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「ハロウィンのおもちゃ」から着想 片足3分で完成のシューズ アシックスも“着用選手ゼロ”から復権へ【Nスタ解説】

経済
2025-09-18 20:35

世界陸上の男子3000m障害・決勝に出場した三浦龍司選手。アクシデントもあり、メダルには届きませんでしたが、三浦選手が履いていたシューズのメーカーに注目しました。


【写真を見る】「On」CEOが語る他シューズとの違い


ランニングシューズ“4万4000円”

出水麻衣キャスター:
スイスのメーカー「On」は、驚きの技術でシューズを作っています。その「On」のランニングシューズ「On Cloudboom Strike LS」は1足4万4000円だそうです。

様々な最先端の技術が詰まっていますが、触ってみていかがですか。

井上貴博キャスター:
ビニールっぽい手触りで、なんだか不思議です。そして、スマートフォンと同じくらい軽いですね。


出水キャスター:
重さはなんと“170g”ということです。木村さんは、現役時代のシューズはどれぐらいの価格帯のものを使っていましたか。


陸上100mハードル元日本代表 木村文子さん:
「On Cloudboom Strike LS」と同じぐらいだと思います。私は、ニューバランスにお世話になっていて、競技生活の後半はニューバランスの靴職人に作ってもらい、提供していただいていました。履き心地を非常に重要視していました。

出水キャスター:
一足一足、足に合わせて作るほど、シューズというのは選手にとって大事なものなんですね。

選手たちも使っているという「On Cloudboom Strike LS」は、どのようにして作られているのか見せてもらいました。


アイデアのきっかけは「ハロウィンのおもちゃ」

JR原宿駅のそばにある、期間限定のスポーツショップ「On Labs Tokyo」では、スイス発の人気スポーツブランド「On」の商品が販売されています。

そこで公開されているのが、日本初披露の独自の最新ロボット「LightSpray™」です。自動化されたロボットアームに装着した足形にスプレーを噴射、熱を加えて固めると、「アッパー」と言われる甲の部分が片足でわずか3分で完成します。


完成したシューズを履いてみると…

出水キャスター
「なんだか飛び跳ねたくなる。このクッション性のあるソールと軽さがそうさせる感じ」

重さは170gで、“とにかく軽い”のが特徴です。従来の常識を覆す技術は、どのように生まれたのでしょうか。


――世界陸上でOnのシューズを履いた選手が活躍しているが、どのように感じている?


「On」マーティン・ホフマンCEO
「私たちの選手を非常に誇りに思っている。30か国から63人の選手がいる。私たちはもう金メダルを2個獲得した。会社史上初の金メダルだ。最初の金メダルまで15年間かかったが、次の金メダル獲得には15分だった」

――ほかにもシューズを作る会社はあるが、差別化している部分は?
「このシューズは、ほかのメーカーの素材よりも、温室効果ガスの排出量が75%低い。温室効果ガスの削減につながっている」


開発担当にも話を聞きました。


――どのようにしてこのアイディアを思いついた?

「On」開発担当 ヨハネス・フォークヒャートさん

「アイデアを生み出したのは、飾りのクモの巣を作るハロウィンのおもちゃです。グルーガンです」


出水キャスター:
グルーガンから着想を得たというこのシューズですが、1.5kmの細長い樹脂を細かく編み上げるような形でロボットが作り上げています。このアッパーの部分は、3分間でできてしまうという驚きのスピードで完成します。接着剤やパーツが少ないので、非常に環境負荷も低いというところも評価されています。

木村さんは、最近のシューズの進化を選手としてどう感じていますか。


木村文子さん:
非常に進んでいると思います。履いてみることで、見た目や触った以上にそれぞれのメーカーの企業努力や詰まった想いを感じられると思います。

井上貴博キャスター:
各社が厚底を出していて、プライベート用でもこれを一度履くと、歩くのも楽すぎてほかのシューズには戻れないと聞きますね。


「Cプロジェクト」でアシックス復権へ

出水キャスター:
そういったくらいスニーカーやシューズは日々進化していますが、今度は日本の「アシックス」に注目したいと思います。アシックスは「着用選手0人」という非常に厳しい時代もあったそうです。

2016年リオデジャネイロオリンピックでナイキの厚底シューズが流行、“ナイキ1強”時代が来ました。2016年までは、アシックスのシューズは人気でしたが、2021年の箱根駅伝では、アシックスを履く選手がゼロになってしまいました。


そこで巻き返しを図るべく、アシックスは「Cプロジェクト」という、プロジェクトを立ち上げました。この「C」というのは、再び頂上を目指すという意味の「C」になります。このプロジェクトは、「アスリートの声を聞く」ことを徹底したそうです。

長距離の選手の、▼歩幅を大きく取って走るストライド走法と、▼歩数を多く刻んで走るピッチ走法の走り方の違いに着目し、選手たちの声を基に「METASPEED」というシューズを開発しました。


すると、東京2025世界陸上において、男子マラソンでは上位20人中12人が、このシューズを着用。また女子マラソンでも、小林香菜選手をはじめ、選手全体の約3割が着用するまでに復権しているそうです。

今後も、徹底して選手の声に耳を傾けて、国際大会の表彰台を目指すというふうに力強く語ってくれています。こうした企業の皆さんの努力は、どのように感じますか。


木村文子さん:
選手のシューズの履き心地の感想や、細かい部分に耳を傾けてくれながら作成することは、今後も進んでいくと思います。また、寄り添ってくださる形は“日本企業ならでは”とも感じました。

井上キャスター:
かかとやつま先の1ミリは、どういったオーダーになるのでしょうか。

木村さん:
私の場合は、足の幅を細かく計測し、それを計算して算出したものを自分の走りの特性に合わせて、自分のオリジナルという形で作っていました。


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<プロフィール>
木村文子さん
陸上100mハードル元日本代表
2012年ロンドン・2021年東京オリンピック出場
現在は講演や解説などで活躍
昨年第一子を出産


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