もしも富士山が噴火したら、首都圏は火山灰でライフラインに甚大な影響が出ると想定されます。21日、避難などについて専門家が報告書をとりまとめました。
■富士山噴火で新宿では10センチの火山灰か
日比麻音子キャスター:
富士山が噴火するとどのようなことが起こるのでしょうか。
首都圏に火山灰が多くなるという、西南西の風が吹いた場合、15日目(最終)のシミュレーションでは、▼神奈川・相模原市で30センチ、富士山から直線距離で約100キロ離れている、▼東京・新宿区では10センチ降灰するという予測が出ています。降灰は風向きによって、積もり方やエリアが変わるということです。
■火山灰の特徴“雪と違って溶けない”
日比キャスター:
火山灰にはさまざまな特徴があります。
【火山灰の主な特徴】内閣府 有識者検討会報告書より
・徐々に積もる(雪害と類似)
→時間経過により被害が発生
・再移動する(雪害と類似)
→風や人の活動で再度巻き上げられる
・除去しないと無くならない
→雪と違って溶けない など
生活にはどのような影響が出るのでしょうか。
■物流に上下水道…火山灰による生活への影響は?
日比キャスター:
火山灰による生活への影響は、多岐に渡ります。
【火山灰による生活への影響】内閣府 有識者検討会報告書より
・車(二輪駆動車):降雨時3センチ以上、乾燥時10センチ以上で通行不能に
・鉄道(地上路線):微量でも運行停止
・電力:降雨時3ミリ以上で最大40万戸停電
・物資:降灰3センチ以上で入手困難
・通信:降雨時に障害発生
・上下水道:降雨時に水質悪化・機能停止 など
このような影響が想定されています。
山内あゆキャスター:
雨が降ったときに被害が大きくなるのはなぜなのでしょうか。
日比キャスター:
雨が降っていなくても、もちろん生活への影響は考えられます。
「通信」は、雨が降ると火山灰がアンテナに付着し固まってしまうので、雨が降ったとき障害が発生するのではないかと想定されています。
また、「物資」も3センチ以上積もると、物流も滞るのではないかと、さまざまな影響が懸念されています。
■火山灰30cm未満だと「自宅等で生活を継続」 備蓄は2週間以上必要に?
日比キャスター:
どのように避難すれば良いのでしょうか。
▼火山灰30センチ未満:自宅等で生活を継続
▼火山灰30センチ以上:原則エリア外に避難
東京大学総合防災情報研究センターの関谷直也教授によると「復旧は降灰が少ないところから除去が始まるので、多く降った地域は備蓄がより重要」としていて、備蓄の量は2週間以上はあった方が良いということです。
■防塵マスク・スコップなど“火山灰特有”の備えも
火山灰特有の対策も必要です。
地震など災害時の備蓄品である飲食料・簡易トイレ・衛生用品・薬・電池・懐中電灯などのほかに、防塵マスク・防塵ゴーグル・ほうき・スコップ・シャベルなど、普段はなかなか家に置いていない物の準備も必要になりそうです。
また、避難となると影響も多岐にわたり、期間も長くなりそうだという点が特徴ですね。
歴史・時代小説家 今村翔吾さん:
鉄道が開通して以降、噴火したことがありません。最後の噴火が1707年の宝永の大噴火です。
ことさら不安がらせるつもりはありませんが、時期的に見たらしばらく噴火してないません。50年、150年、200年の周期で噴火していましたが、現在、観測史上最長の噴火してない時間になりますので、備えておいて損はないと思います。
日比キャスター:
怖がり過ぎる必要はありませんが、いつ備えても良いですよね。
歴史・時代小説家 今村さん:
噴火のない期間でいうと、壇ノ浦から応仁の乱の間が今まで一番あいていました。
当時の日記や被害状況などの文献が残っています。特に江戸時代の噴火では火山灰で川が詰まったりしていたようです。
日比キャスター:
1707年の大噴火では2週間噴火が続いたという歴史が残っています。
■火山灰処理に「10年以上かかる可能性も」
日比キャスター:
火山灰が積もった場合、どう処理していくのでしょうか。
降灰量は約4.9億立方メートル、東京ドーム400杯分と想定されています。処理に3年かかったという東日本大震災の廃棄物の約10倍です。
東京大学総合防災情報研究センターの関谷直也教授は「10年以上かかる可能性も。処分方法が決まっていないので地域連携して早急に決める必要がある」としています。
火山灰の処理方法についても、自治体の協力・連携が必要になってきそうです。
歴史・時代小説家 今村さん:
家庭だけではなく政府も(噴火は)起こり得ることとして、準備しておく必要がありますね。
山内キャスター:
家庭の中の備えでいえば、地震のときと同じような備蓄、飲食料や簡易トイレなどは、地震でも噴火でもどちらも使えますよね。
歴史・時代小説家 今村さん:
鹿児島の桜島などの噴火の知見も生かせるのではないかと思います。
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<プロフィール>
今村翔吾さん
「塞王の盾」で第166回直木賞 受賞
歴史・時代小説家 30歳までダンス講師
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