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ファーストサマーウイカ、ハラスメント裁判原告と対談 声を上げた人だけが「勇気がある」と決めつけないで

エンタメ
2026-10-15 17:16
ファーストサマーウイカ、ハラスメント裁判原告と対談 声を上げた人だけが「勇気がある」と決めつけないで
映画『ファーストボイス 』(公開中)(左から)晴野まゆみ氏、ファーストサマーウイカ(C)2026『ファーストボイス』製作委員会
 映画『ファーストボイス』(公開中)に出演するファーストサマーウイカと、物語の着想元となった「福岡セクシュアル・ハラスメント裁判」の原告・晴野まゆみ氏の対談が公開された。撮影前に初対面した2人は、ハラスメントへの認識の変化や、声を上げることの難しさ、支援者との間にも生まれた葛藤について語り合った。

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 本作は、ハラスメントを巡る裁判で声を上げた人々と、彼女たちを支えた弁護士たちの実話に着想を得たフィクション。ウイカは、職場で理不尽な嫌がらせを受け、会社と上司を相手に提訴する上原恵を演じている。

 1990年生まれのウイカは、自身が生まれた頃に晴野氏が裁判に取り組んでいたことに触れ、「1989年に“セクハラ”が流行語大賞になったという事実すらちょっと不思議で、その頃にはその概念すらなかったのかと思いました。同時に、希望もありますよね。今変えていこうとしていることも、この先ちゃんと土壌になっていくのかな。でも、1989年以前は、そういった被害がほぼ世に上がってきていなかったということですから、そう思うと革命だなと思います」と語った。

 一方、晴野氏は「『光る君へ』(ウイカが出演した大河ドラマ)などを観ていたので、ファーストサマーウイカさんが今回の恵という役を演じられると聞いてびっくりしました」とコメント。1990年当時は、「第2回、第3回公判などをやっていた頃です。自分の中でも一番『やるぞ!』と、とにかくガムシャラになっていた時期だったかと思います」と思い返した。

 また、当時は「セクシュアル・ハラスメント」という言葉自体が広く知られておらず、被害を受けても「大人の女なんだからそれくらいは我慢しなきゃ」と言われることが当たり前だったと回想した。

 当時から40年近く経った現代、ウイカは、性別を問わず、相手が嫌がる言動を慎むという意識が広がってきたと指摘。身体に触れる行為だけでなく、「まだ結婚しないの?」「男のくせに」「女のくせに」といった言葉についても、「『これ言って大丈夫かな?』って1回立ち返れるようになった」と変化を語った。

 一方、晴野氏は、都市部と地方で認識に差があり、「やってはいけない」というルールが浸透しても、意識の変化が伴っていない場合があると指摘。

 ウイカも「『これをやったら、言ったら怒られる』という仕組みとしては理解しているけど、根本的になんでダメなのかわかっていないという、乖離(かいり)が起こっている場合もありますよね。小さなコミュニティの中だと我慢せざるを得ないとか、モラハラとセクハラが入り混じる環境もまだまだあるんだろうなと思いますね」と、現代にも残る課題を語り合った。

 晴野氏は、当時の裁判がメディアなどで「男女の対立」と捉えられたことに、もどかしさを感じていたという。自身が伝えたかったのは、「共に社会で一緒に働いていく仲間だから、お互いに嫌なことはやめましょう」という思いだったと説明。女性の上司から男性の部下への行為も「“逆ハラ”ではなく“セクシュアル・ハラスメント”」であり、性別にかかわらない問題だと強調した。そうした認識が広がってきた現在について、「時間はかかってはいるけれど、成熟してきたなと感じています」と語った。

 話題は、声を上げることの過酷さにも及んだ。当時の資料を読んだウイカは、周囲の理解が十分にない中での裁判について、「本当に恐ろしいし、心が折れるだろうなと思いました。ちょっと想像を絶する感覚でした」と思いを寄せた。

 晴野氏は、裁判を心配する人もいれば、否定的に受け止める人もいたと説明。その上で、「私は声を上げたけれど、葛藤や心の傷、性格によって声を上げられない人もいる。だから、裁判をやったから正しいとか、勇気があるとかっていうのは決めつけてほしくないなと思います」と語った。

 ウイカが「今、あの当時を思い返して『ああすれば良かった』『今の私ならこうするな』と思うことはありますか?」と質問すると、晴野氏は匿名の「原告・A子」として裁判に臨む中で、自分自身との隔たりにも苦しんでいたことを明かした。

 「“晴野まゆみ”という自分と“原告・A子”という自分がいて『私は一体誰なんだろう』と葛藤が生じても、『みんな一生懸命やってくれているんだからわがまま言っちゃいけない』と自分を抑え込んでどんどん溜め込んでいってしまったんです。自分が本当はどうしたいのかを、少しずつでも伝えていれば、もっと楽だったかもしれない」と語った。

 ウイカも、台本や記録から、会社や加害者側との対立だけでなく、支援者との間にも葛藤があると感じたという。「敵にはファイティングポーズを取ればいいけど、味方には取れない」と、その難しさを表現。「A子と私という自己との乖離も表現できたらいいなと、本を読みながら感じていました」と役への思いを語った。

 晴野氏から「ウイカさんの気持ちは私と近いと感じました」とエールを受けたウイカは、自身も同じ状況で声を上げられるかは分からないと率直に語り、怒りだけでは乗り越えられない不安や葛藤を役に落とし込みたいと応じた。

 また、現代のコンプライアンスについて、「なんでコンプラが生まれたんだ?」と考えれば、「傷つく人がいるから」という答えに行き着くと説明。過去の出来事を描くことで「過去にこういうことがあったんだよ。だからダメなんだよ」と伝え、「これからの人たちの手引きや力になるような映画になったらいいなと思っています」と願いを込めた。

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