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去年7月31日、パリオリンピック™ が開催されている中、福岡で行われたインターハイで1人の怪物高校生が日本陸上界の歴史に名を刻んだ。男子800mで日本記録を更新した落合晃(18 滋賀学園高)だ。落合がマークした1分44秒80は、これまでの記録を0秒95も更新するものだった。
【写真を見る】名前の由来は「柴咲コウ」800m日本記録保持者・落合晃、母・幸子さんと恩師が語る18歳の素顔
陸上を通して培った思い
落合が日頃から大切にしている言葉が、「感謝」という言葉だ。取材のインタビューや、高校3年間かかさずに書き続けた陸上日誌にもその二文字がよく記されている。
「大会を開催して運営しているもらえることに感謝」
「応援・サポートしてもらえることにも感謝」
落合はその理由を次のように語る。
「中学生の時にコロナで大会を運営してもらえなかったりとかで。21年のJOCジュニアオリンピックの時に、U16の1000mで4番になれたんですけど、その時に『開催してもらえる事が当たり前じゃないな』と。そこから当たり前と思わずに、運営してくれる人や支えてくれる人に感謝する事はずっと忘れてはいけないという気持ちです」
落合自身も新型コロナウイルスに感染し、中学最後の全国大会には出場する事が出来なかった。だからこそ、周りの人への感謝の気持ちを忘れないのだという。
落合を高校3年間指導してきた大河亨監督は、落合の人間性も評価している。
「競技力だけではなく、人間的な部分での成長も大きいなという風に感じます。本当に素直で謙虚な子で、それにさらに磨きがかかっている。強くなっても、偉そうにすることもないし、他の選手に対しても今までと同じような関係でいてくれるし、特に後輩に対してはすごく面倒見もいいので、それが彼の強さだなというのはすごく感じます」
高校2年のインターハイで優勝した後から本気で目指した「パリ五輪出場」。その夢は叶わなかったが、落合をサポートする為に陸上部はクラウドファンディングを開始。100万円を超える額が集まった。
「色々な方々からお金を寄付していただいて、クラウドファンディングで応援してもらってすごく嬉しいですし、感謝の気持ちでいっぱいです。もっと応援されるような選手になれるよう、結果を出す舞台は、東京の世界陸上かなと思っているので、まずはそこに立てるように自分が頑張ることと、そこで結果で恩返しができたらいいのかなって思います」
母は「お腹にいる時からスポーツができる子に…」と声掛け
落合の父・正志さんはスキーでインターハイに出場、母・幸子さんはソフトボールで県ベスト4、兄の亮さんは高校まで陸上を続け滋賀県の強化選手になり、現在はパーソナルトレーナーという、スポーツ一家で育った。これまで両親はスキーや体操、水泳、トライアスロンなど様々な競技を経験させてくれたという。
「様々な体の動かし方があるので、色んな筋肉や関節を使ったりとか。そういう面では小さい頃から動かせていた分、今も動かせている部分もあるのかもしれないです。心肺機能もそうですし、活きていることもあるのかなって思います」
母・幸子さんは落合がお腹にいる時から、「スポーツの出来る子になるように」と声をかけていた。「晃」という名前は、誰にでも覚えてもらえること、「晃」という字が好きだったこと、俳優で歌手の柴咲コウさんの大ファンだったことから名付けたという。
「よく「あきら」って読み間違えられるんですけどね(笑)。晃の性格は、周りがよく見えて、気の利く優しい子。だけど負けず嫌い。滋賀学園に入って、監督や先生達、お友達のおかげでさらに成長しているので感謝しかないです」と、母も“感謝”を口にする。寮生活をしている落合が実家に帰省すると、決まって作るのは大好きなハンバーグだ。
卒業後は陸上の名門・駒澤大学に進学予定となっている落合。9月開幕の「東京2025世界陸上」で、日の丸を背負うことを目指している。大舞台に立ち、「晃」という名前の通り輝く姿を両親に見せることができるか。
■落合晃(18)
2006年8月17日生まれ、滋賀県・高島市出身。今津中~滋賀学園高。水泳、スキー、フットサル、トライアスロンなど様々な種目を経験し、中学から本格的に陸上競技を開始。6月の日本選手権男子800m決勝で優勝。7月31日のインターハイでは1分44秒80で日本新記録をマークすると8月のペルー・リマで行われたU20世界陸上では銅メダルを獲得した。卒業後は陸上の名門・駒澤大学への進学が決まっている。
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