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日本語学習を通じて多文化共生を目指す台東区「にほんごカフェ」

海外
2025-10-23 17:00

100か国以上の人が住む台東区の「にほんごカフェ」

日本語学習を通じて多文化共生を目指す台東区にある「にほんごカフェ」を取材しました。


【写真を見る】日本語学習を通じて多文化共生を目指す台東区「にほんごカフェ」


台東区は東京都で4番目に外国人住民の比率が高い街で、100か国以上の人が住んでいます。去年6月に浅草橋で誕生した「にほんごカフェ」はいわゆる飲食店のカフェではなく、日本語を学べる多文化交流の“活動”を指しています。


毎週月曜日に浅草橋駅近くの高架下にある「まちの異文化交流ステーション」で、台東区に住むまたは働く外国籍の人と、地域の日本人住民の交流が図られるために作られました。


「にほんごカフェ」を主催するボーダレスハウス は、国際交流シェアハウスを運営している会社です。
国内では東京、大阪、仙台に、海外では韓国や台湾に、合わせて約80棟に120か国以上の国籍の人が住んでいて、最低3か国以上の人が共に生活する環境が作られています。
浅草橋のシェアハウスでは住民が地元の祭りや朝市に参加するなど多文化共生が進められています。


ボーダレスハウス 株式会社 細木 拓哉さん
「この『にほんごカフェ』を“カフェ”と名前を付けたのは、日本語の文法を学ぶというより日本語を通じてどうやったらコミュニケーションを日本の住民の方とできるかなとか、お友達を作るみたいな感覚で来ていただく場所をイメージしてスタートさせました。

中身としては日常に使う会話を中心としてやるんですけど、結果的にはお子さんの相談から『今度ここに行かなきゃいけなくて、その時どういう日本語を使えばいいの?』といった質問をするという場になっていて、井戸端会議みたいな感じで日本語を学ぶというところをイメージしてやっています」


取材をした10月6日も授業が始まる前から友達同士のように賑わっていました。
参加していたのは中国籍の生徒が9人、地域に住むボランティアを含め日本語の教師は7人と、ほぼマンツーマンで行われました。
 
これまでも、中国のほかインド、フランス、アメリカ、ドイツ、ウクライナ などあらゆる国籍の人が参加しているということです。
「にほんごカフェ」で教師を務め、台東区で多文化共生コーディネーターとしても活動する山藤弘子さんに台東区での多文化交流について聴きました。


「にほんごカフェ」日本語講師 兼 多文化共生コーディネーターの山藤弘子さん
「台東区の在住外国人の方の半分が中国の方です。
特徴としては、伸び伸びこどもに勉強させたいという思いで20代後半から30代後半にかけての子育て世代が台東区選んで来てる方が多いです。
今、台東区の約10%が外国ルーツの方というふうになってきましたので、お互いに学び合うということを大事にしています。
ここで外国の方と知り合って繋がりを持てるような、そういう機会をなるべく多く作ろうということを意識してやっています」


にほんごカフェを通じて広がる輪

外国出身の住民がボランティアの日本人「先生」を自宅に招いて中華料理を振る舞ったり、梨狩りに一緒に出かけたりと「にほんごカフェ」をきっかけに交流が深まっているようです。
山藤さんの「にほんごカフェ」では日常のシーンを切り取って教科書が作られていますが、この日は「買い物」をテーマに、会話形式でレッスンが行われました。


「にほんごカフェ」授業の様子より


先生「きょう勉強するのは『売り場』です。例えば、野菜売り場、肉売り場、魚売り場。じゃあ見ててくださいね」


先生「いらっしゃいませ」


生徒「あの、すみません」


先生「寿司はどこですか」


生徒「魚売り場です」


先生「魚売り場はどこにありますか」


生徒「地下1階です」


先生「エレベーターの近くです」


生徒「あ、はい、わかりました。ありがとうございます」


実践的な生活に即したテーマで授業が行われるので、山藤さんの授業のおかげで買い物は困っていないという声がありました。
一方で、日常生活では日本語の難しさに苦戦しているという参加者が多くいました。
現在、仕事場や娘が通う幼稚園でのコミュニケーションの難しさを感じているという中国人の男性に話を聴きました。


「にほんごカフェ」参加者の中国人男性
「『にほんごカフェ』に通い初めて3か月くらい。毎回日本人のボランティアといっぱい日本語を話します。とても役に立っています。
例えば、区役所へ行くとき、病院へ行くとき、車を買う、車庫証明を作るとき、全部難しい。
日本語の先生が話すときは、いつもゆっくり。教科書の日本語。
でも仕事で日本人と話すときは、本当に難しい。
日本人の日本語と教科書の日本語全然違います。だから、わからない」


行政の窓口手続きなどをはじめ、敬語など言葉が丁寧であればあるほど外国人にはわかりにくいと山藤さんは話します。
山藤さんは、日本人としても「英語や中国語を話せない」とお手上げするのではなく、文節を区切ったり、ゆっくり日本語を伝えるだけでもコミュニケーションは変わると教えてくれました。


山藤さんは台東区の「放課後教室」で子どもたちと交流した際に多文化共生の課題を感じたそうです。


「にほんごカフェ」日本語講師 兼 多文化共生コーディネーターの山藤弘子さん
「子どもたちに聞いたところ、一番使うのが中国語で、クラスメイトも中国の子が多い。だから遊ぶときもじゃんけんが中国語でできた方がいいと言います。
子どもは相手と交流したいという思いから何語であろうがやってみたいということを教わりました。
子どもはもう共生が進んでいる。
クラスメイトにいろんなルーツの子がいるという現状からも、私たちもそういったところから見習って、町単位でそういったいろんな文化・言語の人と交流できる自然に交流するような形になっているといいなと。
大人がやはりこれから変わっていかなきゃいけないなと思います」


子どもたちは、教室のなかで自然と多文化交流を行っているという指摘が印象的でした。


(TBSラジオ「人権TODAY」2025年10月18日放送分 担当:久保絵理紗 (TBSラジオキャスター)


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