震災から15年。地震、津波、爆発を経験した福島第一原発はどのような歩みを進めてきたのか。燃料デブリの取り出し作業はどの程度進んだのでしょうか?
【地図で見る】全国の原発とその稼働状況(2026年3月11日時点)
福島第一原発 「核燃料デブリ」の総量880トン
テレビユー福島 渡邊文嘉キャスター:
福島県・大熊町にある、東京電力福島第一原発に来ています。
私がいま立っているのは、事故を起こした原子炉建屋から約100メートルの場所です。これだけ原子炉建屋に近い位置から中継が許されたのは、震災・原発事故後、初めてのことです。
この場所は、毎時15マイクロシーベルトほどの放射線量があります。これは事故直後の約80分の1にあたります。あれから放射線量はかなり下がっています。
また、作業環境は大きく改善しました。震災の翌年、この辺りに取材に入った時には、防護服に全面マスク姿でしたが、現在ではマスクもいらないほどの軽装になっています。
私の後ろには、水素爆発・メルトダウンを起こし、建屋が激しく損傷した1号機があります。こちらには現在、カバーが設置されています。2026年1月に使用済み核燃料を取り出すために設置されたもので、建屋が損傷した様子は見られない状態になっています。
福島第一原発の1号機、2号機、3号機ではメルトダウンが発生し、核燃料が溶け落ちてできた「燃料デブリ」の総量は880トン(推計)にも上ります。
試験的な取り出し作業するも…その量は“耳かき1杯分程度”
井上貴博キャスター:
燃料デブリの取り出し作業は、この15年でどの程度進んだのでしょうか?
渡邊キャスター:
核燃料デブリの取り出し作業は、あまり順調とは言えません。
これまで2号機で2回ほど試験的に取り出し作業を行いましたが、その量は合わせて約0.9グラムでした。これは耳かき1杯分程度で、燃料デブリ全体の880トンの10億分の1にすぎません。
東京電力 廃炉の完了時期の目標「2051年」除染土の処分場所も未定
井上キャスター:
ここから「次の15年」はどう考えていくべきでしょうか?
渡邊キャスター:
本格的な核燃料の取り出しが最大の焦点となります。東京電力は次の15年を待たずして、本格的な核燃料取り出しを始めたいとしています。
本格的な核燃料の取り出しは3号機で2037年ごろから始める予定としていて、東京電力は、廃炉の完了時期の目標を「2051年」と掲げています。
廃炉の時期について、東京電力の廃炉推進カンパニーの最高責任者・小野明プレジデントは、「いまの段階では目標を下げる必要はない」としていますが、実現できるかは不透明です。
この福島第一原発のある大熊町と双葉町の中間貯蔵施設では、放射性物質の付いたいわゆる除染土が保管されていますが、2045年までに県外で最終処分することが法律で定められているものの、いまも具体的な候補地すら上がっていません。
仮に、除染土の処分や廃炉作業がうまくいったとしても、その後の原発周辺をどのようにしていくのかという議論はあまりされていません。
住民の理解を得ることが大前提ですが、地域の未来を考えると今後この場所をどう使っていくのか、議論する時期がそろそろ来ているのではないかと感じています。
井上キャスター:
原発は“トイレのないマンション”と言われます。ゴミの最終処分場が決まらない。政治の力はもちろんのこと、ここの議論を避けては通れないということ。先々の日本はAI社会が加速するなかで、電力が圧倒的に足りないと言われています。
そういったなかで原発をどう稼働していくか。それとも原発依存を下げていくのか。この議論は冷静にしていくべきだと感じます。
全国で15基が再稼働 日本の原発の「現在地」
高柳光希キャスター:
東日本大震災から15年が経ち、日本国内での原発のあり方も大きく変わってきました。
2011年3月11日までは、日本全国で54基の原発が稼働をしていました。
しかし東日本大震災が発生して、日本全国で原発が一時停止をします。
月日が経ち2024年に、被災地では初めて、宮城県の女川原発2号機が再稼働しました。
女川原発2号機を含めて、全国で15基が再稼働しています。(2026年3月11日時点)
当時、私は12歳でしたが、日本中で「節電をしよう」という動きがあったことを覚えています。
スポーツ心理学者(博士) 田中ウルヴェ京さん:
「電気を使う」ことが、どういうことなのか改めて痛感せざるを得ない時期でした。
15年経ちましたが、人間が生活するということはエネルギーを使うということで、原子力発電はとても重要です。しかしどのようにエネルギーミックスをしていくのか、エネルギー政策について考えていかなければなりません。
不具合にデータ不正…信頼ゆらぐ原発に我々はどう向き合うか
高柳キャスター:
政府は、震災から3年後の2014年に「原発依存度を可能な限り低減する」と掲げました。
しかし現在は原発を巡るニュースが続いています。
新潟県の柏崎刈羽原発では、2026年1月の再稼働直後に、制御棒の引き抜き作業中に不具合が発生し、原子炉を停止しました。
静岡県の浜岡原発では、再稼働を巡る審査の中で耐震設計のデータに不正が見つかるなど、原発をめぐって問題が相次いでいる現状もあります。
私達はどのように原発と向き合っていけばいいのでしょうか。
資源なき日本 どのようにエネルギーと安全を確保するか
高柳キャスター:
エネルギー政策に詳しい国際大学の橘川武郎 学長は、「資源がない日本にとって、原子力は必要」とした上で、「太陽光や風力などの再生可能エネルギーをメインにして、原子力を選択肢の一つとしてとらえることが重要」と話します。
日本にとってエネルギーは欠かせません。ただ安全は第一で、どうバランスをとって進めていくかが重要です。
スポーツ心理学者(博士) 田中ウルヴェ京さん:
東日本大震災のときに、「想定外だった」という言葉が記憶に残っています。
自然災害は想定外が多いので、「想定外なことがあったときにどうするか」、できる限り最悪を想定し、「想定内にする」ということをし続けなければいけないと思います。これは、私達が考えなければいけないことだと思います。
高柳キャスター:
15年の節目を、エネルギー政策について見つめ直すきっかけにしていただければ幸いです。
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<プロフィール>
田中ウルヴェ京さん
スポーツ心理学者(博士)
五輪メダリスト
慶應義塾大学特任准教授
こころの学びコミュニティ「iMiA(イミア)」主宰
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