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復旧半ばの被災地襲った能登豪雨 7人死亡6人不明 行方不明の中3少女の捜索続く 不明の中3少女が同級生に送った写真には土砂が自宅に迫る様子が【news23】

総合
2024-09-24 13:49

能登半島地震の被災地を襲った豪雨。今も安否がわかっていない輪島市の中学3年の女子生徒が、行方不明になる直前、自宅に土砂が押し寄せる画像を同級生に送っていました。石川県内ではこの女子生徒を含む6人の行方がわかっておらず、懸命な捜索が続けられています。(9月23日「news23」午後11時すぎの放送より)


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能登豪雨 7人死亡、6人行方不明「奇跡が起こって」

この週末、能登半島を襲った豪雨。濁流が人々の日常をのみ込みました。雨量は降り始めから、9月23日午後3時までで、輪島市で582.5㎜、珠洲市でも450.5㎜となり、9月の平均雨量の2倍以上に上っています。


喜入友浩キャスター
「大雨で氾濫した塚田川です。中学3年生の女の子の行方も分かっていません。23日も朝から警察・消防など400人態勢で捜索活動が行われています」


流木やがれきが折り重なる現場。行方不明となっている中学3年の喜三翼音さん(14)の捜索に、両親の姿もありました。父親の鷹也さんは、消防隊員とともにがれきを払います。


喜入キャスター
「現場から2つのスニーカーがみつかりました」


家族は外出中で、1人で自宅で過ごしていた翼音さん。心配した両親がスマホで連絡をとると…


翼音さんの父親 喜三鷹也さん
「ビデオ通話で道路に土石流が来ていた状態だったので、窓から飛び降りるっていってものみ込まれるだけなんで、『もう部屋におれ』っていうことしか言えなかったです」


翼音さんの母親
「怖かったと思います。『高いところに逃げてね』って言って。『分かった』って、それが最後」


23日に捜索活動に加わった祖父は…


喜入キャスター
「見つかったものの中に、これまで見たことのあるものはありましたか?」


翼音さんの祖父 喜三誠志さん
「写真は見つかりましたし、いろんな学校でつかっていた小物、ペン類も多少見つかりました」


祖父の誠志さんは輪島塗の職人。2024年3月、金沢市で開かれた「出張輪島朝市」では、翼音さんが祖父の手伝いをする様子が映っていました。


翼音さんの祖父 喜三誠志さん
「とにかく私は、1%でもいいから可能性で、奇跡が起こって生きててくれないかと今も思っています」


翼音さんは行方不明になる直前まで、同級生とも無料通信アプリでメッセージのやりとりをしていました。


翼音さんの同級生
「最初『おはよう』と打って、『雨すごくない?』と言ったんですけど、そのあとに『それな』と出てきて、(家の外の)写真も見せてもらったんですけど、土砂で泥だらけでした」


翼音さんから送られてきたという画像。土砂が家の間際まで押し迫っているのがわかります。自宅の2階から撮影したものとみられます。


翼音さんの同級生
「そのあとに『土砂なくなるまで出れないってこと?』って言ったら、『多分そうかもしれん』って送られてきて、そこからちょっとスマホを見てなかったんですけど、10時4分くらいに打ったら、もう既読がつかなかった」


その後、4回ほど電話もしましたが、つながりませんでした。


翼音さんの同級生
「優しくて頭もよくて、絵もうまくて、話してて面白かった人です。本当に早く見つかってほしい」


輪島市久手川町では、高齢の男性1人が死亡。翼音さんを含め、3人が行方不明のままです。


輪島市中心部の中屋トンネルでは、大規模な土砂崩れが発生しました。このトンネルは、元日の地震で内部のコンクリートが崩落。現場では復旧工事が行われていて、作業員らと連絡が取れなくなりました。


消防隊員らが救助に向かいますが、倒木が行く手を阻みます。


中屋トンネル付近では、22日に14人が発見されましたが、住民の男性1人と作業員の男性1人の死亡が確認されました。  


今回の豪雨では7人が死亡。6人の行方や安否がわかっていません。


漁港に「SOS」「35人」の文字が記されていたのは輪島市の大沢町。そばには自衛隊員らしき人の姿も…


輪島市や珠洲市では、土砂崩れなどにより道路が寸断し、今も56の集落で孤立状態が続いています。


「トドメ刺された」 被災地からは“諦め”の声も 

影響は被害を免れた住宅でも。能登地方ではおよそ3500戸で停電。およそ5000戸で断水が続いています。


取材した輪島市の住宅では元日の地震後、断水が続いた際に使っていた給水タンクを再び取り出し、水をためていました。


停電・断水中の住民
「またこんな事になるとは思ってもみなかった」


この時期ならではの悩みも…


停電・断水中の住民
「電気が来ないのは冬は寒いだけだけど、夏場は冷蔵庫がだめでしょ。扇風機や冷房がダメなので余計つらい」


豪雨は震災から復旧半ばの被災地を襲いました。


喜入キャスター
「こちらは、もう間もなく工事終盤にさしかかるような工事現場です。住宅でしょうか。中に土砂が流れ込んでいます」


321人が身を寄せている輪島市内の仮設住宅では、水が床上にまで達しました。


仮設住宅で暮らす東野さん
「(仮設住宅に)5月に入れて、ちょっと落ち着いてきた矢先の出来事」


2024年5月から仮設住宅に入居し、妻と子ども4人で暮らす東野さん。水が引いた後、仮設住宅に案内してもらうと、部屋は泥で汚れ、物も散乱していました。


東野さん
「リスタートしても、またリスタートですね。ちょっと踏ん張りがきかないところですね」


被災者からは“諦め”のような言葉もこぼれます。


堀井哲雄さん(69)
「1月(震災)で全壊のほうが良かった。(輪島を)あっさり離れやすかった」


元井孝司さん(74)
「なんとか将来に向けて色々模索していたところへ、心が二度も折られるような状況で、なかなか現実を見られない」


今回の豪雨で3人が亡くなった輪島市町野町。1月の地震でも多くの住宅が倒壊するなどの大きな被害がありました。


こうした状況の中で営業を続けたのが、地域で唯一のスーパーマーケット「もとやスーパー」です。


もとやスーパー 本谷一郎さん(今年2月)
「何とかこの地域の人に協力できることは協力しようと」


地域の人にとっては大きな支えでもありました。しかし、今度は氾濫した川からの濁流が、店を襲いました。


もとやスーパー 本谷一知さん(46)
「泥がすごくて、田んぼと同じような状態」


商品は棚ごと店の奥に。


もとやスーパー 本谷一知さん(46)
「また前向きに捉えてここでやったとしても、(豪雨が)また来たら同じことになるだろうし、積んでは崩しで…経営のことは今は考えられるような状態じゃない」


もとやスーパー 本谷理知子さん(73)
「ぼちぼち前向きに次の段階に行こうかみたいな感じで思っていた矢先だった。トドメが来たなという感じ」


甚大な被害 地震による地盤の脆弱化が影響か

豪雨による甚大な被害。住民は、能登地震で脆弱となった地盤などが、さらに被害に拍車をかけたのではないかと指摘します。


住民
「(堤防が)1mか2m高かったけど、この1月1日の大地震で沈下した。このために水が溢れて田んぼの中へ流れている状態」


輪島市を流れる八ヶ川では、地盤沈下した堤防を川の水が乗り越え、田んぼや町が冠水したといいます。


2023年10月の八ヶ川沿いの画像と比べると、地震後の2024年7月には、護岸に土嚢が積まれていることがわかります。そして今回、川が氾濫し、あたり一面が冠水しました。


また、地震で亀裂が入っていた道路が、雨により1m近く崩落したところも…


道路崩落で孤立
「きのうまでは(車は)通れていた。砂利を敷いてもらって、なんとか通れていた。亀裂の所に雨水がたくさんいって、(地面が)下がったのかなと」


町に土砂が流れ込んだのも、地震が影響しているという声もあります。


その原因とみられるのが「土砂ダム」です。地震のあと、土砂が川をせき止める「土砂ダム」ができていたといいます。

▼土砂ダム
土砂や流木などが川をせき止めて自然にできた地形(河道閉塞)


元井孝司さん(74)
「上流に土砂ダムができていた。それが(決壊を防ぐ)工事中で完成しない間に、震災の時の倒木とか石が一気に流れた。この世のものとは思えんような、ずっと見渡す限り(土砂が)上がった」


「元の景色が思い出せない」住民からは諦めの声

小川彩佳キャスター:
輪島市で取材を続ける喜入キャスターに現場の様子を伝えてもらいます。


喜入友浩キャスター:
大雨から2日が経ちましたが、氾濫した塚田川の水は茶色く濁っていて、流れも穏やかではありません。濁流は大きな音を立てています。

周りには、大木や崩れたコンクリート、窓枠のようなものなど家屋の一部も流されてきています。一帯に広がる土砂の多さが今回の大雨の特徴です。


まだ元日の地震のダメージが癒えないうちに、大雨の被害に遭いました。塚田川にかかる道路ですが、いまだに亀裂が入ったままです。

そのほか倒壊したままの家屋、崩れたままの斜面など、地震の後、まだ手付かずの場所が数多くあります。今回の大雨で、被害が一気に広がってしまったという状態です。


藤森祥平キャスター:
1月の地震の時から取材を続けていますが、今回のこの状況に住民の方からはどんな思いを感じていますか。


喜入友浩キャスター
夕方ごろ、地元の方がこの場所の様子を見に来られましたが、風景を見て、「元の景色が思い出せなくなってきた。もうここには住むことができないかもしれない」と話していました。

地震の時は、涙を流して、悲しみ、戸惑う人も多かった印象ですが、今回の大雨では、何かを悟り、達観し、諦めのような声が多かったのが印象的でした。


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情報提供元:TBS NEWS DIG Powered by JNN

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