
個人情報の漏洩が相次ぐ中、「+」から始まる国際電話など、「知らない番号からの電話には出ない」という人も少なくないはず。しかし、その心理を逆手に取った詐欺が広がっています。
【写真を見る】知っている番号から なぜ?巧妙化する“なりすまし電話”「番号スプーフィング」の手口と対策【THE TIME,】【追っかけTIME】
SNS上では「警視庁の番号から電話がきた」「実在する幼稚園からだった」など、実在する組織の番号から怪しい電話がかかってきたという報告が少なくありません。
この手口は“番号スプーフィング(なりすまし)”と呼ばれ、詐欺などに悪用されている実態があります。一体どのようにして着信番号は偽装されるのでしょうか。そして、見知った番号からかかってきた電話が詐欺だった場合、どうすれば被害を防ぐことができるのでしょうか。
「仕事関係者から」かかってきた身に覚えのない着信
10月14日の朝6時前、Aさんのスマートフォンに着信がありました。ディスプレイに表示されていたのは、仕事関係者の名前です。
朝早い時間だったため電話には出られませんでしたが、着信履歴を見て「間違いかな」と思いつつもAさんは、後で折り返しの電話をかけました。すると、この仕事関係者のもとには、Aさん以外からも同様の問い合わせが複数寄せられていたといいます。さらに、仕事の関係者のスマートフォンには電話をかけた発信履歴は残っていませんでした。
知っている番号からかかってきた、"知らない誰か"からの着信にAさんは、「その方から連絡が来たものと信じてしまうので、怖いなと思いました」
「任意の電話番号を表示させる」その仕組み
この不可解な事態について、サイバー犯罪に詳しい神戸大学の森井昌克名誉教授は、「電話番号スプーフィング」だと指摘します。スプーフィングとは“なりすます”という意味で、発信者が自分の本当の電話番号ではなく、任意の番号を着信相手の画面に表示させることができる手口のことだといいます。
その仕組みは、番号を偽装したい人物が、海外の通信事業者などに偽装したい電話番号を伝えます。依頼を受けた通信事業者が番号を偽装し、その偽の番号で被害者のもとへ電話をかけるという流れです。
日本の通信各社も偽装番号への対策は行っていますが、完全には防ぎきれていないのが現状だといいます。
知っている番号だと警戒モードが解かれてしまう
知っている番号を偽装されれば当然、警戒心が下がると、犯罪ジャーナリストの石原行雄氏は指摘します。「知らない番号からかかってきた電話というのは、電話を取っても警戒をしながら話を聞く」一方、「知っている人間や企業の番号からかかってくると、やはりその電話をきちんと聞こうというモードに入ってしまう」と言います。
実際10月には、この手口を使い警察官を騙って広島県の男性から2億円あまりをだまし取ったとして男が逮捕される事件も起きました。このグループによる被害額は、全国で7億3000万円にのぼるとみられています。
石原氏が今、一番注意すべきパターンとして挙げるのが、情報漏洩事件に便乗する手口です。
相次ぐ企業の情報漏洩事件を利用し、その企業の電話番号を使って被害者に電話をかけるのです。
犯人は「今回ご迷惑をおかけしました。情報漏洩した企業の〇〇です」と名乗ります。電話を受けた側は、「この企業がお詫びの電話をかけてきたんだ」と信じてしまい、話を聞いてしまいます。そして会話の中で、漏洩した情報だけでは足りない個人情報をさらに聞き出そうとするのです。
過去には、誰もが信じてしまうような電話番号が使われた被害実例もありました。それは、自分の「実家の電話番号」です。
ある被害者は、実家の番号から着信があったため、何の疑いもなく電話に出ました。すると、電話口の男から「強盗に入った。親は無事だが金を用意しろ」と告げられたのです。
普段なら冷静に詐欺を疑える状況でも、馴染みのある電話番号からかかってきたことで被害者は電話をかけてきた人物の言った言葉を信じてしまい、20万円を振り込んでしまいました。
少しでも怪しいと思ったら“ガチャ切り”して、かけ直す
誰にでもかかってくる可能性がある”番号スプーフィングされた電話”。被害に遭わないためには、どうすればいいのでしょうか。石原氏は、シンプルな対策が有効だと話します。
「通話をする中でちょっとでも『あれ?』って思うような場面があったら、電話を切る」ことが大切だといいます。
そして電話を切った後、すぐに折り返すのではなく、自分で相手の正しい電話番号を調べ、改めて自分の手で番号を入力してかけ直す。このひと手間を加えることで、防げる被害は大きいと石原氏が話します。
たとえ知っている相手や企業からの電話であっても、金銭の話が出たり、個人情報を聞かれたりするなど、少しでも不審に感じたら一度電話を切る勇気が重要です。そして、必ず自分で調べた正規の番号にかけ直して事実確認をすることが、巧妙化する詐欺から身を守るための確実な方法といえそうです。
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