アメリカの中間選挙、景色が一変しました。これまでアメリカでは、大統領と議会の上院・下院ともに赤の共和党が多数派を占める「トリプルレッド」でしたが…一転、議会は青く塗り替えられることになりました。国民から示された厳しい審判にトランプ大統領は…。
【写真を見る】投票締め切られた後、トランプ氏が自身のSNSで投稿した帽子
■上院・下院ともに民主党が過半数を獲得
アメリカ全土で中間選挙の投票=VOTEが締め切られた後、トランプ大統領がSNSに投稿したのは「VETO」と書かれた帽子でした。
VETOとは、「拒否権を行使する」を意味します。トランプ氏率いる共和党の大敗が伝えられる中、議会への対決姿勢を示したものと見られます。
大統領任期4年の中間で行われ、残り2年の政権運営を左右する中間選挙。
議会上院100議席のうち35議席と下院の全議席が改選されましたが、現地メディアは「上院・下院ともに民主党が過半数を獲得することが確実になった」と伝えています。
■「共和党は変わってしまった」崩れた牙城
その勢いを象徴したのが、「共和党の牙城」と言われる南部テキサス州です。
民主党 タラリコ候補
「我々はテキサスを取り戻した」
MAGA派の戦士と言われた共和党のパクストン氏をやぶり、民主党の新人タラリコ氏が当選を確実にしました。
テキサスの上院選で民主党が議席を獲得するのは38年ぶりのことです。
――どの政党に投票した?
有権者
「民主党です。トランプ氏は好きではない。世界からどう見られているのか考えると恥ずかしいです」
以前は共和党を支持していた女性も、近年、民主党に投票しているそうです。
有権者
「共和党は変わってしまいました。今の価値観には賛同できません。大企業のことしか考えていませんから」
■ブルーウェーブの中、トランプ氏は「“拒否”スタンプを押して返す」
フタをあけてみれば、激戦が伝えられたメーン、ミシガン、オハイオ、アイオワ、カンザス、テキサス、アラスカの7つの州の上院選では、開票が続くアラスカ州を除いた全てで民主党が勝利を確実にしました。
「共和党優勢」と見られていたサウスカロライナ州でも、民主党が議席を獲得するなど、トランプ氏の想定以上に「ブルーウェーブ(=民主党の波)」が広がった形です。
FOXニュースの番組に電話で出演したトランプ氏は…
トランプ大統領
「少し驚いている。もっと良い結果が出ると思っていた。私の名前が投票用紙にあれば、有権者は投票に行ったはずだ」
その上で、過半数を民主党が握ることになった議会との向き合い方について問われると…
トランプ大統領
「(民主党が)主導権を握っているわけではない。意気揚々と法案を送ってきても、“拒否”スタンプを押して送り返す」
今後、アメリカ政治は前へ進むのでしょうか?
■背景にあるトランプ政権への不満や怒り
小川彩佳キャスター:
日本時間4日午後10時半時点での開票速報では、野党・民主党が上下両院で過半数を獲得する見通しとなっています。地図からも、激戦州で民主党のシンボルカラー青が広がっているのが分かります。
ニコラス・エドワーズさん:
この結果は一言で言うとファンタジーです。今回の選挙の中ではとても注目が集まっていた1か所かなと思いますが、今年34歳の僕が生まれてから、南部のテキサスが青(民主党)に染まったことは一度もありませんでした。
それだけではなく、東海岸の南にあるジョージア州、特にノースカロライナ州は100年弱、青に染まったことがありませんでした。
今まで絶対的に「この州は共和党だ」「この州は民主党だ」と考えられてきたところで、それを突破できたのが、すごく久しぶりというか初めてのような感覚です。根底から覆されていくような感覚があり、非常に驚きました。
涌井文晶 ワシントン支局長:
トランプ政権が招いた「インフレ物価高」。この経済政策の失政への不満や怒りが、投票の大きなうねりに繋がったと感じています。
今回94年ぶりに上院で民主党候補が勝利した、農業が盛んな中西部のカンザス州に取材に行きました。そこでは、イランへの攻撃が原因で燃料価格の上昇に加えて、輸入肥料の値上がり。さらに、トランプ政権が続けてきた関税に対する「対抗関税」がかけられることによって、作った穀物を輸出できなくなることも重なり、まさに“三重苦”という状況になっていました。
農業州なので非常に共和党支持者が多かったのですが、そういう方々も「今回人生で初めて民主党に投票する」「今回ばかりは許せない」という声が聞かれ、それだけ怒りが強いと感じました。それが背景に大きくあるのだと思います。
■大敗の中で共和党はどう変わる?今後に注目
喜入友浩キャスター:
選挙の結果が見えてくる中で、トランプ氏は「VETO(=拒否権を使う)」と書かれた帽子の画像をSNSに投稿している一方で、「民主党と協力するつもりだ」とも発言しています。
こうした発信も含めて、今後注目すべきところはどんなところでしょうか。
涌井文晶 ワシントン支局長:
ホワイトハウスの当局者に取材したところ、その中でトランプ大統領周辺のムードを「DEFIANT」という単語で表現していました。日本語で言うと「反抗的」「屈しない」「上から圧力がかかってくるのを押し返す」といったイメージです。
これまでのトランプ大統領の看板政策などを曲げるつもりはない、という姿勢を示しているのかなという言葉でした。
一方で、今回の選挙結果自体が、トランプ政権の政治に対して有権者が「NO」を突きつけたという結果です。
そのため、トランプ大統領がこれまでの政策を曲げず、さらに共和党の人々も付き従うことになれば、共和党は2028年に行われる次の大統領選に向けて一緒に沈んでいく展開が想像されます。
共和党は2016年から10年間かけて、トランプ党に姿を変えました。今回の選挙の結果を真摯に受け止めて、共和党の中から「もう軌道修正しないといけない」という声が出てくるのか、注目していきたいなと思っています。
■「政策を見た」結果のブルーウェーブでは?
小川キャスター:
共和党内部でトランプ離れという現象が起きていくのかも含めて、不透明な状況が続いていきます。
これからどんな変化を望みますか。
ニコラス・エドワーズさん:
今回の選挙で変わり始めてきたのかなと思ったのは、ここ20年くらい、トランプ大統領に票を入れるのか、それともトランプ大統領に対する嫌な気持ちを表現する形として他の人に票を入れるのかという、究極の2択しか選べないという状況が長く続いていました。
個人的には「赤と青」ではなく、「政策」を見る余裕が今回の選挙では出てきたのではないかと思っています。
人間には何かに属したいという気持ちがあったり、「自分は民主党です」といったアイデンティティを持っていたりする人が多いです。
そんな中、政策を見て「私はこういうふうに国が変わってほしい」と考える人が増えたのかなと。それが今回の結果に出ているのかなと考えています。
小川キャスター:
トランプ大統領が推し進めてきたことに「NO」が突きつけられた一方で、民主党側に明確な解があるのかどうかというと、そうではないように見えます。
ニコラス・エドワーズさん:
期待したいところではありますが、これから政策を見て、どんどん政治を変えていけたらいいなと僕は見ています。
小川キャスター:
誰がどのように民意を生かしていくのか、示していくのか。アメリカ政治全体が問われていることでもあります。
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<プロフィール>
ニコラス・エドワーズさん
歌手・俳優
民主党が強いオレゴン州出身 34歳
「こんなブルーウェーブは生まれて初めて」
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