お値段から世の中の動きを読み解いていくコーナー「きょうのお値段」。今回はラーメン業界が注目するお店「松太郎」のラーメン、1杯680円です。
【地図を見る】有名ラーメン店も密集 新宿・小滝橋通り周辺の“ラーメン激戦区”
松屋のラーメン 一杯680円
出水麻衣キャスター:
牛丼チェーン「松屋」を運営する松屋フーズが7月30日、東京・新宿区にラーメン専門店「松太郎 新宿小滝橋通り店」を出店しました。
メニューは醤油ラーメン(680円)や塩ラーメン(680円)などシンプルなラーメンを提供しているということです。
松屋のラーメン なぜ激戦区に?
「松太郎」が出店した小滝橋通り周辺には多くのラーメン店が密集している、“ラーメン激戦区”といわれている場所です。
今回、なぜライバル店が多い激戦区に出店したのか、経済評論家の加谷珪一さんは「あえてラーメン激戦区に出店したのではないか。勝算はあると思います」といいます。
つまり激戦区に出店すると、味の流行や客層といった最新トレンドがリアルタイムで把握できるので新メニュー開発に応用できるのではないかというのです。
激戦区に出店 意外な効果
街にはラーメン店以外にも▼「古書店街」神保町 ▼「電気街」秋葉原 ▼「スポーツ店街」御茶ノ水といった“激戦区”と呼ばれる場所があります。
文芸評論家 三宅香帆さん:
私はよく神保町に“古本巡り”をしに行くのですが、1店舗だけ行くというのではなく、様々な古本屋さんに行くことができるので、購入欲が上がりますね。1冊買ったら次のお店に行ってまた買おうと思ってしまいます。
高柳光希キャスター:
スポーツ用品や古本屋は様々なお店に行こうという気持ちになりますが、ラーメン店だと1杯食べたらお腹がいっぱいになるので次のお店に行こうという気持ちにはならないような気がします。
出水キャスター:
ただ、激戦区に行くと「あそこに行けば何とかなる」と思うことはありませんか?
実はこのような思いから激戦区には『人が集まる』という分析もあり、その結果、小滝橋通りにラーメン店が集まるのではないかということなんです。
井上貴博キャスター:
私は小滝橋通りで深夜まで営業しているラーメン店に行くのですが、値段の安い「松太郎」にも行ってみたくなりますね。
出水キャスター:
目的のラーメン店が混んでいたとき、別のラーメン店に行こうかなという人も多いと思います。またラーメン好きな方は暖簾を見ますので、違う街でそのお店を見かけたときに入ってみようかなということもありますよね。
このように激戦区に出店することで“お店を知ってもらう”きっかけにもなるようです。
また、精神科医の田中伸一郎医師によりますと「前後の文脈から様々な推察をして対象となる物の価値を決める“コンテクスト効果(文脈効果)”」という心理的な作用があるといいます。
例えば古書店街に新しい本が置いてあっても「さぞかし貴重な本に違いない」、ラーメン店も「激戦区にある店だから、こだわりがあるに違いない」と感じるそうです。
文芸評論家 三宅香帆さん:
確かに同じ本であっても、いわゆる街の古本チェーン店よりも神保町に置かれている方が格好良く見えてしまいます。
ラーメンも「こだわりの一杯」を食べたい場合は、こだわりのあるエリアに行って食べたいですよね。
================
<プロフィール>
三宅香帆さん
文芸評論家 31歳
著書「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」で「新書大賞2025」受賞
・エアコン「1℃下げる」OR「風量を強にする」どっちが節電?「除湿」はいつ使う?賢いエアコンの使い方【ひるおび】
・スマホのバッテリーを長持ちさせるコツは?意外と知らない“スマホ充電の落とし穴”を専門家が解説【ひるおび】
・「パクされて自撮りを…」少年が初めて明かした「子どもキャンプの性被害」 審議進む日本版DBS “性暴力は許さない”姿勢や対策“見える化”し共有を【news23】