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コメも怒りも“届かない”…「節約するのも限界」価格高騰で家計圧迫 備蓄米入札条件の見直し検討で流通拡大の可能性は?【news23】

経済
2025-05-14 12:15

18週ぶりに値段が下がったものの、依然、高値が続くコメについて、アメリカ大使館ではイオンが来月から販売するカリフォルニア産のコメの試食会が行われ、大使もPRを行いました。あの手この手で食卓にコメを届ける工夫が続いていますが、「節約するにももう限界」という現場も…。


【写真で見る】「5世帯にしか配れない」 貧困支援の現場の声は


イオンがカリフォルニア米販売へ

アメリカ大使館でジョージ・グラス駐日大使らが頬張るのは、カリフォルニア産米「カルローズ」で作ったピラフです。

イオンは6月6日から、この「カルローズ」を4㎏2894円で販売。国産米より割安です。


イオン 土谷美津子 副社長
「お米が必要とされている方々に十分な量が届かないという厳しい状況がある。この現実を真摯に受け止め、カリフォルニア産のカルローズ米をお届けすることにした」


こうした工夫が続けられる一方、貧困支援の現場では...


「節約しても限界」困窮家庭 コメ高騰で家計圧迫

よこすかなかながや 和田信一 理事長
「お米はここにストックしてあるが、(残り)5kgが5つ。5世帯にしか配れない。うちは今35軒に配達しているんですけど」


横須賀市にある子ども食堂では、週に1度、困窮家庭への食料支援を行っています。いま、一番欲しいと言われるのが...


よこすかなかながや 和田 理事長
「『お米がほしい』とたくさん声をかけられるが、全然まかないきれない」


6人家族の母
「これが(米)10kgの残り。これで1週間もつかな」
「麦をまぜて炊いたりとか、結構節約しているんですけど、限界ですかね」


子ども2人を育てるシングルマザー
「(米の価格)ちょっと上がるではなく、倍。結構厳しい」
「(米が)気軽に買えなくなっちゃって...」


闘病しながら、小学6年と3年の2人の子どもを育てるシングルマザー。フルタイムでは働けず、週2回レジ打ちのパートをしながら暮らしています。


子ども2人を育てるシングルマザー
「(子どもが)生まれた時から、部屋の中が電車だらけ。(乗り物好きは)遺伝なのか、環境なのか」


子どもたちのために、“米を節約”する工夫をしています。


子ども2人を育てるシングルマザー
「子どもが食べるのを優先。自分の食事を減らして1日2食に」
「明日子どもの遠足で、『おにぎりがいい』と言っている。お米がないのは困っちゃう」


備蓄米 入札条件の見直しは?

“困窮家庭”の家計を圧迫するコメの価格高騰。12日発表されたスーパーのコメの販売価格は18週ぶりに下落に転じましたが、5kgあたり4214円と、依然高い状況が続いています。


江藤拓 農林水産大臣(13日)
「できることは何があるのか、毎日のように省内で検討していますので」


農水省が検討しているのが「備蓄米の入札条件の見直し」です。


現在、政府は売り渡した備蓄米と同じ量のコメを「1年以内に買い戻す」ことを条件にしています。しかし、今年秋のコメの収穫が見通せない中、この条件がハードルとなり、入札に参加しているのはJA全農など一部の大手業者だけ。そこで「買い戻し」の条件を見直すことで入札に参加する業者を増やし、備蓄米を広く流通させたい考えです。

ただ、13日の会見では具体的な対策について言及なし。後手に回る政府の対応に、諦めの声すら聞こえてきます。


コメも怒りも“届かない”「早急な期待はできない」

生活保護を受給(50代)
「私たちの怒りが届くのであれば怒りますけど、どうせ届かないので。怒るよりは、なんとかその中で、(生活)する方を考えますね」


高校生と小学生の子どもを育てる男性は、健康面の問題から働くことができず、現在は生活保護を受けて暮らしています。


生活保護を受給(50代)
「見たことない、備蓄米。スーパーとかでも」


スーパーで備蓄米は手に入らず、手元に残っている米はあと約2kg。


生活保護を受給(50代)
「子どもはやっぱり、ご飯が好きだということもありますから、親はその分麺にしたりとか」


スーパーで値引き品を買うなど、生活を切り詰めて来ましたが、それももう限界です。


生活保護を受給(50代)
「早急な期待はできない。お米はたぶんしばらく下がらないでしょうし」
「個人的な意見としては、早く何でもいいからやってくれ」


備蓄米 入札条件の見直し検討

小川彩佳キャスター:
行き渡るべきところに遅々としてコメが行き渡らない。「備蓄米の入札条件の見直し」という対応も後手に回っています。


「フォーサイト」元編集長 堤伸輔さん:
今頃って感じです。そもそも1年以内の買い戻しに応じることができるなんて、JA全農と数えるほどの業者しかありません。江藤大臣は省内でいろいろ検討すると言っていましたが、入札は基本的には高い値段をつけたところから落札していくので、それこそ大手に寄りやすくなるわけです。実際にJA全農がかなりの量を落としています。

この際、米不足に対応して、なおかつ価格を下げるためには、一種の上限価格「プライスキャップ数」を設けるべきだと思います。価格を明らかにしてしまうと価格ギリギリに入札する人が多くなり成り立たないので、農水省が自ら市場調査をして今の市場価格より若干低く上限価格をつける。また、備蓄米は国民の財産でありタダで出すのも困るので、見えないゾーンを設定し、下限価格もつけるべきです。そしてその中で高い値段をつけたところから落札していけば、値段が少しずつ下がっていく効果があるし、強いところだけが落ちていくことが徐々に緩和されると思います。

そういうアイデアを練って欲しいけど、どうも今の農水省には無理みたいです。イオンがカリフォルニア米を売ってくれるということで、あとは民間に期待するしかないのかなと思います。


小川キャスター:
そこまで来ているということですね。


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<プロフィール>
堤伸輔さん
国際情報誌「フォーサイト」元編集長
政治から社会問題まで幅広い報道に携わる


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