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中国が高市総理の答弁に“猛抗議” 「渡航自粛」“曖昧な対抗措置”の狙いと今後の解決の糸口は【Nスタ解説】

海外
2025-11-17 21:51

高市総理の台湾有事をめぐる答弁で、中国が日本への渡航自粛を呼びかける事態になっています。
日本を観光している中国人たちは、どのような思いを抱いているのでしょうか。


【写真で見る】「安全面が気になる」「中国政府に賛成」中国人観光客からあがった声


歴代内閣の答弁から踏み込み 台湾有事めぐる高市総理の発言

井上貴博キャスター:
台湾問題について、国会で具体的に言及すると、「ここまでは許容される」と相手国に線引きを与えてしまいますので、手の内を見せないためにも、歴代の政権は曖昧な答弁を続けてきました。

その中で今回、高市総理は一つ踏み込んだ形になっています。その影響を見ていきます。


ことの発端は、7日の衆院委員会でのやり取りでした。台湾有事をめぐり高市総理が、戦艦を使って武力の行使を伴うものであれば、「存立危機事態になりうる」と自らの見解を交えて答弁。

これを受けて、中国の薛剣駐大阪総領事は「X」に、「勝手に突っ込んできた その汚い首は、一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない」と投稿(※現在は削除)。

こうしたことから、中国・日本の双方が大使を呼び、それぞれが抗議しています。

そもそも「存立危機事態」とは、密接な関係にある他国が攻撃された際、日本の存立が脅かされ、国民の生命などに明白な危険がある事態とされ、「集団的自衛権」の行使が可能になります。

中国にとっての「台湾問題」とは、どういった位置づけになるのでしょうか。


JNN北京支局長 立山芽以子:
中国にとって「台湾問題」とは、絶対に譲れない一線です。中国側の言葉では「核心的利益」というのですが、とにかく国家の主権に直結する問題で、絶対に譲れないということです。

また、武力であれ平和的であれ、中国は台湾統一という問題に日本やアメリカが介入してくることがすごく嫌なわけです。

「介入されたくない」という強い思いがありますから、今回素早く、また強く反応し、牽制する必要があったのではないかと思います。


井上キャスター:
日本への牽制するのはもちろん、アメリカも見据えていると考えた方がいいですか。


JNN北京支局長 立山芽以子:
そうですね。とにかく台湾問題というのは、中国にとっては内政問題です。この問題を「外の国からとやかく言われたくない」という気持ちが、すごく強いと思います。


中国側が“猛抗議” 対抗措置の本気度は?

井上貴博キャスター:
ピリピリしている中国側の対抗措置です。


14日、中国外務省は、日本への渡航自粛を呼びかけました。

その後、16日には中国教育省が、日本への留学を慎重に検討するよう呼びかけ、さらに中国文化観光省も、日本への旅行を控えるよう注意喚起を行いました。

この中国側の措置については、どのように捉えれば良いのでしょうか。


JNN北京支局長 立山芽以子:
13日から一気にテンションが上がった印象です。金杉大使を呼び出して抗議をしたり、渡航自粛要請を行ったり、相次いで対抗措置がとられています。

背景には、13日ごろに中国共産党の最高指導部までこの問題が上がって、「何とかしろ」「さらに厳しい措置を取れ」という指示があったのではないかという見方が出ています。


ただ、「渡航自粛」はある意味絶妙な対抗措置だと思います。つまり政府としては、「国民に対して、自粛しろと言った」という形がとれますが、渡航は個人の判断であり、曖昧な部分が残っています。

そういう意味では、中国政府としても完全に日本と事を構えたいとか、日本との関係を悪化させたいというわけではないようにも見えます。


「団体旅行」は続々キャンセルも 「個人」は別か

井上貴博キャスター:
中国としては、何もやらないのではなく、やることはやったという既成事実を作りたいのでしょうか。

今の中国の実情を見ると、日本に留学したい人が多かったり、これまで団体客ばかりだった観光客も個人客が増えていたりするようですから、政府が「渡航自粛」といってもあまり意味がないのではないかという感じもします。どのように見ていますか。


JNN北京支局長 立山芽以子:
団体旅行に関しては、すでにキャンセルが相次いでいるという情報もあります。やはり、中国国民としても政府の意向には逆らえないので、団体旅行のキャンセルはあるそうです。

ただ、個人に関しては「個人の判断」ということで、「私は政治とは別だ」と今でも日本に行く人は結構いるのではないかと思います。


出水麻衣キャスター:
メディアはこの注意喚起について、どのような強い言葉で報じていますか。


JNN北京支局長 立山芽以子:
日本のメディアと違い、国家から言われたことをそのまま伝えるのが中国のメディアです。

そのため、メディアといいのか分かりませんが、中国のメディアはものすごく激しい論調で、注意喚起や自粛要請、そして高市総理に対する批判というものを展開しています。ただそれは国家を代弁した形であって、決して市民の声とは別だと思います。


井上貴博キャスター:
街で取材した中国人観光客が、「政治のことは政治家に任せましょう。一般市民の交流には関係がないから楽しみだ」というように話していおり、ほっとしました。我々は冷静であるべきなのだろうと思います。


問題解決“落としどころ”は? 中国側には他にもカード

タレント・プロゴルファー 東尾理子さん:
この問題は撤回ありきといいますが、撤回をしないと解決しないのではないかと感じています。どのように解決に向かっていくのかという点も心配です。落としどころについては、どんなことが考えられるのでしょうか。


JNN北京支局長 立山芽以子:
もちろん中国側は、高市総理の答弁撤回を求めていますが、日本側としては、中国に言われたからといって、撤回することはあり得ないわけです。

この問題は、「撤回しろ」「いや、できない」と平行線が続くのではないかと思っています。日中の外交筋の間でも、時間がかかるのではないかというような悲観的な見方が広がっています。


17日には、日本から外務省の金井正彰アジア大洋州局長が北京入りして、中国側と協議を行いますので、この結果が注目されています。


ただ、少し残念なニュースとしては、今週末に行われるG20で、高市総理と李強首相の会談が行われるのではないか、それが(解決の)糸口になるのではないかと期待されていたのですが、17日、外務省の報道官が「会談の予定はありません」と明言してしまいました。


井上貴博キャスター:
中国側が今後切るかもしれないカードは、どういったものがあるのでしょうか。


JNN北京支局長 立山芽以子:
中国側のカードはいくらでもあると思います。


例えば、日本産水産物の輸入再開もカードになるでしょうし、ビザなし渡航の延長を止めるとか、レアアースなど、いくらでもカードはあると思います。

とはいえ、本当に日本との関係を断ち切りたいのか、これ以上悪化させたいのか。振り上げた拳をどこで下ろすのかという部分はまだ見えて来ませんので、金井局長の協議に期待したいと思います。


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<プロフィール>
立山芽以子
JNN北京支局長
ポッドキャスト「北京発!中国取材の現場から」配信中

東尾理子さん
タレント・プロゴルファー
フロリダ大学卒業 3児の母
不妊治療の経験を積極的に発信


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