消費生活センターなどに寄せられた
「フリマ関連の相談件数」。2024年度は8644件で、10年前と比べると約9.4倍になっています。
巧妙なニセモノが増える今、ニセモノは許さない!鑑定の最前線を取材しました。
「見た目では、まったくわからない」最先端の機器で“偽物鑑定”
山形純菜キャスター:
フリマサイト「スニーカーダンク」鑑定部門 責任者の神義詞さんにお話を伺います。
最新の真贋鑑定機器には、▼内部構造まで確認可能なX線透過装置、▼素材など微細な違いを細部まで分析するマイクロスコープ、▼印刷塗料などの違いを識別する赤外線カメラなどがあります。
今回は、特別に赤外線カメラをスタジオに用意しました。
人気アウトドアブランド「ARC'TERYX」のニット帽。
本物と偽物と判定された2点があります。違いが分かりますか?
出水麻衣キャスター:
(触ってみると)本物の方がふわふわしている気がしますが、見た目ではどちらが本物なのか全くわかりません。
山形キャスター:
この2点を赤外線カメラを通してみると、本物はロゴがくっきりと写っていますが、偽物と判定された方は(帽子全体が)白くなっています。どういうことなのでしょうか。
「スニーカーダンク」神義詞さん:
本物と偽物で、使用されている素材や塗料が異なるため、こうした照射結果になっています。
井上貴博キャスター:
プロでも、赤外線カメラを使わないと判別できないということでしょうか。
「スニーカーダンク」神義詞さん:
偽造品のクオリティが年々向上しており、肉眼のみではなかなか判別が難しい商品まで出てきています。
山形キャスター:
「スニーカーダンク」では、こうしたチェックが必ず行われているということですね。
「スニーカーダンク」神義詞さん:
全ての商品を、赤外線カメラなどのテクノロジー機器を利用して鑑定を行っています。
「テクノロジー機器を導入しないと判別ができない」年々あがるクオリティ
井上キャスター:
機器を導入しなければならないとなると、初期投資やコストも大変ですね。
「スニーカーダンク」神義詞さん:
導入コストはすごく高いのですが、テクノロジー機器を導入しないと、判別が100%できない形になっているので、設備投資は今後も積極的に行っていく想定です。
出水キャスター:
毎年レベルアップしているという実感がありますか。
「スニーカーダンク」神義詞さん:
毎年毎年レベルアップしていますね。
井上キャスター:
消費者としても、“機器を導入している業者だから信頼できる”という判断基準になりそうですね。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
それはありますね。
ただ、さらにそれを回避するようになれば、イタチごっこになりますよね。
「スニーカーダンク」神義詞さん:
「こういう鑑定方法だから、こういう対策をしよう」と、年々イタチごっこでクオリティが上がっている状況です。
井上キャスター:
このような放送を見て、「塗料を変えてみよう」となるかもしれないですね。
「スニーカーダンク」神義詞さん:
偽物業者は、正規品を作っている工場で作れるというわけではないので、全く同じ塗料や素材を用意することは、現時点ではなかなか難しいと思います。
出水キャスター:
手元にあるものを「使わないから売ろう」と、知らず知らずに偽物を売ってしまうリスクもあるということですか。
「スニーカーダンク」神義詞さん:
偽造品と知らずに出品した出品者に、弊社で鑑定をして「偽造品だった」と伝えるケースも年々増加傾向にあります。
フリマサイトでの鑑定サービスも広がる
山形キャスター:
フリマサイトでの鑑定サービスも広がっています。
「メルカリ」(約100ブランド)では、出品者が設定した場合のみ鑑定可能で、鑑定料は購入者の負担(スニーカー1900円など)です。
「楽天ラクマ」(400ブランド以上)では、出品条件を満たすと自動で鑑定対象になり、鑑定料は無料(楽天ラクマ負担)です。
偽物の判定が出た場合、「メルカリ」「楽天ラクマ」ともに、取引は自動キャンセルとなり、商品は着払いで出品者へ返品されます。購入者には商品代と鑑定料が返金されるということです。
もし、偽物を購入してしまったら罪に問われる?
もし偽物を購入してしまった場合どうなるのでしょうか。
知的財産に詳しいスター綜合法律事務所・冨宅恵弁護士によると、偽物を個人で使用するのは、商標権の侵害に当たらず、罪にも問われないということです。
ただ、偽物と分かっていて販売した場合には、商標法違反に当たり、10年以下の拘禁刑もしくは1000万円以下の罰金(またはその両方)が科せられる可能性があるといいます。
偽物に支払ってしまった代金は取り戻せるのでしょうか。
取引成立後はほぼ取り戻せないということで、購入前に価格や販売元などの確認が必要です。
井上キャスター:
フリマサイト側や事業者側の対応・責任が問われますね。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
偽物を作っている業者をきちんと摘発することも必要になってくると思います。
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<プロフィール>
星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身 政治記者歴30年
・見つかった娘(14)の遺体には「身を守れ」と父が願い伝えた“長袖・長ズボン”「1羽じゃかわいそう」中3・喜三翼音さんが家族に残した“生きた証”
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