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イーロン・マスクの「X」にNO、SNSの新星が続々登場 アメリカSXSWで新たなネット革命を目撃した

経済
2025-03-22 09:48

テクノロジーの祭典「サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)」で注目を集めたのは、ビッグテックへの反発から生まれた新興SNSの動きだ。


【画像でみる】SXSW現地の様子 SNSの新星が続々登場


X(旧ツイッター)の社内プロジェクトから誕生した「ブルースカイ」が急成長を遂げる一方、独自のSNS開発に挑戦するZ世代の若者も登場。ビッグテックの支配に抗う新たな潮流が見えてきた。


米国テキサス州オースティンで開催されたSXSW。テクノロジーと音楽、映画の祭典として知られるこのイベントには、例年世界中から約5万人規模の参加者が集まる。1000以上の講演が行われ、コンサートや映画上映も多数開催される中、今年のトレンドとして浮かび上がったのが「SNS」だ。


特に注目を集めたのは、メタやグーグル、Xなどのビッグテックに対する批判の高まりと、それに対抗する新興SNSの台頭である。


「ビリオネア・プルーフ」を掲げる「ブルースカイ」

SXSWの基調講演に登壇したのは、Xの対抗馬とも言われる新興SNS「ブルースカイ」のジェイ・グレーバーCEOだ。


ブルースカイは、もともとツイッターの社内プロジェクトとして始まったSNSで、2024年2月にサービスを開始した。


見た目はXと同様の短文投稿型だが、サービスのサーバーを複数に分けることでデータが分散される仕組みを採用。ユーザー自身が情報を管理できる「非中央集権型」のSNSとして注目を集めている。


イーロン・マスクのツイッター買収後にユーザーが殺到し、わずか4ヶ月でユーザー数が3200万人を突破。倍増のペースで成長を続けている。


グレーバーCEOが講演で強調したのは、「ビリオネア・プルーフ」という特徴だ。これは「億万長者に耐性がある」という意味で、分散型かつオープンソースの仕組みを採用しているからこそ実現できるという。


「もし億万長者がやってきて、ブルースカイを買収したり、乗っ取ったりしても、ユーザーは自分のデータを持って別のアプリに移行できる」とグレーバーCEOは説明した。


SXSWの運営幹部も、「ブルースカイには、私たちが2007年に感じていたSNSの可能性を体現している」と評価。イーロン・マスクによって変貌を遂げたXを意識した発言と受け取れる。


TikTok買収を目指す大富豪の挑戦

SNSを取り巻く話題でもう一つ注目を集めたのが、TikTokの行方だ。


トランプ大統領は、TikTokの米国事業の売却に関する決定を4月5日まで延期。その中で、買収候補者の一人として名前が挙がっているのが、アメリカの大富豪フランク・マッコート氏だ。


マッコート氏はSXSWに登壇し、「現在のインターネットがビッグテックのような一部のプレイヤーに権力が集中し、監視社会になってしまっている」と指摘。


アメリカで1億7000万人のユーザーを抱えるTikTokを買収し、ブルースカイのような分散型のSNSに移行させる構想を明らかにした。


マッコート氏らの団体は、TikTokアメリカ事業の買収のために、すでに投資家から200億ドルを調達。会場に集まった若いインフルエンサーや中小事業者たちは熱心に聞き入っていた。


Z世代が挑む新しいSNSの形

SXSWでは、ビッグテックに挑戦するZ世代の姿も印象的だった。


ミズーリ州の大学4年生、エマ・レンブケさんは、12歳の時にInstagramを使い始めて摂食障害になった経験から、「ログオフ運動」を立ち上げた。


現在、エマさんはZ世代のための新しいSNSを作ろうと活動している。


Z世代の意見を集め、開発者たちにプロトタイプを作ってもらい、ベンチャーキャピタルなどからの資金調達で規模を拡大する計画だ。


「新しいビジネスモデル、新しい投資、そういったものが必要です。多くの創造性が求められますが、それこそが私たちの世代が最も得意とすることです」とエマさんは語る。


ビッグテックが圧倒的な資金力で市場を支配する中、こうした新しい試みが実を結ぶかどうかは未知数だ。


しかし、エマさんは「私たちは1万人だけが使うようなものを作ろうとしているわけではありません」と意気込む。


年齢に関係なく、「行動する人たち」に大きな舞台で話す機会が与えられる様子からは、アメリカらしさが感じられた。


ビッグテックへの批判が高まる中、新たな可能性を秘めたSNSの誕生に、世界中から注目が集まっている。


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