E START

E START トップページ > 海外 > ニュース > アメリカ中間選挙で共和党大敗の舞台裏 “異変”は選挙前から【報道特集】

アメリカ中間選挙で共和党大敗の舞台裏 “異変”は選挙前から【報道特集】

海外
2026-11-07 20:37

中間選挙で歴史的な大敗を喫したトランプ大統領率いる共和党。これまで「共和党の牙城」と言われてきたテキサス州では民主党の上院議員候補が当選するなど、大きな地殻変動が起きた。
選挙戦の舞台裏を取材すると深い分断を目の当たりにした一方で、アメリカ民主主義のしなやかさも見えてきた。


【写真を見る】アメリカ中間選挙で共和党大敗の舞台裏 “異変”は選挙前から【報道特集】


トランプ氏「自分が候補者なら勝っていた」アメリカ中間選挙で共和党が大敗

中間選挙の投票日、報道特集が取材に入ったのは激戦州テキサス。
共和党の牙城とされてきたが、民主党の上院議員候補、タラリコ氏の優勢が伝えられていた。


村瀬健介キャスター
「タラリコ候補の当選確実が出ました。会場総立ち、喜びで包まれています。民主党にとっての大金星です。大きな大きな1議席を取りました」


――おめでとうございます。

民主党支持者

「ありがとう。なんてこと。すごい、信じられない。素晴らしい、最高です。よくやったテキサス」


喜びの渦は別の会場でも。


民主党支持者
「タラリコ!タラリコ!」
「トランプは退陣しろ」


上院選で勝利 民主党・タラリコ氏
「我々はテキサスを取り戻した」


テキサスの上院選挙で、38年ぶりに民主党が議席を獲得した。
同じ激戦州のミシガンでも。


上院選で勝利 民主党・エルサイード氏
「ミシガンの皆さん、やりました」


民主党のエルサイード候補が勝利を宣言。イスラム教徒として初めての上院議員が誕生する。


上院100議席のうち35議席と下院の全議席が改選されたが、上院、下院ともに民主党が過半数を獲得した。


投票から一夜明け、「選挙戦に悔いはない」とした上で、トランプ大統領は…


トランプ大統領
「もし自分が候補者だったら勝っていたんだ。どの集会にも何千もの人がいたのに、その熱狂を候補者たちが伝えられなかった」


“敗北は候補者の責任だ”と言わんばかりだ。
共和党が大敗した選挙戦の裏側でいったい何が起きていたのか。


強固な地盤のはずも…カンザス州で94年ぶりに民主党の上院議員が誕生

アメリカ中間選挙、共和党大敗の予兆は強固な地盤でも。


村瀬健介キャスター
「カンザス州は94年間にわたって、共和党候補が選ばれてきたんですけれども、今回の上院議員選挙では民主党候補がかなり善戦しているんです」


投票日の4日前、民主党・ハミルトン候補の集会に共和党支持者が乗りこんできた。プラカードには「社会主義者のハミルトンは子供たちの未来を破壊する」と書いてある。


青の民主党、赤の共和党の言い合いが始まった。アメリカの分断を象徴するかのようだ。


共和党支持者
「レッド、レッド、レッド」
民主党支持者
「ブルー、ブルー、ブルー」
共和党支持者
「触ったら警察を呼ぶぞ」
民主党支持者
「わざとじゃないわよ」


さらに...


民主党支持者
「赤は帰れ、赤は帰れ」


ハミルトン候補に話を聞くことができた。


――非常に保守的な州で、なぜ今回、大きな支持を得られているのか?


民主党・ハミルトン上院議員候補
「カンザスの市民は、党派を問わず『トランプ政権は間違っている。我々の声を代弁していない』と訴えています。人々は、政府の残忍さ、腐敗、権力の乱用に本当に嫌気がさしているのだと思います」


選挙では、ハミルトン候補が勝利。カンザス州で94年ぶりに民主党の上院議員が誕生する。


躍進の民主党と大敗の共和党 「状況が変わった」選挙の舞台裏

投票日前夜のテキサス州でも、民主党陣営は勢いづいていた。


村瀬健介キャスター
「選挙戦最後の選挙集会です。タラリコ候補が今、ステージ上に登場しました。たくさんの支持者が集まっています」


民主党 タラリコ上院議員候補
「巨額の資金は強力だが、団結した我々の前では、無力だ」


「共和党の牙城」だったテキサス州では、37歳のタラリコ氏が、民主党として実に38年ぶりに上院の議席を獲得した。


歴史的な勝利の舞台裏では、何が起きていたのか。


民主党のフレッド・ハーウィーさん。投票日が2日後に迫ったこの日、有権者の自宅を回り、民主党への投票を呼びかけた。


フレッド・ハーウィーさん
「この資料をだれかに渡せますか?」

住民の男性
「義理の兄弟になら」


フレッド・ハーウィーさん
「ここは圧倒的に共和党が強い地域です。民主党が勝てるはずはありませんでした。でも状況は変わりました」


テキサス州の今回の投票率は51.6%と、前回の中間選挙を約6ポイント上回った。民主党陣営は、有権者の関心の高まりが追い風だと感じていた。


民主党選挙事務所スタッフ
「投票してこなかった人たちが、歴史的な規模で投票しています。今回の選挙が、いかに違うのかを物語っています」


一方、厳しい戦いとなった共和党陣営。上院議員候補のパクストン氏が最終日の演説に臨んだ。


共和党・パクストン上院議員候補
「タラリコは、キリスト教を憎むキリスト教徒だと自称している。そんな信者がいるのか。家族以外で最も愛しているのは、トランスジェンダーの子どもたちだとも言っている」


民主党のタラリコ候補への誹謗を繰り返したが…


村瀬健介キャスター
「いま演説が終わってしまいました。これが選挙戦最終日の選挙集会です。正直言って盛り上がってないという形ですね」


集まった支持者は…


――パクストン氏を支持する理由は?

共和党支持者

「彼は強い。信念がある」


共和党支持者
「どこかの地区で、投票用紙を読み取る機械が故障したと聞いた。選挙管理スタッフは『別の場所で読み取る』と言っているそうだが、共和党の票をすべて捨ててしまうつもりなのだ」

――選挙の公正さに疑問がある? 

共和党支持者
「もちろん」


選挙戦終盤、劣勢が報じられていた共和党。この状況に、実業家のイーロン・マスク氏からは今年9月、1億5000万ドル(約230億円)もの巨額献金が投じられた。


こうした資金は、テレビCMの放送にも回された。


共和党陣営のCM
「タラリコは危険な人物です」


民主党陣営を攻撃する広告が、連日放送されたのだ。
さらに、民主党候補のタラリコ氏はSNSでも攻撃された。


熱狂する中間選挙の裏で拡散される“ロシア製”フェイク動画

フェイク動画
「私の名前はザイオン・ルイスです」


かつて、中学校の教師をしていたタラリコ候補。その教え子を名乗る人物が、「タラリコ氏から性的暴行を受けた 」と告発するフェイク動画がSNSで拡散された。


SNSの分析を行う調査会社「グラフィカ」の担当者は。


「グラフィカ」分析担当責任者 タイラー・ウィリアム氏
「これはロシアの工作グループによるものだ」


告発動画は、生成AIで作られた実在する元教え子の「なりすまし」だった。
こうしたフェイク情報は、選挙期間を通じて流され続けていたという。


「グラフィカ」分析担当責任者 タイラー・ウィリアム氏
「これは今日の事例ですね。これもまたロシアの工作グループによる捏造動画」


ニュース番組を装ったフェイク動画。「民主党の候補に性的暴行の疑惑が生じた」と偽の情報を流した。


――いま、まさに起きていると?


「グラフィカ」分析担当責任者 タイラー・ウィリアム氏
「そうです。AIの普及によって、質の高い翻訳を安く手軽に手に入れられるようになった。その気になれば、私でも5分でこの動画を作ることができる。世論工作のハードルが下がり、一気に広がっている」


「築いてきたものがすべて奪い去られてしまう…」牙城揺るがした「データセンター」の存在

中間選挙の結果を受けて、株式市場が揺れている。


5日のニューヨーク市場では、IT関連の多いナスダック総合指数が、5%以上急落するなど、主要3指数が大幅に下落した。日本でも6日、日経平均株価の終値が過去3番目の下げ幅となった。


データセンターの規制に前向きな民主党が躍進したことで、AI・半導体関連銘柄などが売られたためだ。


データセンターは、AIの計算処理やデータ解析に欠かせない施設で、建設中を含めると全米に5000以上ある。しかし、膨大な電力を消費することや、環境破壊への懸念から、中間選挙で大きな争点となっていた。


これまで税制優遇措置を取るなど、積極的に誘致してきたテキサス州だったが、中間選挙で民主党の知事候補が勝利し、当面、データセンターの建設をストップさせる方針を示した。


テキサス州の現場に向かった。


村瀬健介キャスター
「こちらにはGoogleのデータセンターがあります。今も建設中で、建設車両が行き来しています。そして、道を挟み反対側を向くと、こちらにも巨大なデータセンターがあります。データセンターは大量の電気を使うので、大きな変電施設もあります」


取材中、40年近くこの地域に住むという男性が、車を停めて声を掛けてきた。共和党を支持しているというが、データセンターに憤っていた。


地元住民(70)
「アメリカは自由の国のはずだが、ここに何の自由がある?踏みにじられる自由のことか?社会が腐ってる」


――この施設は地元の人々に何か恩恵をもたらした?


地元住民(70)
「いや、何もない。 税金は上がったし、電気代も上がった。電気代はほぼ2倍になった」


自宅の目の前にデータセンターが建設されたという。建設中の映像を見せてくれた。撮影したのは午前4時半。


地元住民(70)
「一晩中トラックが出入りして工事をしていた。俺は嫌気がさしたんだ。俺に言わせればこれは腐敗だ。金が全てだ」


“24時間態勢”の工事。大型の工事車両が頻繁に行き交うことで、歪んだ道路も至る所で見られるようになったという。


住民のジャズミン・ヴィレーガスさんが話をしてくれた。広大な自宅の敷地だが、そのすぐ横には…


「データセンター反対」を訴える ヴィレーガスさん
「木を見ると全てにピンク色のタグが付いている。あの木々は全て伐採されると聞いている。ここに見える全ての木ですよ」


自宅の隣でデータセンターの建設計画が進められていることが分かった。


「データセンター反対」を訴える ヴィレーガスさん
「トランプ大統領は、データセンターを開発しやすくするため、障壁になるものは全て排除してきた。データセンターを望まない地域があれば、時代遅れで愚かだと言う」


近隣の住民でグループを作り、反対の声を上げている。人口2万のこの地域には、計画中も含めると、7つものデータセンターが集中しているという。


女性
「以前は美しい場所だった。牛がいて、牧場があって」

男性
「この場所は牧草地だった」


「データセンター反対」を訴える ヴィレーガスさん
「環境や土壌に影響がある。そこで再び農業ができますか?できませんよ。地元住民だけでなく(農産品の)消費者など、影響を受ける人はもっといる」


この地域で28年間、教師をしていたオズボーンさん。自宅の前に広がるトウモロコシ畑に、データセンターが建つ予定だ。


オズボーンさん(68)
「巨大で権力があり、資金も潤沢なデータ企業と闘っている。だからこそ人々に耳を傾けてもらい、何が起きているのか知って欲しい。このコミュニティに住んで、子どもたちを教えてきた。28年間で築いてきたものが、すべて奪い去られてしまうなんて…とても辛い」


トランプ大統領に歯止めは?日本は今後アメリカとどう向き合うべきか

中間選挙で大敗した、トランプ大統領の共和党。100年以上の歴史を持つシンクタンク「ブルッキングス研究所」のミレヤ・ソリース氏はこう受け止める。


ブルッキングス研究所 ミレヤ・ソリース氏
「アメリカの民主主義が揺るぎないもので、活気に満ちたままであると分かったことは、世界にとって安心できる要素」


この2年間は、大統領と上下両院を共和党が支配する「トリプルレッド」の状態だった。


今回の中間選挙で民主党が過半数をとったが、トランプ氏の行動に歯止めをかけることはできるのか。


ブルッキングス研究所 ミレヤ・ソリース氏
「議会がどこまで大統領の手綱を締めることができるかは未知数で容易なことではない。外交政策は、依然として大統領の管轄であり、トランプ氏がどのようなレガシー(政治的遺産)を残したいのか、レガシー作りの一環としてどのような外交上の決定を下すのか、注視する必要がある」


日米関係が専門でもあるソリース氏。今後のアメリカとの向き合い方については…


ブルッキングス研究所 ミレヤ・ソリース氏
「党派の垣根を超えて、今後の日米関係において、有益な絆をどのように築くかということは常に重要です。日本は安全保障政策の礎として、日米同盟を維持しつつ、他の国々との関係も構築し続けるべき」
「韓国、オーストラリア、インド、東南アジア、グローバルサウスとのつながりや絆が、非常に重要となる。なぜなら、日本がパートナーシップのネットワークを持てば持つほど、激動する国際情勢に機敏に適応できるようになるからだ」


・10歳若返る?「ジャパニーズウォーキング」…“1日30分”で1万歩歩くよりも効果的 道具いらずで海外で話題【Nスタ解説】
・「インフルにかかる人・かからない人の違いは?」「医師はどう予防?」インフルエンザの疑問を専門家に聞く【ひるおび】
・40代から増加「脳梗塞」の初期症状は?「倒れてからじゃ遅い」早期発見のカギ「BE FAST」とは【ひるおび】


情報提供元:TBS NEWS DIG Powered by JNN

ページの先頭へ