12月4日、自民党本部では会議室に入っていく議員に対し、業界団体は「住宅ローン減税の拡充」を求めました。来年度の税金を決める議論が活発化していますが、私たちの暮らしにも大きな影響がありそうです。
【CGを見る】“0歳NISA”…0歳~18歳まで利回り年4%で毎月「5万円」を積み立てると資産は?
マンション中古シェアが10%上昇
東京・池袋にあるタワーマンション。住宅市場でいま異変が起きています。
コスモスイニシア 担当者
「築年数が経っているマンションをリノベーションしたものを購入する人は多い」
国交省によりますと、戸建てと分譲マンションの流通戸数に占める中古の比率は、2014年の33.9%から2024年の43.6%と、10年間で10%上昇(国土交通省より)。
さらに…
コスモスイニシア 担当者
「45平米で1LDKですので、単身のお客様が多い傾向。物件価格の上昇にともなって、2人で1LDKに住むケースも増えている」
コンパクトな部屋のマンションに住む人が、増えているといいます。ただ、現状では50平方メートルを下回る住宅は、住宅ローン減税の対象外となっています。
こうしたなか、住宅関連の団体は4日…
住宅関連の団体
「ローン減税お願いします!」
自民党本部で国会議員らに、業界団体がチラシを配ったりプラカードを掲げたりと住宅ローン減税の延長と拡充を訴えました。
自民党の税制調査会では、減税の対象を「50平方メートル以上」から「40平方メートル以上」への引き下げ。また、中古住宅では、原則10年となっている「住宅ローン減税」の適用期間を延ばすなど、業界の要請にあった方向で検討が進められています。
滲む“高市カラー” 減税政策続々
こうした2026年度の税制をどう見直すのか議論しているのが、税制調査会です。
こちらは、約35年前の映像。業界団体が議員に訴える光景は今も昔も変わらず。
そして税制調査会は、時の総理大臣さえ口出しするのをためらうほど、絶大な権力を持つと言われてきました。しかし今回は…
小野寺五典 税調会長
「基本的には高市総理の発言については、皆さん重く受け止めていると思う」
高市総理の発言を「重く受け止める」と話す小野寺税調会長。
いま議論の対象になっているのが、
▼「年収の壁」引き上げ
▼ガソリン・軽油 暫定税率廃止
▼NISA対象拡大
▼住宅ローン減税
▼自動車購入時の税 見直し
減税政策が目立ち、“高市カラー”が滲みます。
男性
「僕らはすごく助かった立場。子育てと並行して住宅ローンとなると、負担は軽くしてあげられればなと」
女性
「お米が高騰していたりとか、安いものがないと実感しているので、減税はどんどん長く、できるだけ長くやってほしい」
減税は、生活者目線では受けがいい一方、金融市場では警戒感が続きます。
国債の発行が増える可能性が意識され、4日、約18年半ぶりの水準まで金利が上昇しました。その要因の1つが、財政悪化の懸念です。
減税した分をどう確保するのか、その裏付けとなる“財源”は、いまだ示されていません。
“0歳NISA”で格差が拡がる?
藤森祥平キャスター:
厳しい物価高の負担が続く中、来年度の税のあり方やその制度がどう変わっていくのかが非常に注目されています。高市政権になって、減税カラーが非常に伝わってくる内容になっています。
▼「年収の壁」引き上げ
▼ガソリン・軽油 暫定税率廃止
▼NISA対象拡大
▼住宅ローン減税
▼自動車購入時の税 見直し
例えば「NISA対象拡大」について見ていきます。「NISAつみたて投資枠」は年間120万円まで投資が可能で、最大で1800万円まで非課税で利用ができ、18歳までという年齢制限がありました。
しかしそれを撤廃して、0歳から利用できる案も今浮上しています。
仮に、0歳から18歳まで毎月「5万円」を積み立てると、18歳時点で投資額は1080万円です。仮に利回りが年4%だとすると、運用益が487万円ほどで、資産は1567万円になっていくと。
小川彩佳キャスター:
大学進学などのニーズに合わせて資産運用ができるようになる。高市総理も強い関心を寄せているようです。高市政権の「減税カラー」が前面に出てきていますね。
東京大学准教授 斎藤幸平さん:
これはもう完全に富裕層の優遇であって、普通の人たちは毎月5万も10万も投資する余裕がないのに、余裕がある人たちの子供が、こういう投資を通じてますます豊かになっていく。大学に入る段階で2000万円を持っている人と、0円の人が出てきてしまうと、それはよくないと思います。
これをやるんだったら、今年は65万人しか産まれていないので、全員に1000万円を銀行口座に入れて、それで継続的に投資をして、その後20歳になったら自由に使えるぐらいのことを、富裕層にさらに課税をしてやったりすればいいと思いますね。
21兆円の対策で財政出動しますが、NISA対象拡大以外も、ガソリン減税や住宅ローン減税など、ほとんどが減税ばかりです。結局、バラマキや小手先のインフレ対策にしかならないと思います。
本来は日本で何を作るのか。供給力不足の話なので、需要喚起のための減税では対応できないところ。日本社会でこれから何を作っていくかというもっと大きなビジョンも、高市さんに出してもらいたいと思っています。
藤森キャスター:
年末に向けて特に財源の規模が大きくなる「年収の壁の引き上げ」が、また一つ大きく注目される点になりそうです。
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<プロフィール>
斎藤幸平さん
東京大学准教授 専門は経済・社会思想
著書『人新世の「資本論」』
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