大阪のとある居酒屋では、日本酒1合を「1円」で提供しています。なぜ「1円」で提供できるのでしょうか?
【写真で見る】タコおどり食い+おでん+日本酒でも500円いかない!?居酒屋
「12合飲んでも12円!」日本酒1円戦略だけでは赤字だけど…
出水麻衣キャスター:
何かの特典や1杯目だけ半額といったような戦略ではありません。どのようなお店なのか取材してきました。
大阪市にある「中トロと豚足」は平日でも大賑わい。みなさん日本酒を飲んでいます。
お客さん
「日本酒1円が珍しくて入りました。(Q.何合飲んだ?)1升ちょっと」
「12合!」
「(Q.それでも12円?)12円です」
最初の1杯だけ1円、ではなく何杯でも1円で飲めるお店なんです。
お客さん
「スーパーに買い物に行くより、ここに来た方が安い」
「ここに来るために定期券を買っています」
例えば、人気メニュー「生きてるタコおどり食い 329円」と「おでん煮盛り合わせ(玉子無) 109円」の2品と一緒に楽しんでも439円(税込み)と、500円いかないんです。(※テーブルの場合は別途席料)
日本酒1円で大丈夫なのでしょうか。
鶏の美術館ホールディング副社長 内田眞隆さん
「1円なんてなにしても赤字じゃないですか。ただ面白いことをしたい、びっくりさせたい、喜んでほしいにつながる」
日本酒1円でも「広告宣伝費0円」で売り上げ3倍に
出水キャスター:
当然、「日本酒1円戦略」だけでは赤字ですが、お店側のメリットとしては、「広告宣伝費0円」なのにお客さんが殺到する仕掛けになっています。
詳しく見ていきますと…
▼お客さんがSNSに投稿
▼つまり、勝手に「宣伝」してくれる
▼その結果、客数&売り上げアップ
▼売上3倍になり、トータルで黒字になる
今、SNSでは食事は「食べる」だけではなく「共有する」時代だとも言いますので、やはり価値ある情報は「シェア」したくなる時代なんですかね。
慶應義塾大学教授・教育経済学者 中室牧子さん:
これは非常にうまいことやられているなと思います。経済学的には、合理的な行動だと思っていて、例えば、経済学では「経験財」という言葉があります。
これはどういうことかというと、まずは実際に経験してもらって、「それがいいな」となると固定客になってくれる。そうすると、その後、値段を上げたとしてもちゃんとお客さんがついてきてくれて、長期的に見れば、初期の投資を回収することができるというようなことです。
なので、まずは日本酒を飲んでもらって「これいいな」となって、料理も食べてもらって、「これもいいな」となった人たちに、「顧客としてずっと来てもらいたい」「長期に渡って来てもらいたい」ということなんだと思います。
出水キャスター:
いろんな物の値段が上がっているので「飲食費も抑えられたらいいな」という時代に合った戦略をきちんと取り入れているお店だということです。
つまり、今の時代は「“Agility” (アジリティ=機敏さ)、時代の風に帆を立てる」ことが大事であると言えます。
世の中の流れの情報を把握し、変化に柔軟に対応していく姿勢が大事になっていくんですね。
「音楽はサブスク」という時代になぜ?タワーレコードが最高売上を記録
出水キャスター:
そんな中、私が注目したのが「タワーレコード」です。
音楽を聴くのはサブスクというそんな時代に、タワーレコードは2024年2月期、過去最高の売り上げを記録しました。
1階にはCDが売っていますが、奥に進むと「推し活グッズの売り場」があり、推し活に関するグッズがたくさん販売されています。
例えば、芸能の神様をまつっている神社の「お守り」には「神席祈願」と書いてあり、裏側には推しの写真が入れられるようになっています。
今までの「音楽好きを応援する」というコンセプトは変わりませんが、時代に合わせて、少し変化を加えているんですね。
中室牧子さん:
時代の変化に合わせて販売する内容を変えているということなんでしょうね。
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<プロフィール>
中室牧子さん
慶應義塾大学教授 教育経済学者
教育をデータで分析
著書「科学的根拠で子育て」
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