
長年、取締役を務めてきた日枝久相談役の退任が発表されました。親会社の金光社長は、強い影響力を持つとされる日枝氏に対し、「みんなもっと言っておけばよかった」と後悔の言葉を口にしました。
【写真を見る】フジHD金光社長 “退任”の日枝氏に「もっと言っておけば良かった」と後悔 社内からは「コロナみたい」と先行き不安の声【news23】
「コロナみたい」仕事減で不安感も
渦中のフジテレビ社内で働く人たちは、厳しい状況に置かれています。
フジテレビで働く制作会社スタッフ
「周りの人に『どこで働いているの?』って言われたときに『フジテレビで働いているよ』ってなったら、最近では『大丈夫なの?』とか、良い印象は持たれていない。諦めないで、ちょっとでも信頼を取り戻していくしかない」
「(新型)コロナみたいな、どうなっちゃうんだろうっていうのはある。いつ終わるかわからない不安みたいなのはあります。仕事が減ったりはしたんで、上の人が変わるっていうのは、わかりやすく会社が変わっている感じがするんで、良いんじゃないか」
中居正広さんの女性トラブルへの対応などをめぐり、CM放映の見合わせが続くなど、2月の放送収入が9割減少したフジテレビ。27日、経営陣の刷新を発表しました。
フジ・メディアHD 金光修 社長
「新体制は、役員数を減らし、コンパクトにし、平均年齢を若くし、新たなフジ・メディア・ホールディングスおよびフジテレビへの第一歩を踏み出したと思っている」
“キー局最多”取締役を半分の10人に
企業ガバナンスの専門家は、そもそも取締役が多すぎたと指摘します。
青山学院大学 八田進二 名誉教授
「こんな大人数で重要な案件を熟議する、討議することはありえない。経営の監視監督に対するスピード感がゆるいということ。それと、やはり、無責任体制になる可能性がある。人任せになって、1人ぐらい欠席しても目立たないから。スリム化していかなきゃいけない。取締役はMAX10名だと思う」
民放キー局で取締役の人数を比べると、フジテレビが最多でしたが、今回の刷新で最少となりました。
取締役の平均年齢も67歳から59歳に、8歳の若返りとなったフジテレビ。報道陣から質問が相次いだのが、41年間取締役を務めた日枝久相談役の退任についてです。
記者
「(日枝氏の)影響力残らないのか、院政のような形にならないのか」
フジテレビ 清水賢治 社長
「今回の人事も(日枝氏の)影響力は全くない陣容を発表できたと思う。当然ながら、取締役会における発言はなくなる」
“退任”日枝氏に「もっと言っておけば…」
日枝氏は、1988年に社長、2001年には会長に就任するなど、フジテレビの黄金時代を作り上げた人物。20年前、ライブドア事件のときには、連日、自宅前で取材に応じていました。
日枝久 会長(当時) 2005年3月
「テレビが10年後になくなってインターネットに全部なる、これは絶対ない」
ただ、今回の一連の騒動では一度も取材に応じていません。
記者
「日枝氏が今後、カメラの前で喋る予定は」
フジ・メディアHD 金光修 社長
「それは我々が決めることではない。本人がそういう意思を持たれたらそういう場を設けるし、そうでなければ設けない」
記者
「日枝氏の体制下で、どんな点が反省点で、何を変えていかなければいけないか」
フジ・メディアHD 金光修 社長
「私は日枝さんに言われたことで、違うことは違う、そうじゃないものはそうじゃないと比較的言ってきたほう。それに対して答えてもくれるし、頭ごなしに『こうしろ』と指導の仕方をする人ではない。人間には慮るというとても良いところがある。忖度することは悪いことではないから、慮る気持ちがより強くなるメカニズムが長くいるとできあがってしまうのかな。みんなももっと(日枝氏に)言っておけば良かったねという感じ」
今回の経営陣の大幅な刷新について、フジテレビで働く人は。
フジテレビで働く制作会社スタッフ
「びっくりしたけど、こうなってしまった以上、チャンスと捉えるしかない。視聴者の信頼を取り戻すのもすごく時間がかかると思うけど、もちろん、応援してくださっている方も中にはいらっしゃるので、その方のためにも今、大きく変わるチャンス。前向きに頑張るしかないんじゃないか」
「メディア、フジテレビがどう変わっていくのか」注視しなければ
小川彩佳キャスター:
このタイミングでの日枝氏の退任が発表されましたけれども、井沢さんはどんなふうに感じましたか?
株式会社 QuizKnock CEO 伊沢拓司さん:
日枝さんの去就というのは一歩前進というふうには見えるとは思うんですけど、ここばかりに焦点が当たってしまうというのもまた違うというか、問題が見えづらくなるのかなと思います。
そもそも憶測で語るしかないことの多い問題だっただけに、辞める・辞めないという2択はわかりやすかったので、メディアでは取り上げられやすかったですけど、より語るべきは、どうメディアが変わっていくのか、フジテレビが変わっていくのかという、コンプライアンスだったり、その中身の部分ですよね。
なので、この出来事で幕引きになってしまうのは一番間違っていて、なかなか新しい出来事が起こりづらい問題に今後なっていく中で、どう定期的に我々がそれを確認していくのか、どう変わったのかというのは常に注視しなければいけない問題だなと思います。
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<プロフィール>
伊沢拓司さん
株式会社QuizKnock CEO
クイズプレーヤーとして活躍中
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