21日に発表された2024年度の東京23区の新築マンション平均価格は2年連続で1億円を超え、過去最高を記録しました。それでも売れ行き好調の理由とは、一体何なのでしょうか。
【写真で見る】少しでも安く購入したい!そんな人には「定期借地権付きのマンション」も…
「高嶺の花になる前に」マンション価格の高騰の理由は“供給数”
高柳光希キャスター:
年々上がり続けているマンションの価格について、2024年度の新築マンション平均価格は、東京23区では1億1632万円ということで過去最高を記録しました。その背景には、建築資材や人件費の高騰があります。
毎年、マンション価格が高くなっているとお伝えしていますが、安くなることはあるのでしょうか。
TBS報道局経済部 竹岡建介 記者:
取材している不動産会社の幹部に、いろいろと話を聞いてきましたが、「安くなる見込みは薄い」と、皆さん口を揃えておっしゃいます。
そもそも「コストが高くなっている」というのに加え、今、東京で大規模なマンションを開発できる土地がかなり少なくなってきていて、「用地取得が難しくなってきている」。そういったところで、そもそものマンションの供給数が減ってきている状況です。需要と供給の関係的にも、価格が当面はなかなか安くなるという材料がない、とおっしゃっていました。
実際、モデルルームを取材して、「東京のマンションは高いけれども、何をきっかけに買ったのか?」を聞きました。
すると皆さん、「今後も高くなっていくようなので買い遅れてしまう」「今だとギリギリ買えるかもしれない。高嶺の花になる前に買ってしまう」と話している人が多くいました。
「定期借地権付きのマンション」割安だが、投資には向かないデメリット
高柳キャスター:
少しでも安く買いたいという人には、「定期借地権付きのマンション」というものもあります。
期限付きで借りた土地にマンションを建設するというもので、建物のみを購入できます。
例えば、30年という期限で買っていった場合、30年後には引っ越しをして、建物を解体し、地主に返還しなければなりません。
1億円で販売していた通常の分譲マンションが、借地権付きですと9000万円程度と、約10%安くなることもあるそうです。これはお得なのでしょうか。
TBS報道局経済部 竹岡建介 記者:
確かに、価格面では少し割安というメリットがあるのですが、デメリットもあります。
期限は70年や90年が多いのですが、期限が近づくと更地にしなければいけないので、建物としての資産価値が減ってしまう可能性があります。
割安ではありますが、どこまでリスクとして取れるかという、先々のことを検討して購入する必要があります。
井上貴博キャスター:
ここからもまだ(マンション価格は)上がっていきますか。
大和証券チーフエコノミスト 末廣徹さん:
新築だけでなく、中古も(マンション価格が)上がっているので、(高騰の理由は)資材だけではないと思います。「今買わなければ」という気持ちが強い人が多いので、中古も上がっているのだと思います。
出水麻衣キャスター:
「今買わなければ」と言った方が売れるから、不動産会社の方が「そういう売り文句を言う」という見方もありますが…
大和証券チーフエコノミスト 末廣徹さん:
その面もあると思いますが、現実問題として、この十数年ずっと上がってきていて、言っていたことは正しかったことになっています。そのため、よりそれが正しく聞こえるので「買おうかな」という気持ちになっているところもあると思います。
あと、「定期借地権付きマンション」という、資産価格が下がるとの話もありましたが、「半分投資」となると、どこかで「売る」という話が出てくる。例えば70年の期間があっても、40年住んだら残り30年。すると、次に買う人がローンを30年までしか組めない。「投資」という目線だと難しいのではないか、という面が出てきます。何を重視するか、何を捨てていくかなど、難しいところがいろいろあります。
井上キャスター:
投資なのか、住むのか。どうするのかというところですね。
大和証券チーフエコノミスト 末廣徹さん:
現状では、投資目線の人が増えてきていると思います。私の友人でも、最近タワーマンションの抽選に当たったとのことで、「良かったね」と言ったら、表情が少し曇っていて「これからローンを払うと思うと心配だ」という状況でした。
今後、値上げの波は都心以外にも…都心以外の注目エリアは?
高柳キャスター:
マンションの価格が上がっている中で、いっそ東京から離れてしまおうという人もいるようです。
そんな中で新築マンションが安い「注目のエリア」をご紹介します。
東京駅まで電車で約40分「千葉県 幕張」
・3LDK:5000万円台~
東京都心だと基本は1億円超えだが、都心の半額以下で買える。
・子育て世代に人気
街の魅力として、公園や商業施設などが揃っているので、生活も比較的しやすい。
・駐車場も大きく、車生活ができる
マンションの中に駐車場がある場合が多い都心だと、台数が限られていたりと、なかなか車を持てない。幕張だと大きい駐車場もあるので、車生活ができる。
一方で、人口も増えているので、朝の通勤ラッシュが激しいといった点もある。
井上キャスター:
この先、都市部一極集中でどんどん跳ね上がっていく。人口減少社会が本格的に入ってくると、空き家が増えるとか、少し状況が変わるのでしょうか。
大和証券チーフエコノミスト 末廣徹さん:
「コンパクトシティ化」と言って、各都市の中心部に人が集まる動きは続いていくと思います。なので、大規模なマンションが建つエリアというのは、急に空き家ができたり、安くなったりというのは、すぐには起きないと思います。
出水キャスター:
今は都心に比べたらお手頃に見えるような所にも、これから値上げの波が波及していくのは考えられますか。
大和証券チーフエコノミスト 末廣徹さん:
都心で古いものを直して使おうみたいな動きが出てくると状況が変わると思いますが、(都心には)用地がないので、(都心から)外に外にという力は今、働いていると思います。
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<プロフィール>
竹岡建介
TBS報道局経済部
不動産業界や経済官庁を取材
末廣徹さん
大和証券チーフエコノミスト
物理学から金融・経済学まで幅広い分野で学位を取得
多角的な視点から日本経済を分析する新世代エコノミスト
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