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NY市長に「元ラッパー」でイスラム教徒のマムダニ氏 当選の鍵は“高すぎる家賃”問題 トランプ氏とは激しく対立【Nスタ解説】

海外
2025-11-06 21:20

イスラム教徒として初めてとなるニューヨーク市長となるゾーラン・マムダニ氏(34)。どんな人物で、なぜ当選できたのでしょうか。


【写真で見る】ラッパーとして活動するマムダニ氏


「元ラッパー」で「イスラム教徒」のマムダニ氏(34)

高柳光希キャスター:
イスラム教徒として、初めてニューヨーク市長に当選した民主党のゾーラン・マムダニ氏(34)。アフリカのウガンダ共和国で生まれ、7歳の時にニューヨークに移住してきました。

2018年にアメリカ国籍を取得し、2020年にニューヨーク州議会議員選挙で初当選を果たし、2022年、24年と2度にわたって再選を果たしています。


大学卒業後には、低所得層世帯を支援する“住宅カウンセラー”として活動をしていました。

さらにその傍ら「ヤング・カルダモン」という名前でラッパーとして活動していた異色の経歴も持ち合わせています。


アメリカ・ニューヨークといえば、2001年に同時多発テロが発生。イスラム過激派組織「アルカイダ」による犯行ということもあり、特にニューヨークではイスラム教徒への憎悪が広がっています。

市長選では「事件を容認する人物」などと攻撃される場面もあったということですが、なぜマムダニ氏が市長選で当選することができたのでしょうか?


厳しく攻撃された「宗教・人権問題」を上回る争点

ニューヨーク支局長 並木航:
ニューヨークでは、同時多発テロ事件は今も重要な出来事として記憶されています。今回も選挙戦でも右派を中心に、マムダニ氏は「事件を容認する人物だ」などと厳しく攻撃をされてきました。

そして、ニューヨークは全米で最も多くのユダヤ人が暮らす街でもあり、今進行しているガザの問題やハマスの武装闘争についても繰り返し問われてきました。こうしたことを背景に、マムダニ氏への投票を拒む人たちも一定数いたとみられます。

なぜ当選できたかというと、「宗教・人種問題」を上回る大きな争点がありました。


1部屋約62万円 NYの高すぎる“家賃”

ニューヨーク支局長 並木航:
「高すぎる生活費を何とかしてほしい」というのが最大の争点となりました。ニューヨークは物価が何もかも高いのですが、特に高いのが家賃です。


▼1部屋(約55平米 リビング+寝室の場合) ※米・賃貸物件情報サイトによると
・ニューヨーク 4029ドル/月
→約62万円

・米 全国平均 1631ドル/月
→約25万円

アメリカ全国の平均と比較すると、約2.5倍高いことになり、特に若い人にとっては「暮らせない」という状況です。

井上貴博キャスター:
ニューヨークほどではありませんが、日本でも物価・賃料が上がっています。既存の政治家にNOを突きつけるというのは、日本も世界各国も同じなのですね。

経験値は少なくても大胆な政策を打っている人が当選するという、転換点なのでしょうか。


TBSスペシャルコメンテーター 星 浩さん:
日本にも及んでくる可能性があると思います。

やはり「高い」ということだけではなくて、(背景に)格差があると思います。家賃が高い一方で、ウォール街には何億、何十億という年収の大富豪がたくさんいます。

「いくら何でもひどい」ということは、今回の市長選挙の大きな争点の一つだったと思います。

高柳キャスター:
「家賃の凍結」という言葉が頻繁に出てきますが、具体的にはどういうことなのでしょうか?

ニューヨーク支局長 並木航:
対象となるのは、築約50年以上のアパート約100万戸になります。

現在、アパートについては家賃の値上げ幅に制限がありますが、これを4年間ゼロにするということを公約にしています。


トランプ大統領との対立 これからも続く?

高柳キャスター:
トランプ大統領との関係性も気になります。ニューヨーク市長選中には、お互いを激しく批判する場面も多くありました。


しかし選挙後、トランプ大統領は「我々はニューヨークに成功してもらいたい。少しは手を貸してやるかもしれない」と発言。

マムダニ氏も「トランプ大統領と『どのように協力してニューヨーク市民に奉仕できるか』話し合うことに関心を持っている」とコメントするなど、歩み寄っているような印象もあります。

対立は続くのでしょうか?


ニューヨーク支局長 並木航:
(対立は)続くと見た方がいいと思っています。

トランプ大統領は、これまで売られたけんかで引き下がったことはありません。実際、トランプ大統領は選挙の投開票日の前から「連邦資金を凍結する」と早くも打ち出しています。

そして、ここから先は州兵の派遣があるのかという点にも注目です。

これまでトランプ大統領は、民主党の有力者がいるカリフォルニア州や、シカゴがあるイリノイ州に州兵を派遣する方針を打ち出して、大きな混乱を引き起こしています。

ニューヨーク州に州兵を送るハードルは、他の州よりも高いと言われていますが、マムダニ氏は相当存在感を高めているので、トランプ大統領が州兵の派遣という選択肢をとることも十分にあると思っています。

その場合、特にニューヨークでは抗議活動が大きくなるため、混乱がさらに大きくならないか非常に気になります。


民主党に敗北 トランプ大統領は「非常に焦っている」

井上キャスター:
アパート100万戸の値上げ幅を4年間ゼロにするという「家賃凍結」の財源については、目途がついているのでしょうか。

ニューヨーク支局長 並木航:
家賃のことも含めた全体的な財源として、富裕層・大企業に2%の増税を行い、それで財源を確保していくというのがマムダニ氏の政策の大きな柱になっています。

井上キャスター:
今回のニューヨーク市長選挙で与党が負けて、他にも2つの州で民主党が勝っています。ただ、トランプ大統領の支持率が低迷する一方で、民主党の支持率が高いわけでもありません。どう見ていますか?


星 浩さん:
民主党は今、自分探しをしていると言われています。
ニュージャージーとバージニアで勝った知事は、どちらかというと穏健派なので、マムダニ氏のように急進的な政策を掲げるのか、穏健派なのか、どちらの路線がいいのか党内で定まらない状態です。

これから、マムダニ氏のような急進的な動きになるのか、穏健派で中間層をまとめていくのか。そういう点では民主党の課題も明らかになったと思います。

出水麻衣キャスター:
どちらにしても、トランプ大統領は今焦っているでしょうね。

星 浩さん:
非常に焦っていると思います。2つの州知事選挙で負けたということもショックですし、特にバージニアというのは、大統領選挙でかなり優位に戦っていたのに、民主党に奪われたわけですから。

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<プロフィール>
並木航
ニューヨーク支局
南米スラム街の取材経験も

星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身
政治記者歴30年


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