
9月に開催される東京2025世界陸上のマラソン代表に選出された吉田祐也(27、GMOインターネットグループ)が28日、練習拠点にしている青山学院大で、恩師・原晋監督(58)とともに取材に応じた。吉田と原監督は、代表発表後の27日に食事会を開いたと話し、食事会でのプライベートな内容や、世界陸上への思いを語った。
【写真を見る】青学大・原晋監督、世界陸上マラソン代表の吉田祐也を絶賛「自分で自分のブランドを作ったことに、あっぱれ」
吉田は2024年12月の福岡国際マラソンで日本歴代3位となる2時間05分16秒の大会新記録で優勝。青山学院大出身として初の世界大会マラソン代表に選出され、27日に行われた会見では練習を共にしたことがあるという2021年東京オリンピック™6位入賞の大迫傑(33、Nike)の名前を挙げ、「大迫さんの順位を超えたい」と意気込みを語っていた。
Q:吉田くんはお酒飲むんですか?
吉田祐也:僕は飲まないです。
原晋監督:すごいよね。アスリートとしてね。俺は現役の時バカスカ飲んでた。ちょっと陽気に飲みすぎた、お祝いでちょっとテンション高くなって、一番飲んだのは原監督という。ちょっと飲みすぎたけど。
吉田:すごい強いんですよ、ものすごく強くて。
原監督:もう水ですね(笑)吉田は大したもんですよ、飲まずして、食べるしな、ちゃんと。1.5倍、奥さんのと私のをボンボンボンボンあげて。食べるのが強さの秘訣ですよ。食べないともたない。
Q:マラソンは特にそうですよね。
原監督:マラソンは、やっぱり食べられる子が強いね。
Q:改めて「おめでとう」とか話したんですか?
原監督:おめでとうございます、ですね。
吉田:ありがとうございます。昨日言っていただいて、すごい嬉しかった。
Q:どうしても記事とかが「青学で原さんのところから初のオリンピックや世界陸上のマラソン代表」と言われちゃいますけど、でも、時間の問題でしたよね。
原監督:歴史的に、箱根から世界へっていう流れはもうできてて、当初、東洋大学さん、あるいは駒澤大学さん、その前は順天堂大学さんと強豪校の卒業生が世界で戦ってるんですよね。我々新興大学ですから、その順天さんや駒澤さんや東洋大学さんの後に、我々が箱根駅伝で優勝してるので、その後に出てくるのはもう時間の問題だということはわかってたんですけども。その中でもなかなか、代表にこれまで選ばれてなかったので、今回吉田が、代表になってくれたことは、チームとしても活気づきますよね。ただ本人は青学というものを捨てて、吉田のブランドを自分であげてるところに強みがあるんじゃないかなと僕は思いますね。“吉田ブランド”を自分で確立しているところに価値ありますよね。
Q:どうしてもそこって見られるじゃないですか。本人はすごい嫌だと思うんですよ。でも、それをもう自分で乗り越えたのすごいなと。
原監督:一生ね、青山学院の卒業生ですから、“元青山学院大学”ってついてまわりますけども、そこに固執することなくね、自分で自分のブランドを作ったことに、あっぱれあげたいですよね。
吉田:全くおっしゃる通りです。“青山学院”ってついてると、看板でいろいろ取材とか受けさせていただくことありますけど、今回やっぱり世界大会っていうものに出て、今こうして監督に指導を受けてますけど、一応“青山学院の吉田”ということにはなりますけど、最終的には“日本代表の吉田”として取材をさせていただいたり、メディアに取り上げていただけたりっていうことが個人的にはすごく嬉しいですね。
Q:後輩たちにもいい道ができますよね。
吉田:僕もそうですし、若林(宏樹)とか、黒田(朝日)とか太田(蒼生)とか白石(光星)もそうですけど、マラソンに積極的に挑戦して、これぐらいの練習をすれば、これぐらいのタイム、これぐらいの順位が取れるっていう指標ができ始めてるので。今後マラソンに挑戦したいっていう選手も、ハードルを見ながら自分で設定ができると思うので、もう殻を破るというよりは、マラソンはそんなに難しいものじゃないと積極的に挑戦してくれる環境ができたらいいなって思いますね。
Q:監督、頼もしいですね。
原監督:彼は読書とか論文を読み漁るのが趣味なので、論理的にこういうふうに答えてくれてるんですよね。マラソンは特別なものだ、ハードル高いっていうような意識がこれまでありましたけども、原軍団は、5分台ランナーもいるし、6分台前半のランナーもいるし、7分台、8分台のランナーもいるし、この子の能力で持って生まれた能力と、努力とタイミングさえ合えば、この子は5分台だな、いやいやその先の4分台、3分台あるな、8分台から始まっていこうね、とか何となくの方程式が、できたような気がするね。
吉田:そうですね。箱根の延長線上で戦えるっていうのが、何となく学生たちもわかってると思う。そういう気持ちが浸透してるのはすごく嬉しいです。
Q:吉田選手は何分台までいきます?
原監督:いや、もう彼は2時間3分台あると思います。それは今年、来年の話じゃないですけども、もう3分台目指したトレーニングを課したいし、意識付けさせたいんですよね。マラソンって勝負事ですから、その大会で優勝を狙うというのが一番なんですけども、一番タイムが出やすい大会はベルリンマラソンなので、どこかの年次で2時間3分台を狙って、ベルリンでチャレンジしたいなと思ってるんです。
Q:東京世界陸上ではどんな走りを見たいですか。
原監督:現実的な話でいくと、入賞だと思うんですよね。ただ、メダル圏内に届く、そういった走りをしてほしいなと思います。だから今の力を確実に出していけば、メダル圏内も十分ありますし、最低限入賞。ここは確実に取ってほしいなと思いますね。
Q:それを聞いて吉田選手は?
吉田:大迫さんの東京オリンピック™(6位入賞)であったり、赤﨑暁(27、九電工)くんのパリ五輪(6位入賞)であったり、入賞することがもうなんか少しずつスタンダードになり始めてるので、やっぱり僕の強みとしては監督がメニューを出してくださるのもそうですし、大迫さんと一緒にオリンピックの前一緒にトレーニングして、どういう気持ちで向かっていったのかっていうのを持ってるのがやっぱり一番の強みだと思うので、その二つを生かして、上位入賞を目指して頑張っていきたいと思っています。
Q:2時間3分台はどうですか?
吉田:3分台はまだ何かイメージが全然できないですけど、監督が福岡(国際マラソン)の前に日本記録に近いものが出せるって言って、本当に出せたので、監督がおっしゃるなら、多分できるんだろうということで、自分も3分台っていう目標に向かって、まず世界陸上からステップとして頑張っていければと思ってます。
■吉田祐也(よしだ・ゆうや)
1997年4月23日、埼玉県出身の27歳。青山学院大学卒。青学時代、4年生で初出場した箱根駅伝で4区で区間新の快走を見せた。その1か月後の別府大分毎日マラソンでは、学生歴代2位(当時)の2時間8分30秒をマーク。大学卒業と同時に陸上競技からは引退する予定でいたが、内定していた企業への入社を辞退し、GMOインターネットグループで競技を継続。自身2度目のマラソンとなった2020年12月の福岡国際で自己ベストを大きく更新する2時間7分05秒をマークして、優勝した。164㎝、47kg。
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