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最低賃金44年ぶり大幅6%アップ それでも目標“1500円”遠く 止まらぬ物価高で中小企業は悲鳴も…【サンデーモーニング】

経済
2025-08-10 15:06

最低賃金6%引き上げも「2020年代全国平均1500円」という目標は…

厚生労働省の審議会で決まった最低賃金の引き上げ目安。


【写真を見る】 8月 食品類1000品目以上値上げ 調味料、乳製品、つゆ、レギュラーコーヒーなど


6%という上げ幅は、第2次オイルショックによる物価高があった時以来、実に44年ぶりの大きさです。ここ30年では、1%を切る年もありました。新型コロナの影響で2020年度は落ち込んでいましたが、この3年で急激に引き上げられ、ついに6%に到達しました。


これによって、最低賃金の全国平均は1時間あたり1118円となりました。最も高い東京では1226円、最も低い秋田でも1015円となり、すべての都道府県で初めて1000円台に乗りました。


ただ、石破政権が掲げている「2020年代に全国平均1500円」という目標を達成するためには、毎年平均7.3%ずつ上げていく必要があるので、6%では届きません。


最低賃金 海外と比べると…

ちなみに、海外の先進国の最低賃金を円換算(8月9日の為替レート)で見てみると、最も高いルクセンブルクは2689円。アメリカ(カリフォルニア州)、イギリス、オーストラリアも2400円程度で続き、それよりは低いドイツやフランスでも、日本と比べて2倍ほどになっています。日本と同程度なのは、韓国です。


日本より賃金の高い国々は物価も日本より高いわけですが、今回、日本で6%という高い引き上げ幅となった背景にあるのも物価高です。


8月も値上げ続々…コスト上昇を価格転嫁できず

審議会では、「食料」全体の価格が去年10月から今年6月までに平均で6.4%上昇し、「1か月に1回程度購入」する品目についても6.7%上昇しているというデータが示され、最低賃金の上昇率6%を上回っています。今月値上げされた食品類も1000品目を超えています。


輸入に頼るスパイスやコショウなどの調味料と、エネルギーや飼料価格高騰の影響を受ける乳製品で最大20%。だしとなる魚介類の高騰などの影響を受けるつゆが最大30%。世界的な品薄となっているコーヒー豆の高騰を受けて家庭用レギュラーコーヒーの中には40%値上げしたものもあります。


あらゆるものの値段が上がり続けているわけですが、企業側にとっては、これでもまだ生産コストの上昇を価格に転嫁できていない部分も大きいそうです。


中小企業庁の調査によると、原材料やエネルギー、人件費などが高騰した分の生産コストを売っているモノの値段に「全額転嫁できた」企業は、全体の4分の1ほどにとどまっており、「全く転嫁できていない」という企業は16.9%もあります。


「税制優遇などサポートが必要」好循環の創出なるか

生産コストの上昇に、ただでさえ苦しんでいる中小企業にとっては、今回、最低賃金の目安が6%も引き上げられたことは、経営に影響を与えかねないといいます。


大和総研のシニアエコノミスト・神田慶司さんは、「特に飲食業や宿泊業は低賃金のパートタイマーに支えられているので、最低賃金の上昇によるコスト上昇の影響が大きい」として、「賃金上昇と価格転嫁が両方とも持続可能になるバランスが大切なので、企業が賃上げしやすくなるような税制優遇など政府のサポートが必要」だと指摘しています。


賃金が上がることによって人々の購買力が高まり、企業が生産コストを価格に転嫁しやすくなって、利益が増え、そしてまたさらに賃金が上がるという好循環を作り出すことはできるのでしょうか。


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