食料品の消費税を現在の8%から1%に引き下げることを盛り込んだ税制改正大綱が、閣議決定されました。例えば、税込み1080円のお弁当は計算上、1010円になるはずですが、街のお弁当屋さんを取材すると、そう簡単ではないようです。
食料品の消費税8%→1%へ “デカ盛り”弁当店の葛藤
揚げたての鳥の唐揚げ500gに、ごはんはたっぷり300g。ボリューム満点の弁当が人気の、地元で愛される弁当店「ふぁみりぃ弁当」です。
常連客
「唐揚げの量も多くて、揚げたてで美味しくて、本当にお世話になっています」
「正直ここのカレー、川口で一番美味しいと思います」
この店を切り盛りする伊藤あすかさん。創業から30年以上店を守った父に代わり、2027年から2代目の店主になります。
店の方針を託された彼女はいま、「ある問題」に悩んでいます。それが、弁当の税込み価格を下げるかどうかです。
政府は15日、2027年4月から2年間限定で、食料品の消費税を8%から1%に引き下げることを盛り込んだ税制改正大綱を閣議決定しました。
スーパーの食料品や持ち帰りの弁当などが対象です。
この店で人気の「デカ唐揚げ弁当」は税込み1100円。減税で約70円安くなるはずですが…
ふぁみりぃ弁当 2代目店主 伊藤あすかさん
「鶏肉がものすごく、2倍とかに高騰してしまって。そんななかいきなり(弁当の値段を)上げるってできない。やっぱり値上げしたくないんで、ぎりぎりまで耐えて値上げしている」
「原価高騰の穴埋めに充てないと店が持たない」店主が抱える切実な本音
鶏肉やコメなど原材料価格の相次ぐ高騰に、4月に「デカ唐揚げ弁当」を990円から1100円に値上げしたばかり。
「消費税が減税されても、その差額を原価高騰の穴埋めに充てなければ店が持たない」というのが本音です。
ふぁみりぃ弁当 2代目店主 伊藤あすかさん
「みんな(価格が)下がる、嬉しいというその気持ちに応えたいなと思うが、やっぱり2代目として店を守っていく、家族を守っていく面で考えると、本当に格闘しています。
(店の)規模が小さいので、出来ることと出来ないことが出てくる。(価格について)お客様がどう線引きをするか私たちには分からないけど、不安はたくさんありますよね」
常連客
「(値段は)下がってはほしいですね。でもお店がきついならそのままでもと思う。店は続いてほしいし」
「(値下げしなくても)値段にしてはボリュームがある方なので、継続して通おうかなと思う」
高市政権の物価高対策の目玉とされる、今回の消費税の引き下げ。しかし、減税された分、税込みの価格を下げるかどうかは企業に委ねられています。
ふぁみりぃ弁当 2代目店主 伊藤あすかさん
「振り回されてるなという感じはある。偉い方が決めたのに私たちが従う、それは私たちのためなのかと考えちゃう。お客様は期待するけど、応えるのは私たちじゃないですか。その辺はモヤっとはします」
減税で実質7%の損に?小規模事業者が抱える“矛盾”
藤森祥平キャスター:
「消費税が下がれば、その分価格も安くなるのではないか」と期待してしまいますが、そういうわけでもなさそうです。
例えば、インボイスに登録しておらず、年間の売り上げが1000万円以下の小規模事業者などは、消費税の納税が免除されています。仮に減税となった場合、こうしたお店はどうなるのでしょうか?
小説家 真山仁さん:
つまり収入が7%減ることになります。免税制度に基づいているため脱税ではなく、お店に落ち度があるわけではありません。しかし、これまで消費税込みで手元に残っていた売上を下げざるを得なくなるため、実質的に7%の損になってしまいます。
藤森キャスター:
今、経営の支えになっている儲けの部分がなくなってしまうということですね。
小説家 真山仁さん:
さらに、円安や物価高の影響で、2027年の春には様々なものの価格が今以上に上がっているはずです。
それにもかかわらず、値下げをしなければ「免税で得をしているのではないか」と誤解されてしまうようなこの構造を、政府は理解したうえでやっているのかというのがまず一つの問題です。
5兆円の代替財源はどこに? 確保できたのは「年間わずか10万円」
藤森キャスター:
そして、財源についてですが、高市総理は「赤字国債に頼らず、補助金や税優遇を削減して確保する」と述べるにとどまり、具体的な財源は示されていません。
現時点で各省庁が示している削減対象はわずか3件です。年間で必要な代替財源は5兆円なのに対し、確保できたのは年間わずか10万円にとどまっています。
そうした中、15日、片山大臣は民放番組で「ここからバッサバッサやる」と発言していました。
小説家 真山仁さん:
片山大臣は財務省出身なので、ご自身の発言がいかに無理なことか、よく分かっているはずです。
国の予算は基本的に前年度を踏襲して編成されるため、急にゼロへ削減することは不可能です。どうしても削りたい場合は、「新規で10億円予算が欲しいなら、既存の予算から10億円を削る」といったルールがもともと存在します。
削減したいのであれば、国家予算をゼロベースで見直し、本当に必要なものだけを残す改革が必要です。しかし、これには財政構造そのものを変える必要があり、最低でも3年はかかります。
そのなか、国はいま官民投資で、戦略17分野「370兆円超」規模の投資をしようとしています。
リスクを伴う投資はやってみなければ分かりません。だからこそ継続すべき事業でもありますが、いまはアクセルとブレーキを同時に踏んでいる状態です。
今後、この国がどうなっていくのか、皆さんにもぜひ考えてみてほしいです。
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<プロフィール>
真山仁さん
小説家
2004年「ハゲタカ」でデビュー
新著は権力の闇を描いた「フィクサー」
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