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【日本選手権展望】男子走高跳・パリ五輪5位の赤松諒一と世界陸上オレゴン8位の真野友博が激突 2m33跳べば世界陸上代表内定

スポーツ
2025-07-03 12:00

9月開催の東京2025世界陸上の最重要選考競技会である日本選手権が、7月4~6日に東京・国立競技場で行われる。男子走高跳は世界大会入賞者2人が激突する。赤松諒一(30、SEIBU PRINCE)は23年の世界陸上ブダペストで8位(2m25)に入賞、昨年のパリ五輪はこの種目過去最高タイの5位(2m31)に入賞した。真野友博(28、九電工)は22年の世界陸上オレゴンで8位(2m27)、この種目初の世界陸上入賞を果たした。パリ五輪入賞者の赤松は、参加標準記録の2m33を跳んだ時点で世界陸上代表に内定する。


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メダリストたちと互角の勝負をしている今季の赤松

パリ五輪で2m31を跳んだ印象が強いため、2m26が今季のシーズンベストということに、若干の不満も感じてしまう。だが、勝負をしている相手を見れば、赤松が世界トップレベルにいることは明らかだ。


5月9日にドーハで行われたWhatgravity Challenge 2025は2m26で2位。優勝のウ・サンヒョク(29、韓国)は世界陸上オレゴンの銀メダリストで、3位のR.リチャーズ(24、ジャカルタ)は今年3月の世界室内陸上銅メダリスト。7日後のダイヤモンドリーグ・ドーハ大会の赤松は2m23で2位。優勝はパリ五輪銀メダリストのS.マキューアン(29、米国)で、3位はパリ五輪金メダリストのH.カー(28、ニュージーランド)だった。


赤松は24年3月に、踏切足(左足)の小指にボルトを入れる手術をした。試合数を絞る必要があり、今季は2月にチェコで室内3試合、5月に前述のドーハ2試合と、海外5試合にしか出場していない。全て海外である理由を林陵平コーチ(岐阜大監督)は次のように話した。


「オリンピックや世界陸上のメダリストが集まるところでやった方が自信になります。1試合だけでは修正点を試せないので、連戦できるチェコとドーハを選びました。小指に鈍痛、気持ち悪さは出ますが、何とかもつ状況でしたね」


パリ五輪の好成績の要因の1つに、メンタル面の充実があった。23年以降はニコニコした表情で試合をすることが多かった。失敗試技があっても、何をすべきかわかっているから笑顔になる。今年はチェコの初戦(2m17で6位)こそ表情が冴えなかったが、それ以外の4試合はパリ五輪と同じように、笑顔を試合中に見せていた。


メダルを取るための取り組みとは?

パリ五輪の結果で赤松は、次の目標にメダル獲得に定めたが、だからといって練習で以前と変わったことは行っていない。そもそもが、赤松は特別な練習パターンで強くなった選手である。学生時代は短距離ブロックで走ってばかりいたし、ウォーミングアップは極端に短く、クーリングダウンはいっさい行わない。手術をした昨年は、日本選手権からパリ五輪までの間は一度も、跳躍練習を行わなかった。


「赤松はドリルもまったくやりません。速いスピードで最後まで助走をして、踏み切りの瞬間に耐えられる脚の強さが持てるかどうか、に着目して練習しています」


ウェイトトレーニングや加圧トレーニングがその方法となる。


「加圧トレーニングは分厚いテーピングを巻くような形でスパッツの上から大腿に圧をかけて、いわゆる虚血状態で走ります。身体内で低酸素状態を作って走ることになので、かなり乳酸が出て、短期間で筋力や筋量を戻したり、キープしたりできます」(林コーチ)


新たに取り入れたのがバイオデックスという医療器具と、トレーニングシューズである。バイオデックスは膝や股関節の伸展を、1秒間に曲がる角度が60度、180度、300度と制限される状況でトレーニングを行うことで、負荷の調整ができる。


トレーニングシューズは足のアーチを上げる作りになっていて、ケガをしている小指への負担を軽減するために、足裏全体で地面を押す感覚を養っている。跳躍練習なしでオリンピックに挑戦すること自体驚きだったが、その裏には赤松と林コーチの科学的なアプローチがあった。2人は今年も、我々をアッと言わせてくれそうだ。


オレゴンで入賞した22年のレベルにある真野

今季の真野友博は2m30こそ跳んでいないが、屋外4試合は全て2m25以上を跳んでいる。


4月20日 兵庫リレーカーニバル 2位・2m25
5月3日 静岡国際 優勝・2m27
5月18日 ゴールデングランプリ 優勝・2m27
5月29日 アジア選手権 2位・2m26


「昨年、一昨年より安定感が戻って来ました。去年までは助走の中間マークをしっかり踏めない(助走のストライドが安定せず踏み切り位置が安定しない)ことが多かったところを、今年は意識して改善できています」


その結果、世界陸上オレゴンで入賞した22年に近いレベルで、試合を続けている。ポイントの高い国際大会で好成績を収めたことで、Road to Tokyo 2025(標準記録突破者と世界ランキング上位者を1国3人でカウントした世界陸連作成のリスト)は11位=1241点と安全圏につけている(赤松が10位=1287点)。8月末に東京2025世界陸上出場資格を得るのは間違いない。日本選手権で3位以内に入れば代表は確実だ。


「2m30が(優勝した22年の日本選手権を最後に)遠ざかっているので、まずは2m30をしっかり跳んで、その勢いで標準記録の2m33も狙って行きたいと思います」


その先には22年と同様、世界陸上の入賞がある。一方の赤松は9月の世界陸上で、メダルラインの2m35を跳ぶことに照準を合わせている。「日本選手権は(3位以内で)通過すればいいと思いますが、本人は3連覇はしたい、と言っています」(林コーチ)。


そのためには、真野を上回る記録を跳ばなければいけない。


(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)


※写真は左から真野選手、赤松選手


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