石油や天然ガスが豊富に埋蔵されているとみられているアメリカ最北端のアラスカ州。「掘りまくれ」とトランプ大統領が“掘削禁止規制”を撤回したことによって、石油やガスの開発が進められる予定です。日本へのエネルギー輸出拡大も。キツネやホッキョクグマなどが生息するこの土地に今、注目が集まっています。
“眠る石油・天然ガス” 注目集まるアラスカ州 トランプ政権で“掘削禁止”撤回
空港から出ると一面真っ白。アメリカの最北端・アラスカ州。
涌井文晶 記者
「この小型飛行機で北極圏の野生生物保護区に向かいます。1時間半のフライトです」
雪に覆われた山々を超えた先に、北極圏の国立野生生物保護区が広がっています。
涌井文晶 記者
「北極圏の野生生物保護区域に到着しました。見渡す限り真っ白な雪に覆われた大地が広がっています。キツネがいますね」
野生のキツネやホッキョクグマなどが生息する自然豊かな地域が、トランプ政権の誕生後、注目の的になっています。
アメリカ トランプ大統領(1月7日)
「もうすぐ掘削が始まる。アラスカの野生生物保護区でも規制を無くす。誰もできると思わなかったことをどんどんやっていくつもりだ」
アラスカの野生生物保護区には、石油や天然ガスが豊富に埋蔵されているとみられていますが、環境保護を重視する前のバイデン政権のもとでは掘削が禁止されていました。
トランプ大統領はその規制を就任初日に撤回。アラスカの石油や天然ガスなどを「解き放つ」として、開発を全面的に推進する大統領令に署名したのです。
北極海を臨む、カクトビック村。主に、アラスカ先住民の人たちが暮らす人口260人ほどの小さな村です。
村長は、トランプ政権による石油やガスの開発推進の決定を歓迎していました。
アラスカ・カクトビック村 ネイサン・ゴードン 村長
「とても嬉しいです。我々の声がついに届きました。この村の9割の人は、野生生物保護区をめぐるトランプ氏の大統領令に賛成しています」
野生生物保護区に唯一位置しているこの村には、観光業のほかに目立った産業がなく、他の街につながる道路もありません。生活必需品を運ぶにも小型の飛行機が必要で、地元の商店の棚には空きが目立つほか、商品の価格も高くなっています。
村長は石油やガスの開発を通じて、住民の生活が改善することを期待しています。
アラスカ・カクトビック村 ネイサン・ゴードン 村長
「私たちは環境保護団体より前からこの自然を1000年以上守ってきました。石油の開発と環境保護は両立できます」
「掘って、掘って、掘りまくれ」 日本へのエネルギー輸出拡大に期待の声も
アラスカでの石油やガスの開発は、日本にとって無縁ではありません。
アメリカ トランプ大統領(1月27日)
「アラスカの野生生物保護区から、アジア全域にエネルギーを供給できるだろう」
トランプ氏は、アラスカで生産した石油や天然ガスを日本を含むアジア各国に輸出する考えを示しているのです。
実は、日本が1969年に初めてLNG(液化天然ガス)を輸入したのはアラスカからと、ゆかりもあるのです。
アラスカの石油とガスの業界団体からは、日本へのLNG輸出に期待する声が上がります。
アラスカ石油・ガス協会 キャラ・モリアーティ 会長
「天然ガスをもっと生産していた時、輸出設備もありましたし、日本は大口顧客でした。今、日本は天然ガスが必要だと認識しています。トランプ大統領には(石破総理に)『アメリカはエネルギーを持っている』『エネルギー支配を進めたいし日本を助けたい』と言うことを期待します」
日本がLNGなどのエネルギーの輸入を増やせば、アメリカにとっては貿易赤字の削減につながります。
また、ロシアからLNGを輸入している日本にとっても、同盟国であるアメリカから調達を増やすことは、エネルギー安全保障上、プラスだとの見方があります。
石破総理は先週、トランプ氏との「ディール」に含みをもたせる発言をしていました。
石破総理(1月31日)
「安定的なエネルギー供給に対して、合衆国に我々として要請すべきことはあるだろうと」
ただ、アラスカでのLNG開発は停滞が続いています。
アラスカ石油・ガス協会 キャラ・モリアーティ 会長
「アラスカにはたくさんの天然ガスがあります。問題は、天然ガスが埋蔵されている北部から南部の港に運ぶパイプラインを作り日本に輸出する計画は、非常にお金がかかることです」
また、環境保護団体も野生生物保護区での開発に反対を続けています。それでも…
アメリカ トランプ大統領(1月20日)
「掘って、掘って、掘りまくれ」
エネルギーをめぐるトランプ大統領と石破総理の「ディール」は成立するのか。アラスカの人々も熱い視線を注いでいます。
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