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起きたいのに、起きられない…。病気なの?原因は?

2016-12-26 12:00:27


執筆:井上 愛子(保健師、看護師)
医療監修:株式会社とらうべ

「朝、起きるのがつらい」「なかなか起きられない」こういったことはありませんか?
ゆっくりと起きられるのならいいですが、そうは言っていられないことも多いでしょう。起きたいのに起きられない原因は、意志が弱い、怠けているせいだけではありません。
その原因を知り、すっきり目覚めて気持ちの良い朝を迎えましょう。

睡眠のリズムと睡眠時間


ヒトの睡眠は、脳が休息している深い眠りの「ノンレム睡眠」と、身体が休息している浅い眠りの「レム睡眠」がセットになり、4~5回繰り返しています。
この1セットは約90分で、睡眠時間としてはおよそ6~7.5時間になります。なかにはこの時間より短くても大丈夫な方もいますが、健康を保持するためには7~8時間の睡眠時間が必要ともいわれています。
そして睡眠の中で最も深い眠りに入るのは、眠りについてから3時間ほどで、その後はだんだんと浅い眠りになっていきます。
この深い眠りが妨げられたり、睡眠の時間がとれないことで身体と脳は充分に休めずに、起きるのがつらい、起きられないといったことが起きるのです。
また疲れがたまっていたり、睡眠不足が続くと、より睡眠時間が必要になり、朝起きられなくなる原因となります。

睡眠の質を上げて朝すっきり目覚める


「睡眠時間は充分にとっているのに、朝起きられない」このような場合は、もしかしたら「睡眠の質」が影響しているのかもしれません。
睡眠の質が下がると、時間としては十分に睡眠をとっていても脳や身体が充分に休めません。
では、睡眠の質を下げるものをみていきましょう。

睡眠時の環境


質の良い睡眠には、自分に適した寝具であることが重要になります。枕の高さが合わない、マットが身体に合わないことは、睡眠の質を低下させます。
また寝室の環境(静かさ・明るさ・温度)も睡眠に影響を与えます。とくに明るさ、光は睡眠にとって重要です。
夜間に明るい状況で眠ることは、睡眠ホルモンとよばれる「メラトニン」の分泌を抑制するといわれています。

入眠前の飲酒・食事


お酒を飲むと眠くなり、ぐっすりと眠れた感じがします。
ところが、実際にはアルコールを分解する際につくられる「アセトアルデヒド」という物質が、脳を興奮状態にするため睡眠を浅くします。
また、入眠前の食事も胃腸の活動が活発になり、睡眠を妨げる原因となります。

体内時計の乱れ


身体には体内時計があり、体内時計によって眠る時間と起きる時間が決まっていきます。この体内時計の乱れは、夜に寝付けず、朝起きられないことにつながります。
休日に夜遅くまで起きて、休みの日は昼まで寝ていることはありませんか?
不規則な生活が体内時計の乱れる原因となります。また、短時間の昼寝はいいのですが、長時間昼間に睡眠をとることも体内時計の乱れとなり、夜間の睡眠の妨げになります。

ストレス・自律神経の乱れ


ストレスがあるときに、寝付けなかったり、夜間に起きてしまう経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。
過剰なストレスや極度の緊張状態は、身体の機能を調整している「自律神経」のバランスを崩してしまいます。本来、眠るときは身体をリラックスさせる「副交感神経」が働くのですが、「自律神経」が乱れることで、身体を活性化させる「自律神経」が働きます。
そのため、眠ろうとしても身体が休息モードに入ることができず、眠りが浅いものになってしまうのです。

朝起きられなくなる病気って?


睡眠は、環境や生活習慣に大きく影響を受けます。しかし、それ以外にも朝起きられなくなる原因として、次のような病気も考えられます。

睡眠相後退症候群(すいみんそうこうたいしょうこうぐん)


「睡眠相後退症候群」とは、睡眠の時間帯が遅い時間にずれてしまう状態、昼夜が逆転した状態です。なかなか寝付くことができず、眠る時間が遅くなる一方で、寝付くとぐっすりと寝てしまうため、朝早く起きることができません。
無理に起きても、頭痛や頭が重い、眠気が強い、食欲の低下や疲れやすいといった症状がみられます。
思春期~青年期に発症しやすく、体内時計そのものが壊れている、体内時計を調整する働きがうまくいかないことが原因と考えられています。

起立性調節障害(きりつせいちょうせつしょうがい)


「起立性調節障害」は、「自律神経」の調節が上手くいかないことで、本来午前中になれば活性化する「交感神経」が活動せずに、後ろにずれ込みます。身体を活性化させる「交感神経」が働かず、十分な血流が脳や全身にいかないため、朝起き上がることが辛くなるのです。
逆に夜には「交感神経」の働きが活動的なため、寝付けなくなります。思春期に多く起こる病気で、成長するにつれて症状が軽くなることが多いです。
しかし、成人してからもストレスなどが原因となって引き起こることもあります。

睡眠時無呼吸症候群(すいみんじむこきゅうしょうこうぐん)


睡眠時無呼吸症候群は、眠っている最中に呼吸が止まる病気です。呼吸が止まってしまうので、充分な酸素が脳と身体にいかず、それを補うために心拍数が増えます。
つまり、寝ている間も脳や身体に負担がかかっている状態なのです。そのため、時間としては充分にとっていたとしても、ノンレム睡眠が少ない、深い眠りが少なくなります。
朝起きられないだけでなく、日中も眠気がある、居眠りしてしまうといった症状もみられるのです。
朝起きられない原因をみてきました。朝起きられないことは、一日の始まりに影響を与えるものです。
また、それだけでなく睡眠に何らかの問題を抱えている可能性もあるのです。健康に過ごすためにも欠かせない睡眠。
朝起きられないことを意思の弱さのせいだけにせず、一度生活を振り返る機会としましょう。
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社とらうべ社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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情報提供元: mocosuku

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