トランプ関税の見直しを求める日本。しかし、日米首脳会談でも合意に至る事はありませんでした。進まない交渉に、自動車の製造に関わる企業から、困惑の声が上がっています。
【写真を見る】“トランプ関税”日米首脳会談で合意せず “延長戦”となった交渉で打開策はあるのか 困惑・・自動車部品の現場から【サンデーモーニング】
首脳会談も合意に至らず…1000社以上の命運握る“トランプ関税”
岡山県に本社を置く部品メーカー。自動車メーカーに直接納品する、1次下請けの企業です。
ヒルタ工業河野雄樹製造部長
「アメリカも含む海外と国内と、両方のブレーキペダルを生産している」
このブレーキペダルに、トランプ関税が影を落とし始めているのです。
河野製造部長
「一部の部品に関しては(受注が)10%程度減っているものもあります」
4月から課せられている25%の追加関税。その影響で、アメリカに輸出する車に搭載されるブレーキペダルについては、6月に入り、受注が1割減る見込みの製品もあるといいます。
一つのパーツですが、影響はこの会社だけにとどまりません。
河野製造部長
「ゴムのパッドは弊社の方でつくれないので、(下請け)メーカーにつくってもらう。小さい部品になってくると、我々じゃなくて下請けの業者につくってもらう」
「1台の車をつくるのに、1000社以上が関わる」といわれるほど、すそ野が広い自動車業界。トランプ政権による関税の影響が、ジワリと広がるなか…
G7サミットにあわせて開かれた、日米首脳会談。自動車関税の引き下げに向け、“何らかの合意”が期待されていましたが…
石破茂総理大臣
「今なお、双方の認識が一致していない点が残っておりますので、パッケージ全体としての合意には至っておりません」
2か月に及ぶ交渉の成果は、未だ見えない状況。
これまで“ワシントン詣で”を重ねてきたのは、赤沢経済再生担当大臣。今月、5回目の交渉を終えた直後には、SNSにこんな書き込みも…
赤沢亮正経済再生担当大臣(Xより)
「ハワード・ラトニック商務長官とはお互いを『ハワード』、『リオ』と呼び合う仲に!日本語だと『ラトちゃん』『赤ちゃん』って感じかな(^^)」
トランプ氏は“怖い上司”?…打開策に妥協は許されず
しかしそんな中、自動車関税をめぐってトランプ大統領は…
トランプ大統領
「(自動車)関税を近く引き上げるかもしれない。アメリカに工場を建設する可能性が高まる」
関税の引き下げどころか、“引き上げ”に言及。日本の政権幹部からはこんな嘆きも…
日本の政権幹部
「怖い上司に何でも報告を上げられないのと一緒で、ベッセントやラトニックもトランプ大統領に上げてないんだよ」
最終的にはトランプ氏の決断に左右されるなか、首脳会談でも決着できなかった日米交渉。トランプ氏は強気の姿勢をのぞかせます。
トランプ大統領
「日本は手強い。しかし我々は『この金額(関税)を支払わないといけない。嫌なら取引しなくて良い』との書簡を送るだけだ」
石破総理は帰国後、野党との党首会談で「自動車関税をめぐる隔たりが大きかった」と説明。首脳会談に注目していた自動車部品メーカーの会長は…
ヒルタ工業昼田真三会長
「(当初アメリカは)日本が最優先で交渉する話だったでしょ。最優先で交渉するということは、最初に解決するだろうって私は思うわけ。具体的な話が出てこないので、相当時間がかかる。話は進んでいないんだなと…」
アメリカ向けの製品の受注が、今月から1割ほど減る見通しのなか、今後については…
昼田会長
「先が見えないのは、どうしても発想がネガティブになりますよね。設備更新とかを先延ばしにするとか」
ただ、すそ野が広い自動車産業だけに、拙速な妥協は避けるべきだと訴えます。
昼田会長
「少々時間がかかっても、我々に良い方向の結論になるとありがたい。あきらめて投げ出したら、10年後、20年後も影響ある話なんで」
日本の基幹産業を揺さぶるトランプ関税。“延長戦”となった交渉で、打開策はあるのでしょうか。
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