トランプ“相互関税”第2弾が9日、世界各国を対象に発動されました。トランプ大統領は、「今度は我々が搾取する番」だと発言。日本には24%が課されます。アメリカ国内の消費者と取引のある会社は、今後の先行きに懸念を示しています。
【写真を見る】グリア通商代表「日本の市場への参入を拡大したい」日本経済へのリスクが高まる恐れ
トランプ関税発動 トランプ氏「我々が搾取する番」
世界経済をさらなる混乱に陥れるかもしれません。
日本時間きょう(9日)午後1時1分。アメリカ・トランプ政権は、「相互関税」の第2弾を発動しました。
アメリカ トランプ大統領
「多くの国々が我々を搾取してきたが、今度は我々が搾取する番だ」
対象は、貿易赤字が大きい60の国と地域。今月5日の第1弾では、すべての国と地域を対象に一律10%を課しましたが、今回は、それに上乗せする形です。
日本への関税は24%となりました。EUには20%、韓国には25%。
各国との交渉には応じるとしていて、国ごとに違った内容の合意を目指す考えを示しています。
レビット報道官
「各国は不公平や貿易慣行を改め、市場をアメリカに開放しようと躍起になっています」
レビット報道官は、これまでに70近くの国から接触があったと明らかにしたうえで、「交渉は同盟国や友好国を優先して進める」と説明しています。
きょう(9日)も市場はトランプ関税に振り回されました。
記者
「日経平均株価、大幅に下げ幅拡大しています」
東京株式市場では、きのう(8日)の上昇から一転、ほぼ全面安の展開に。
終値は、前の日に比べ1298円安の3万1714円となりました。
中古ブランド品や酒 日本企業に痛手
トランプ関税はアメリカに顧客を持つ日本の企業にとって大きな痛手となっています。
JP.Company 荒木淳平代表
「1日1000商品くらいですかね、平均すると。(年間で)25万~30万商品売れている」
中古のブランド品を扱う都内の会社。世界最大級のアメリカのオークションサイト「イーベイ」を介し、販売しています。売り上げの7割がアメリカの客だといいます。
中古品市場から仕入れた商品は、本物かどうかを確認する検品や修理などを経てサイト上に出品されます。
JP.Company 荒木淳平代表
「ヴィトンのバッグもあるしグッチのバッグとか。ガーデン・パーティ。定番の商品、エルメスの。30万円くらい。これは売ってるものだが、うちが強いルイ・ヴィトン。(Q.身長を超えてますが)174㎝なんですけど」
日本の中古品が人気だというアメリカ。こちらでは毎週、アメリカの客向けに商品を紹介するため英語でライブ配信を行っています。いま一番の関心は、トランプ関税です。
ライブ配信
「トランプが課した関税についてどう思いますか」
「私たちにとって大事なことで、みんな心配しています」
視聴者からは、トランプ関税に否定的な声が多く寄せられました。
コメント
「私たちの大統領は正気じゃない」
「関税には不満です」
代表は危機感を強めています。
JP.Company 荒木淳平代表
「一番は売れ行きが落ちるのは間違いない。買い控えはかなり起きるんじゃないか。アメリカだけだったところをもうちょっと広角打法にする感じ。ヨーロッパ・アジアで売ることを視野に入れないとビジネスとしては厳しい」
冷や水を浴びせられた企業は他にも。
Agnavi 玄成秀CEO
「北斗の拳とコラボさせていただいた。日本の漫画とのコラボ、日本酒×アニメが非常に人気の高い商品」
「和」のテイストを前面に押し出したデザインの缶。日本酒を手軽に楽しめる一合缶です。手がけた企業は日本各地の蔵元と手を組み、アメリカでの市場開拓を目指しています。夏からの輸出に向け、6社と商談を進めていました。ところが…
Agnavi 玄成秀CEO
「当初1万本~1.2万本の輸出を提案していたが、そこに関しては1回ストップしたいというお話があった」
日本での販売価格は600円、アメリカでは1600円の予定でしたが、関税で2000円に値上げする見込みに。アメリカ進出への不安は募る一方です。
Agnavi 玄成秀CEO
「小売価格が上がるということは、その分お客さんが手に取りにくくなってしまう。そこは非常に懸念しています」
さらに、日本経済へのリスクが高まる恐れも。日本との交渉を担当するグリア通商代表は、議会上院の公聴会でこう発言しました。
グリア通商代表
「日本の市場への参入を拡大したい。農産品の市場参入を拡大し良好にしたい」
グリア氏は、農産品の市場開放や工業製品をめぐる規制の見直しなどを求めていく考えを示しました。
アメリカと中国の貿易摩擦も、底なしの様相を呈しています。
中国さらに報復84%へ アメリカ104%関税で貿易戦争
トランプ大統領
「午前0時をもって中国製品に104%の追加関税を発動する。取引が成立するまで、この措置を続ける。最終的には中国は取引に応じるだろう」
アメリカは中国に対し、すでに20%の関税を発動していましたが、先週、34%の関税を追加。中国が報復関税を課したことで、さらに50%を上乗せするとして、関税はあわせて104%となりました。
中国外務省 林剣報道官
「アメリカが米中あるいは国際社会の利益を無視し、関税戦争や貿易戦争に執着するなら、中国は必ず最後まで付き合い続ける」
中国は、今夜(9日)になって再び対抗措置を発表。さらに50%の関税を課し、10日から84%に引き上げられます。
また、中国は「アメリカの相互関税は国際貿易ルールに違反している」として、WTO=世界貿易機関に追加提訴したと発表しました。
関税をめぐる混乱は、トランプ政権の内部でも…
マスク氏「本当にバカ」トランプ政権内で非難の応酬
政府効率化省を率いるイーロン・マスク氏が8日、投稿したのは…
イーロン・マスク氏(8日)
「ナバロ氏は本当にバカだ。彼の言っていることは明らかに間違っている」
ナバロ大統領上級顧問は、トランプ政権で関税政策を主導する人物です。マスク氏がCEOを務める電気自動車大手「テスラ」について、ナバロ氏がテレビ番組でこう発言したことがきっかけでした。
ナバロ大統領上級顧問(7日)
「マスク氏は自動車メーカーではない。『組み立て業者』だ。電池は日本や中国製、電子機器は台湾製だ」
部品もアメリカ国内で生産すべきだと主張したのです。
マスク氏は最近、各国への関税強化に否定的な考えを示していて、政権内の確執が浮き彫りになりました。
こうした事態に、レビット報道官は意に介さない姿勢を見せ…
レビット報道官
「明らかに2人は貿易や関税で異なった見解を持ってる。男子同士でよくあることですし、公での争いを続けさせようと思う」
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