11月1日にオープンした「大エジプト博物館」の建設にあたり、日本がエジプトに円借款で貸し付けた金額は「約842億円」です。計画発表から30年以上経過してますが、どんな博物館なのでしょうか。
古代エジプトの至宝の数々「大エジプト博物館」
出水麻衣キャスター:
エジプトの首都・カイロ近郊のギザの3大ピラミッドの近くに建設された「大エジプト博物館」が、11月1日にオープンしました。
入場料は約6300円(大人・ガイド付き/エジプト人は1150円ほど)で、館内には、古代エジプト関連の出土品など5万点以上が展示されているということです。
広さも規格外で、敷地面積は約5万平方メートル、東京ドーム約10個分あり、単一の文明を扱う博物館としては世界最大規模となっています。全体を見るには“早足で5時間ぐらいかかるのでは”といいます。
ツタンカーメンの遺物 1か所で展示は1922年以来初
出水キャスター:
展示品の1番の目玉は「ツタンカーメンの展示ホール」です。
5000点以上の遺物があり、1か所で展示されるのは1922年にツタンカーメンの墓が発見されて以来初のことだといいます。
さらに、エントランスホールには高さ約11メートルのラムセス2世像が設置されています。もともとは首都カイロの中央駅前、交通渋滞が激しいロータリーに数十年設置されていたのですが、今回博物館に移設をしたということです。
日本の支援のおかげ?解説に日本語訳
出水キャスター:
「大エジプト博物館」オープンにあたり、日本が資金・技術面で支援をしてきました。
これに対し、エジプトのシシ大統領は「この文明の大プロジェクトのために、友好国である日本が提供してくれた大きな支援を忘れることはありません」と感謝の言葉を述べています。
さらに、日本が支援をしたことで、博物館の正門には日本語で「大エジプト博物館」と書かれていて、展示品はアラビア語・英語のほかに日本語でも解説されています。
解説を担当したエジプト考古学者の筑波大学・河合望教授は、「英語解説を直訳したわけではなく、日本人に伝わりやすいよう工夫した。海外の大きな博物館で日本語解説があるのははじめてではないか」といいます。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
エジプトは非常に親日的ですし、日本も昔からエジプトを重点的に支援してきました。
日本の外務省でもアラビア語を流暢に喋る人、いわゆる“アラビスト”と言われる人が大使で赴任していましたので、長い時間をかけてエジプトとの関係を作ってきたことが表れているのでしょう。
遺物の保存・修復など技術面でも支援
出水キャスター:
今回、博物館オープンに際して日本は、技術面でも支援をしてきました。
日本人専門家、約120人がツタンカーメン王の財宝72点など、遺物の保存・修復に協力したということです。
筑波大学の河合望教授によると、保存・修復に日本の素材「和紙」を使用していて、▼二輪馬車・木製ベッドは、和紙をあてながら修復したり、▼バラバラの状態で発見されたパピルスは和紙を裏打ちして修復したりするなど、日本の技術が使われたということです。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
アメリカのトランプ政権が海外援助を縮小しているので、日本の存在感を発揮する良いチャンスだと思います。
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<プロフィール>
星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ
福島県出身
政治記者歴30年
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