高市新総裁の船出に逆風です。長年のパートナーである公明党は9日夜、地方議員らを交え、自民党との連立をめぐって協議を行いました。
【写真で見る】ワインバルの店長「もうボッコボコ。ボコボコにされてます」
153円台は約8か月ぶりの円安水準 仕入れ値高騰で厳しい状況
仕事帰りの“ご褒美”に…この一杯にも、円安の波が押し寄せています。
東京・四谷にある「MARUGO四谷」というワインバル。世界各国から取り寄せたワインがずらりと並びます。しかし…
マルゴ四谷 松原一馬店長
「(仕入れ値)ワイン1本あたり、1000円以上値上がりしているものも」
値上がりの主な要因は「円安」です。ワインに添えるチーズや生ハムなど、輸入食材の仕入れ値も軒並み上がっています。
マルゴ四谷 松原一馬店長
「本当に厳しくて…粗利(利益)もどんどん減っていますし、何とか価格維持は頑張っていますが、厳しい状況」
さらに心配なのは、ここに来て、再び円安が進んでいること。10月9日の円相場は一時、1ドル=153円台まで値下がり。約8か月ぶりの円安水準となりました。きっかけは…
自民党 高市早苗総裁
「何としても物価高対策に力を注ぎたい」
自民党・高市総裁のもとで、
・「日銀が利上げに動きにくくなった」との見方
・“積極財政”による財政悪化への警戒感が拡大
円が売られてドルが買われる動きが続き、総裁選前の10月3日からは、5円ほど円安に進んでいます。
この“高市トレード”の動きに、ワインバルの店長は…
マルゴ四谷 松原一馬店長
「もうボッコボコ。ボコボコにされてます。『これいつまで続くのかな…』『回復するのかな…』というのは不安なところ」
26年間の連立に不安の影 最大の隔たりは「政治とカネ」の問題
高市執行部の発足で円安への不安が募る一方、連立を組む公明党内には不満の声が高まっています。
喜入友浩キャスター
「公明党の施設の前に車が1台2台…関係者が5人ほど降りてきました。これから各都道府県本部の幹部が集められ、会議が行われるということで、続々と関係者が中に入っていきます」
9日午後7時から始まった公明党の会合。100人ほどが詰めかけ、連立をめぐって党幹部と地方組織の代表らが約2時間にわたって意見を交わしました。
会合の参加者
「(Q.会の雰囲気や意見の内容は?)まあいろいろ」
「(Q.意見はまとまったのか、割れたのか?)まあ団結してやろうということになりました」
「26年間連立やってきた中でそれぞれ想いがあるので、それぞれの方々がいろんな発言をしていました。公明党らしらを出していくのが大事だと思いますので、どういう状況になってもしっかりと公明党らしく戦っていく」
出席者からは「政治とカネの問題は、毅然と1歩も引くべきではない」という声が多くあったといいます。
公明党 谷合正明参院議員
「今後の対応については、連立の重みも重視すべきだという声もあれば、斉藤代表がいうように、もし仮に十分な回答がなければ、公明党として毅然とした対応するべきという声もあればということであります」
最大の隔たりは「政治とカネ」です。斉藤代表は9日、改めて自民党を牽制しました。
公明党 斉藤鉄夫代表
「自民党さえ決断すれば、政治とカネの問題、そのある意味では核心にある「企業団体献金」について大きな規制強化に結びつくことができる」
連立の継続をめぐっては7日、公明側が主張する「企業団体献金」の規制強化で折り合わず、結論は異例の持ち越しとなっています。
こうした状況に公明党幹部は…
公明・幹部
「自民党の回答次第では連立解消もやむなしだ」
一方、自民党からは困惑の声が…
自民・閣僚経験者
「公明は無理なボールを投げてきている。これは本気で離脱する気だ」
なぜいま、公明党はここまで態度を硬化させているのでしょうか?
公明党は衆・参の国政選挙で大敗。当時の石井代表が落選するなど、多くの議席を失いました。
公明・幹部
「不記載問題で最もダメージを受けたのは、自民じゃなくて公明だ。自民党には反省し、真相解明する姿勢を示してもらわないと、支持者や党員に目を向けられない」
さらに、10月20日以降に召集が予定される臨時国会での総理指名選挙についても…
公明・斉藤代表(8日配信のネット番組で)
「連立をしなければ『高市早苗』とは書かない」
26年間続いた自公連立にかつてない危機が迫るなか、高市総裁は9日夕方、菅元総理と会談。公明党やその支持団体にパイプを持つ菅氏に、打開に向けた協力を要請した可能性があります。
自民・公明は10日、2度目の党首会談を行う予定です。
高市氏の総裁就任で「経済」に注目 世界第3位の黒字国家の円安理由は
藤森祥平キャスター:
公明党は幹部会合で、自民党との連立の是非に関する判断を斎藤代表と西田幹事長に一任することを決めました。
10日午後に会談する自民党の高市総裁からの企業団体献金の規制に関する回答を踏まえて、斎藤氏と西田氏が最終判断するということです。
約4半世紀にわたり続いてきた自民公明の連立、公明党内からは連立離脱も辞さないという声も上がっていまして、両党の関係はこれまでにない重大な局面を迎えようとしています。
小川彩佳キャスター:
そうですね。緊張感のある局面が続いていますが、高市氏が総裁に就任したことで、連立の構図のあり方などの政局、そして経済も刻々と動いています。藻谷さんはどの点に注目しますか。
地域エコノミスト 藻谷浩介さん:
私は「経済の話」に注目しています。苦しい物価高の原因は「円安」なんですね。円安が理由で、外国に払うお金が増えている。
対策として、国内で税金を集めて困っている人に配るというのは、お金が外国に出ていくことを防ぐわけではないです。経済対策と言っても本質的な対策になっていない。
円安を円高に戻さないといけないのに、なぜ円安なのか。それはアベノミクスの異次元金融緩和でゼロ金利にしたために、ドルに預金するようになったからです。
日本が衰えたのではなく、2024年でいうと日本は年間30兆円近い黒字を稼いでいる世界第3位の黒字国家です。国民1人あたりで言うと、ドイツに次いで世界2位、1人あたりの預金額は世界1位です。
しかし、30兆円を儲けて40兆円以上のお金をアメリカに投資しているために、円安が進んでいる。ということは、金利が低すぎるんです。ゆっくり金利を上げて、国内にお金を戻さないと。
ところが、政府がもっとお金をばらまいて、政府の財政がさらに悪くなると、円安要因に働きますので、「日本をもっと安く買いたい」という外国の方の思うつぼになっている。
「円安が国内経済に良い」「日本が衰えたからしょうがない」と言う人もいますが、「購買力平価」=物価で見た本当のレートは90円台です。例えば、90円台に一気に到達できなくても、110円台に戻るだけで、日本人の給料も1.〇倍に上がる。物価高も大幅に緩和します。
ゆっくり金利を上げていかなきゃいけない。そのためには、政府の財政がこれ以上悪化して政府自身が破綻するという状況を脱さなければいけない。この状況を政治の人たちはわかっているのか、すごく心配です。
<プロフィール>
藻谷浩介さん
地域エコノミスト 共著「東京脱出論」
(株)日本総研主席研究員
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