石破総理が新人議員に商品券を配っていた問題が広がりをみせています。野党は歴代の自民党の総理も配っていたのではないかと追及しました。
石破総理“商品券配布” 歴代総理にも疑いが…
熊崎風斗キャスター:
石破総理に続き、岸田前総理に関する報道も出始めています。
3月3日の会食です。石破総理が当選1回の衆議院議員側15人に対し、10万円相当の商品券を配布。「労い」であって「政治活動に関する寄付ではない法律には抵触しない」と説明しています。
政治資金規正法では、金銭や有価証券など政治活動に関する寄付というのは禁止されています。
商品券についての記載が無いため、「政治活動に関する寄付」だったのかというところが、焦点になっています。
19日、岸田前総理に関する一部報道がでました。
「2022年、政務官に就任した議員との会食で10万円の商品券を渡していた」
また、「国会議員との会合で現金や商品券などを渡したことはあるのか?」というJNNの質問に対し、岸田前総理の事務所から現時点(19日午後5時半現在)で回答はありません。
歴代総理からは…
麻生太郎元総理事務所
「国会議員との会合の性質に応じて適宜適切に処理したところです」
菅元総理大臣事務所
「総理大臣の在任中はコロナ禍で思うように会合ができない時期でしたが、それ以外の時期においても、政治家を含めて様々な方との会合をもち、その際に手土産を差し上げたことはありますが、いずれも法令の範囲内で適正に行っています」
立憲民主党 野田代表(総理在任期間2011年9月~12年12月)
「全くありません。即答できます」
また、「鳩山政権・菅政権から商品券の受け取りはあったのか?」という質問に対しては「ありません」と答えています。
ホラン千秋キャスター:
伊藤さんは今回の商品券配布問題というのは、どのようにご覧なっていますか?
政治アナリスト 伊藤惇夫さん:
自民党の贈答文化の伝統が、まだ続いていたんだなというのが、第一印象です。
昨日、自民党の関係者に聞くと「何でこんなことで大騒ぎするんだろう」と言っていました。全部とは言わないにしても、これが自民党の中の受け止め方ではないのかなと思う。
逆に言うと、こういうことが長年にわたって浸透し、続いていたのかなという印象を受けますよね。
ホランキャスター:
贈答文化というのは、長く当たり前のようにあったというふうに感じますか?
政治アナリスト 伊藤さん:
1992年〜93年に官房長官をやられていた加藤紘一さん、官房機密費の使途が一部流出した時期がありました。その中には、スーツの仕立て券とか、靴のオーダー券とか、そういうものがたくさん入っていました。
金券みたいなものを配るというのは、ある種の長年続いてきた伝統なのかという感じがします。
井上貴博キャスター:
お金にクリーンなイメージがあった「石破総理がやるんだ」というのを思いました。
政治アナリスト 伊藤さん:
ただ、岸田さんもやられたんではないかという報道があります。これが事実だとすると、「歴代の総理もやってたかもしれない」という疑いが生まれます。ここで浮上してくる問題は、「ポケットマネーなのか、それとも税金・官房機密費なのか」というところです。
萩谷弁護士「政治資金規正法は抜け穴状態」
井上キャスター:
これまでもやっていたのであれば、石破総理のポケットマネーだと言えるかもしれませんが、総理の座についていきなり始めるということであれば「どうなのか」と思います。
石破総理は「政治活動ではない」という一点張りです。政治家に話を聞くと「どう思っているかだから、それで逃げられる」ということですが、それで逃げられるのであれば、ザル法ともいわれる「政治資金規正法」、法律を変えるべきだと思います。
その上で、どこをどう変えるとこういうことができなくなるのか、変えなくても良いという法律家もいますね。
弁護士 荻谷麻衣子さん:
政治資金規正法に違反するかどうかについては、政治活動に関する寄付かどうかという話題がありました。しかし、法律は、通常一般の常識的に考えてどうかという点から解釈します。規正されている本人が、どう考えるかで決まるものではありません。
政治家の考える政治活動ではないという理由で、収支報告書に出てこない政治家間の不透明な金品的なやり取りがこれまでもなされていて、それが通常なのであれば、政治資金規正法は、政治資金を透明化して民主主義が歪められないようにするという目的を果たしていないことになります。まったくのザル法だということですよね。
ホランキャスター:
菅元総理も「法令の範囲内で」ということでしたが、何をもって法令の範囲内とするのかの目安ははっきり分かりません。どう判断して、法令の範囲内で処理しているということなのでしょうか。
弁護士 荻谷さん:
今回の問題は、政治資金規正法で、政治家個人に対して金品の寄付をしてはならないという点に該当するかどうかです。一般常識から見て、政治活動なのかというところが問題視されています。
私は法律家なので、今出ている情報を一般常識から見れば、政治活動に該当し、政治資金規正法違反の可能性が極めて高いのではないかと思いますが、政治家は「これは政治活動じゃない」としていますので、そう言い張れる法律の状態は抜け穴だと思います。
井上キャスター:
結果、それで逃げられるのだとすると、どうすべきなのでしょうか。
弁護士 荻谷さん:
政治活動の定義をもっと詰めていかないといけないでしょう。ただ、規制をされる政治家が法律を作っているので、それができるかどうかが問題だと思います。
商品券は「ポケットマネー」から?「官房機密費」から?
熊崎キャスター:
野党側も追及しています。
17日、共産党の小池晃書記局長は、「商品券をポケットマネーで買ったというけど、(官房)機密費が商品券の原資になったと言われても否定のしようがない」と追及。石破総理は「官房機密費ですか。そういうものを使ったわけではございません」と否定しました。
19日、立憲民主党の重徳和彦政調会長からも「官房機密費が使われているのではないかというかなり合理的な疑いだ」としています。
井上キャスター:
官房機密費かどうかは調べても分からない部分になるわけですか。
政治アナリスト 伊藤さん:
官房機密費というのはブラックボックスで使途を明らかにしなくても良いので、使ったかどうかはわかりません。状況証拠で判断するしかないというところです。
井上キャスター:
政治資金規正法でも官房機密費でも、どちらも逃げ道があるので厳しいということでしょうか。
政治アナリスト 伊藤さん:
政治資金規正法は性善説で、どちらかというと緩いです。公職選挙法は性悪説で、あれもこれもダメと全部押さえ込もうとしますので、アンバランスな法律を変えていく必要があるかもしれませんね。
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<プロフィール>
伊藤惇夫さん
政治アナリスト、著書に「国家漂流」
自民党本部勤務を経て民主党事務局長を務める
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