「消防隊ありがとう」消防車両が大集結した拠点近くの小学校では、児童らによる手書きの横断幕が掲げられました。岩手県大船渡市の山火事は待望の雨でおさまったように見えますが、現地では消防隊による地道な「残火処理」が続いています。
喜入友浩キャスター
「小学校のベランダに、『消防隊のみなさま ありがとう』と(垂れ幕が)掲げられています。近くに消防隊の拠点があります」
消防隊員への横断幕を掲げたのは、大船渡市の隣、陸前高田市の米崎小学校。近くにあるスポーツ施設は県外からの緊急消防援助隊の拠点となっていて、多くの消防車両が集結しています。
教師
「子どもたちが緊急車両に向かって『がんばれー』って叫んでるんですけど、声が届かなかった。『書いたらいいんじゃない』って、子どもから案が出ました」
児童
「書きました」
「いつもテレビ見てて、消防隊のみなさんが大変そうだから、早く(火が)消えてほしいと思ってました」
4日、白い煙が何本も立ちのぼっていた山火事の現場。発生から1週間が経った5日、ようやくまとまった雨が降りました。そして、6日。
江幡平三郎キャスター
「おととい、この上空を飛んだ時には、すねざきの南側の斜面から勢いをつけた煙が立ち上っていたのですが、現在は、すねざきの南の斜面の煙は上っていないようです」
山火事は、おさまったかのように見えます。
避難している人
「煙も見えなくなってよかった」
「煙を見ないだけで心が穏やかになる。あとは鎮圧の言葉を待つだけ」
住民の期待の一方、消防のヘリは繰り返し消火活動を行っていました。
大船渡市 防災担当者
「白煙・熱源が確認された場所が複数あった。本日も鎮圧には至っていない」
横浜の消防隊が地面を掘り返すと、大量の白い煙が立ち上がりました。
元東京消防庁特別救助隊 田中章氏
「これは残火処理ですね。山林火災の場合、腐葉土のようになっている燃えやすい枯れ葉・枯れ枝が堆積している。隊員が一つ一つ掘り起こして残り火を徹底的に“鎮火”に持って行く活動。鎮火とは現場の最高指揮者が発する言葉で、再燃の恐れがない状態」
火災には、「鎮火」の前に「鎮圧」という状態があります。その違いとは…。
元東京消防庁特別救助隊 田中章氏
「残り火があったとしても燃える炎が目で確認できない状態を“鎮圧”という。雨が降ったおかげで鎮圧に近い状態になった。今が残火処理のチャンス」
これは、青森の消防隊が装備する熱画像直視装置を通して見た5日夜の山中のようす。白い部分は、高熱となっている部分です。
元東京消防庁特別救助隊 田中章氏
「熱源がどこにあるか探している。昔は残火処理をするのに掘り起こしながら、手袋をとって素手で触る。近いところまで持っていって、目で見たり、五感で確認していた。サーモカメラのおかげで(残火を)見つけやすい」
江幡平三郎キャスター
「赤い屋根が見えるのが定置網の倉庫なんですけど、燃え落ちてますね」
長引く山火事で、漁業への影響も懸念されています。
山火事の現場の対岸にある下船渡漁港で漁師をしている新沼さん(60)。牡蠣を養殖しています。
牡蠣養殖の漁師 新沼敬司さん
「これ牡蠣。全部、牡蠣」
ホタテ貝にくっついている小さな貝。“牡蠣の赤ちゃん”です。ホタテに牡蠣をくっつけ成長させ、大きくなったら海の方へ移します。
喜入友浩キャスター
「勝手に育つわけではないんですね」
牡蠣養殖の漁師 新沼敬司さん
「手はかかるね。間引きしてやらないと良い牡蠣にはならないので」
海に移された牡蠣は、山から川をつたって流れてくる「植物プランクトン」を栄養源にして成長するといいますが、今回の山火事が植物プランクトンにどんな影響を与えるのか、「経験がないので分からない」といいます。
牡蠣養殖の漁師 新沼敬司さん
「今から一番良い時期なので、春のね。これからの牡蠣の栄養状態がどうなるか心配している。早く再開できるといいんだけれども」
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