アメリカ大統領選挙で勝利した共和党のトランプ前大統領。今後、日本への影響についてです。
日本とトランプ氏との関係は今後どうなる?
斎藤慎太郎キャスター:
日本時間のきのう、ドナルド・トランプ氏が勝利宣言を行いました。
そして今朝、トランプ氏と石破総理が初めて電話会談を行ったということです。石破総理はその時の印象について「非常にフレンドリーな感じがした」と話しており、出来るだけ早期に直接会って会談することなどを確認したと明らかにしました。
いつ“直接会談”になるのかというと、政府関係者によると再来週にブラジルで行われるG20サミットからの帰国時に、アメリカに立ち寄って面会することを検討しているのではないかということです。
トランプ氏の人柄を早稲田大学の中林美恵子教授に伺ったところ、「最初のコミュニケーションや立ち振る舞いで相手を見極める傾向にある」ということです。
実際に、2016年には安倍元総理がトランプ氏の当選直後の11月に電撃訪問しました。その後、トランプ氏と親密な間柄となって外交・貿易の面でも良好な関係になったということで、ファーストインプレッションが大事だということです。
ホラン千秋キャスター:
具体的にどんな対応を求められるのでしょうか。
早稲田大学 中林美恵子 教授:
安倍元総理がいらしたときは、他の国がこれをやっていなかったので、最初のインパクトが非常に強かった。ましてや、まだ就任もしてない時期にトランプ氏の自宅にお伺いするということを他の国はやっていなかったんです。そういったインパクトには、かなり評価が高くなる可能性があります。
あと強いリーダーが好きです。実は中国・習近平国家主席やロシア・プーチン大統領、北朝鮮・金正恩総書記、イスラエル・ネタニヤフ首相にしても、ある意味ちょっと独裁的と言ってもいいくらいの人たちも含めて、非常に強いリーダーを好みます。ですから、日本と対峙したり会話したりするときも、強いリーダーだとやっぱりいろんな話ができるというところもあるのではないでしょうか。
石破総理はこれからの戦略が必要 「安倍元総理と同じことをしても駄目」
井上貴博キャスター:
そう考えるとトランプさんの1期目は安倍政権の基盤が盤石で、しかもG7でも古株で信頼関係を築きやすかった。今、トランプ氏は共和党は上下両院とってしまうとより強固に出てくるのではないか。日本政府としては、どうやってパイプを作っていくべきでしょうか。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
最初は安倍元総理のようにフレンドリーな形で付き合うのも一つ手ですが、当時はやっぱりトランプさんも勝った直後ですし、8年間勤めようと思っていましたから、安倍元総理があのように出てくれば、いいやつだということになったと思います。
しかし、今回のトランプ氏は最初からおそらく“アメリカファースト”を掲げてやってきます。おそらく実利的なものを手に入れようと思いますから、そのとき石破総理もまだ動き始めたばかりですので、すぐにトランプ氏と一対一で動いてもなかなか簡単には勝てません。
やっぱり安倍元総理と同じようなことをしても駄目なので、石破総理は韓国やヨーロッパとか、そういう人たちとタッグを組んでトランプ氏と向き合うということを考えた方がいいかもしれません。その辺りは少し知恵の絞りどころですね。
ホランキャスター:
石破総理はうまくやっていけそうだなと直感的に思われますか。
早稲田大学 中林教授:
これからの戦略が必要だと思います。もし何か取引をしようと思っても、相手の政治基盤があまりにも弱いと、話し合ったことが実際にその国に行って実現できるかというところにそもそも不安を抱いてしまうので、そんなに突っ込んだ話ができないかもしれません。
それからゴルフがうまいとか、何か共通の趣味があると話が進むこともあります。ですから、トランプ氏がどれくらい信心深いかどうかはわかりませんが、石破総理の場合は例えばクリスチャンであるとか、そういった何か共通のものを持って、周辺からまず攻めて核心に迫るというのも一つの方法ですよね。
トランプ氏勝利でどんな外交に?“アメリカファースト”で防衛費増額の可能性も
斎藤キャスター:
トランプ氏は日本に外交面でどんなことを求めてくるのでしょうか。
あくまでトランプ氏は“アメリカファースト”で、インフレ解消のために国内の利益の増加を目指すのではないかとみられます。
▼貿易面
全輸入品に対し関税を10%~20%
▼安全保障面
兵器購入などを求めて防衛費の増額
井上キャスター:
より強気に出てくると言われている“トランプショック”をどう思われますか?
早稲田大学 中林教授:
選挙でトランプ氏はいろんなことを約束しました。まずインフレを止めるとか、不法移民は入れないとか、日本に直接関係のないものも含まれています。
ただ経済はアメリカ、日本、世界も巻き込まれるテーマですし、貿易や関税というものも必ずいろんな形で直接的に関係するものもあれば、例えば中国に対して行っていたものが日本の小さな輸出企業・中小企業にも影響することだってありうるわけです。
ですから、こういった日本にも影響のあるトランプ氏が約束した国内政策に注目していく必要があるだろうと思います。
それから貿易関係では、とにかく日本にいろいろ買わせることがトランプ氏の勝利の印でもありますから、なるべく高額なものを買わせようとするかもしれませんね。
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<プロフィール>
中林美恵子さん
早稲田大学教授 元アメリカ議会上院補佐官(共和党)
専門は国際公共政策
星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身 政治記者歴30年
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