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トランプ・スタグフレーションとAIバブル崩壊?【Bizスクエアで学ぶ 投資のキホン#30】

経済
2025-04-03 07:00

トランプ・スタグフレーションとAIバブル崩壊?

――きょうのテーマは「トランプ・スタグフレーションとAIバブル崩壊?」


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スタグフレーションとは元々あった言葉か。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:

スタグフレーションは造語。「スタグネーション(景気停滞)」と「インフレーション」を組み合わせた言葉。景気停滞、もしくは景気後退とインフレが同時に進行する状況を指す。景気が悪いにもかかわらず物価が上がる最悪の状態であり、非常に苦しい状況である。ここ数年の日本は景気が良くないにも関わらず、物価だけが上がる状態が続いている。


――スタグフレーションの懸念が高まっているのはなぜか。


ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
株価のグラフを見ると、ここ1か月ほどで起きていることは、トランプの関税やアメリカの景気減速、もしくは景気後退が意識され、スタグフレーションの懸念が高まっていることが表面的な要因である。


ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
本質的には、ハイテク株やAIバブルが崩壊しかけている状況にある。アメリカの株価が高すぎたことがあり、AIバブル・ハイテクバブルが崩壊しかけている。スタグフレーションはそのきっかけや売りの口実にすぎない。トランプ大統領が政策を進めると、なぜスタグフレーションが心配されるのか。まずインフレについて。保護貿易として関税をかけ始めており、来週4月2日には大規模な関税が予定されている。これにより物価が上がる。トランプ減税を年内どこかで延長すると、アメリカ人の消費を刺激し、物価上昇につながる。移民を制限し、1100万人を追い返すとすれば、アメリカは労働力不足に陥る。企業は賃上げを行い、その分を価格に転嫁せざるを得ず、物価が上がる。関税や移民制限は景気を悪化させる要因である。ただでさえイーロン・マスク氏による政府職員の大量解雇や教育省の廃止などの発言が不安を増幅させている。教育省が管理する学生ローンの返済がどうなるのか、不安が高まり、景気減速につながる。


――4月2日には、相互関税の詳細が発表される。半導体、医薬品、木材などの品目別関税や、自動車への25%の追加関税が発動される。


ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
日本は除外されるという甘い期待もあったが、市場ではその可能性は低く、日本も対象になると明言されている。もし日本からの自動車に25%の追加関税が課されれば、日本の自動車産業に大打撃となる。試算では、営業利益が3兆円から5兆円削られる可能性がある。トヨタの昨年2024年3月期の営業利益が5.3兆円であったことを考えると、トヨタ1社分の利益が吹き飛ぶ規模である。株価にも大きな影響を及ぼす。トランプ大統領の発言後、トヨタの株価は2%程度しか下がらなかったが、3月28日は大きく売られ、1日遅れで反応した。自動車メーカーはアメリカ国内での車種を絞り込むなどコスト削減策を講じるが、マイナスの影響は避けられない。


――AIバブルは崩壊しかけているのか。


ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
バブル崩壊しかけていると考える。市場関係者の見方は分かれている。企業のAI活用やデータセンターの需要は増えているが、市場が期待したほどの伸びにはならない可能性がある。これがAIバブルの崩壊。期待が高まりすぎた状態が軌道修正を迫られている。半分ほど崩壊したとも言えるが、残り半分がこれから来る可能性もある。いつ起きてもおかしくない状況である。S&P500やナスダックでは、年明けに史上最高値を付けた後、S&P500が10%、ナスダックが13%下落した。さらに10%から15%の下落余地がある。


――エヌビディアやテスラも下落している。


ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
エヌビディアは成長が鈍化し、市場がそれを嫌気している。鈍化を市場がどう見るか。ライバル出現よりも、エヌビディアのGPUを必要としないAIの研究が脅威である。ディープシークなどが該当する可能性があるが、評価は分かれている。いずれにしてもエヌビディアの評価は下がってきている。テスラは大統領選後に2倍近く上昇したが、その後、元の水準に戻った。マスク氏の不買運動や政治的影響が背景にある。マスク氏のAIの会社「XAI」が「X」を買収。マスク氏の企業がデータを統合する動きは、興味深いが、恐ろしいことが起きる可能性もある。


――そんな中、投資はいま始めても大丈夫か。


ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
長期投資であれば大丈夫である。老後まで何十年もある場合、資産形成に焦る必要はない。昨年2024年の「令和のブラックマンデー」では日経平均が3万1500円まで下がったが、現在は3万6000円と5000円以上高い水準にある。長い目で見れば、株価は下がっても戻り、高値を更新してきた。リーマン・ショックでは半値に下がったが、5~6年で回復し、現在は12年で、4倍。近い将来に資金を使う必要がある人は怖いが、10年後、20年後に使う人は怖がる必要はない。一喜一憂するのは良いが、投資行動は一喜一憂しなくてよい。


――新年度に投資を始める人へのアドバイスは?


ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
長期投資を徹底すること。短期売買で儲けるのは難しく、乱高下があっても10年、20年かけて少しずつ投資し、大きな流れに乗ることが重要である。トランプ政策で来年の中間選挙までは、変動が激しい状況が続くが、長期投資家には安く買うチャンスが増える。エヌビディアやテスラが下がれば買い時が来る可能性もある。短期で結果を出す必要がない個人投資家は、売買を急ぐ必要はない。


――最後に投資のプロから相場の格言。「重機相場は悲観の中に生まれ、懐疑とともに育ち、楽観の中で成熟し、幸福感とともに消えていく」


ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
有名な投資家、ジョン・テンプルトンの名言であり、AIバブルに当てはめると分かりやすい。AIは当初未知のものであったが、エヌビディアの業績向上やチャットGPTの普及で育ち、「儲かった」など、幸福感に至った。現在は「幸福感」が、消えかけているが、FRBの利下げなどで再び盛り上がる可能性もある。今はハイテクバブルは「楽観の中で成熟し」「幸福と共に消えてゆく」の間なのかもしれない。


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