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イチロー氏「僕はその3名が上がりますね」高校球児から“イチローさんにとって…”今までになかった質問に感銘

総合
2025-01-09 06:16

イチローさん(51、マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)による高校球児への指導は5年目となった。通算10校目の指導を経て思う事はやはり「基本」と「考える」事の重要性だった。


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「基本のもっと手前の基本」を僕は伝えているだけ

イチローさんの考える「基本」とは何なのか。


イチロー:
みんな基本が大事ってわかっているんですよ、頭では。でもその基本が、その前の基本がまったくできてないんですよ。「基本のもっと手前の基本」を僕は伝えているだけなんですよ。 そこを誰も意識していないという事がこの5年間でよくわかるし…


2020年の智弁和歌山から始まり、21年は国学院久我山(東京)、千葉明徳、高松商(香川)、22年に新宿(東京)、富士(静岡)、23年の旭川東(北海道)、宮古(沖縄)に続き、24年は大冠(大阪)、県立岐阜と2つの公立高校を訪れた。


『打倒強豪私立』を掲げる大阪府立大冠高校

1校目は、大阪府立大冠(おおかんむり)高校。激戦区・大阪で『打倒強豪私立』を掲げ、甲子園を目指す。これまでの最高成績は17年の大阪大会準優勝。名門・大阪桐蔭に2点及ばず、涙を飲んだ。甲子園まであと一歩と信じる部員達に伝えたのは…
イチロー:
履正社。大阪桐蔭。大冠高校の事は全く眼中にないです。そこを目指している事を知って欲しい、まず。こっちは強烈に意識しているのに、相手は全く相手とも思ってない。そこに挑むんだよ。


相手は甲子園出場(春夏)が大阪桐蔭で28回、履正社で15回。胸元に投げ込んだ厳しい現実は覚悟を試す、強いエールだった。
イチロー:
ほめるだけでは形にならない、近づく事すら出来ないと思ったので、まずそれを伝えようと。耐えられるかどうかはわからなかったけど、耐えてもらうしかない。


「キャッチボールの何を大切にしてる?」

大冠ナインの練習で気になったのは、「基本」のキャッチボール。練習の序盤からかなりの時間を掛け、様々な種類を行うのが大冠の特徴であったがイチローさんがさっそく、指摘した。


イチロー:
ボールを投げる数が多い。もう少し少なくして別の練習をした方がいい。その方が効果は上がる。


イチローさんは「基本」をもう一度「考えてみる」事を伝えたかったと振り返る。


イチロー:
例えばキャッチボールが大切。じゃあキャッチボールの何を大切にしてる?相手の胸にめがけて、じゃあどっちの胸だよとかね。フワ~っとしてるんですよ。


イチローさんの指導が始まる。
イチロー:
相手の、こっちから見れば左側の肩を目指していくと、指に掛かったボールが(投げられる)。この距離感、すごく大事。この距離(キャッチボール)でたたけない人は、遠投やっても、ただ投げてるだけになっちゃうので、形がキープ出来ない。この距離でしっかりたたける(のが大事)。


「基本だから」と鵜呑みにした瞬間、考える事が止まってしまう。強豪私立との差を縮めるためには、部員それぞれが意味を「考えて」行う、“質の高い練習”が必要だと伝えた。
イチロー:
みんなそのポテンシャルは高い。努力もできる。体力もある。あと、そのやり方すごく大事だと思うよ、上目指すならね。 生きた練習やってほしい。


「それは岐阜高校らしくないね。」

二校目に選んだのは、毎年2桁の東大合格者を出す県内トップの進学校、県立岐阜高校は創立152年。その野球部は最古の野球部(創部は1884年)の一つとしても知られている。 去年の夏は県ベスト8。20年以上、ベスト8の壁を超えられずにいる。彼らも、甲子園常連校との差を埋めようと、もがいていた。
部員:
僕たち大垣日大に秋季大会で負けたんですけど、力の差を感じて、普段の練習だけではパワーでは負けるような気がするんですけど、そういうのを補うためにパワーをつけるためにはどうしたらいいですか?


イチロー:
それは岐阜高校らしくないね。そうじゃない勝ち方はいくらでもあるからね野球は。だから面白いんだよ。パワーのあるチームに対して、自分たちが少しだけパワー付けて近づけても勝てると思う?そこで勝負しちゃ駄目だよ。それね、やりがちなミスなんだよね。そうじゃないから野球面白いんですよ。頭使ってくださいよ。


頭脳でやられているな…そういう野球を目指してほしい

考える野球が持ち味のはずの岐阜高校は、パワーの差をどうやって補うべきなのか。その土台となるのはやはり、「基本」の根っこを理解する事。長い伝統を鵜呑みし「考える」事をやめていた。
イチロー:
自分の普段やっているリードやってみて。そうか、途中のこれ(足をクロスする)が僕はいらないと思うね。もうこのままでいてほしい。せっかくこれで隙のない状態を作っているのに、これが入る事でやられるので。


部員:
チームとしてもこのリードで行こうっていうのを入部当初から言われていて…
イチロー:
こうやってここでこれいれる理由は何?理由が知りたい。
部員:
早く幅を稼ぐっていうふうに教わっていて。こうならここでまた戻れるよねっていう風に教わった。
イチロー:
でもこの瞬間に来られたらどうする?
部員:つまります。
イチロー:
そうだよ、それ、隙になっちゃう。


部員が隙のないリードにトライすると。
イチロー:
相手はその方が絶対嫌だけどね、だって隙がないんだよ。ああ、嫌なリードを取るなって思う。嫌なチームだなって思う。

高校球児と対話を通して、伝えたかった事。
イチロー:
まずは岐阜高校は、落ち着いて冷静にいろんなことを判断して、相手からしたら頭脳でやられているな、落ち着いてこいつらプレーしているよな、嫌だな、そういう野球を目指してほしい。


「僕はその3名が上がりますね」イチローさん感銘の質問に

「考える」事が強みとわかった時、目の前の景色は変わる。 岐阜高校の部員はある質問でその可能性をイチローさんに感じさせた。
部員:
あの人だったらどういう風に思うだろうかとか、どういう声を掛けてくれるだろうかっていう、イチローさんにとってのそのような人はどういう人なのかなって


イチロー:
僕にとってはね、迷った時とか、困った時とか、悩んだ時とか、そういう時に思い出すのは当時(オリックス)の監督ね、仰木監督。面白い人だったからね、本当尊敬してる。王監督の事も。第1回のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で監督と選手の立場で時間を過ごしたんだけど、やっぱり大きな存在だった。妻の存在もそうですね。近くにいる事もあって、そう問われれば、僕はその3名が上がりますね。

高校野球指導を始めて5年。今までになかった質問だった。こうした新たな発見があるから高校生に惹かれるのかもしれない。感銘を受けたイチローさんは噛みしめて部員らに語った。


イチロー:
こういう空気感、うわー。初めてかもしれないね。僕にとってもすごく刺激になりました。高校生を見る目は、みんなに会って少し変わるかも。それぐらいインパクトがありました。じゃあいい報告を待っています。野球もその後もね。とにかく期待しています。頑張ってください。


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