。つまり、のど(声帯)を酷使している状態です。
さらに、カラオケなどで歌を歌う、また喫煙や受動喫煙などが重なって、のどがただれてしまいます。
これによって、声帯の閉鎖が完全に行われず、声がかすれることになります。
飲食業などで毎日こうした環境にいると、常にのどがただれ、いつも声がかれた状態になるのです。

もしもガラガラ声になってしまったら


酒焼けだけでなく、風邪などのために声帯が炎症を起こすと同じように声が出しにくくなります。その場合は、できるだけ声を出さないようして、のどを休めることが大切です。
内服薬で炎症を抑えることも可能なので、ひどい場合は耳鼻科を受診することが良いでしょう。
無理に声を出していると、声帯ポリープができることにもつながります。場合によっては手術が必要になることもあります。

酒やけを防止する食べ物


のどの調子が気になる人は、ビタミンA(レバー・卵黄・人参など)やビタミンE(かぼちゃ・もろへいや・ナッツ類など)を意識して摂りましょう。これらが不足すると皮膚や粘膜を傷めやすいのです。
また、ウナギ、納豆、バナナ、牡蠣などビタミンB群を多く含む食品も、粘膜の健康維持に効果的です。ほかにも、ショウガ、ハチミツ、金柑、大根、長ネギなどがのどに良いとされています。

お酒を飲む時は、のどの粘膜を傷めないように、できるだけ乾燥や刺激を避けましょう。
水を飲んでからのどを潤してから話す、大きな声で話をしない、喫煙者の多い部屋では時々外の空気を吸うといったことを心がけます。
そして、なんといっても飲み過ぎないことが肝心です。

<執筆者プロフィール>
南部 洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師・株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。タッチケアシニアトレーナー

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情報提供元: mocosuku

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