今の就職活動事情は、学生に有利な“超売り手市場”。「学生に面接官を選んでもらう」そんな取り組みをはじめた企業も現れました。
2025年卒は92.1% 26年卒はすでに4割超に
上村彩子キャスター:
就活生にとっては有利な時代になっていて、売り手市場は数字にも表れています。
文部科学省のホームページによると、2月時点の“新卒の内定率”は、就職氷河期のころは80%程度だったんですが、2025年は92.1%となっています。
就活事情に詳しい石渡嶺司氏によると、就活解禁したばかりの2026年卒(現・大学3年生)の就職内定率は、すでに4割を超えているといいます。
超売り手市場で、バブル期とほぼ同じ水準だということです。
そんな状況のいま、TBS社内でアルバイトしている学生たちに実情を聞いてみました。
大学3年
「就職できないという不安はありません。1月に内々定が出ました、滑り止めですけど…」
大学4年
「第2希望の企業に就職が決まっています。面接のオファーが多く、スケジュール調整が大変でした」
リーマンショックで急に不景気になった30代、長引く不況でエントリーシートを60枚書いた40代、ベビーブーム世代で競争が厳しかった50代の就職で苦労した人たちは、この状況に「本当にうらやましいです」と話しました。
1990年代の就職氷河期世代の当時の映像では…
氷河期の就活生
「行く会社行く会社、募集する人数が少ないのに集まる人数が多い」
「実用(性)がないと雇ってもらえない」
「あまり(企業が)話を聞いてくれない。もうウチはとりません、事務は必要ありませんと」
「焦りますよ。必死です」
「『のんびりしているな』と思っていたら」いろいろな業界の複数社から内定
井上貴博キャスター:
(いまは)超売り手市場と言われますが、入社してからの競争が私たちのときより激烈なのではと思います。
「あなた、AIに勝てるの?」と言われるかもしれませんし、すぐ結果を求められたり、(就職氷河期とは)違う厳しさがあるのではないでしょうか。
ホラン千秋キャスター:
入社しても、転職する人たちも非常に多い時代なので、当初は同期が何十人もいても数人しかいない、という状況は、結構あると思います。
上村キャスター:
私の弟も春に社会人になるのですが、2024年就活をしていて、「なんかのんびりしているな」と思っていたら、すぐに、いろいろな業界の複数社から内定をもらっていました。
さらに、OB・OGの人に「どれくらい給料が増えていくのか」「働き方はどうか」とお話を聞いてから選んでいて、本当にうらやましいと思いました。
歴史・時代小説家 今村翔吾さん:
書店をやっているのですが、四季報の売れ行きがいつもよりいいですね。いろんな企業に興味を持って、積極的に行っているのかもしれないです。
いまは「サウナ面接」「お花見しながら面接」も
上村キャスター:
そして、超売り手市場で生まれた言葉があります。「採用氷河期」という言葉です。
就活事情に詳しい石渡嶺司氏によると、▼就職氷河期の面接は男性の面接官が多く、「貢献できるの?」「何ができる?」「志望動機は?」など、なかには圧迫面接もあったかもしれません。
そこで学生は「何でもやります」「頑張ります」と必死に答え、企業側が強気なので、面接の回数は5回から6回が多かったということです。いまは、2~3回という企業もあるそうです。
▼採用氷河期の面接は、「私の性格は…」「学生時代には…」と学生が語るスタイルで、面接官は聞き役に徹します。基本は1対1ということもあるそうです。
学生がリラックスして話せるように、いまは「サウナ面接」や「お花見しながら面接」という企業もあるそうです。
井上キャスター:
面接の最後に「言い残したことありますか?」と聞かれて、そこで自己アピールをしていました。
私は面接官をすることがあるのですが、いまでは「御社の強みなんですか?」と学生から逆質問されるケースが相当増えた気がします。それで、面接官が焦ったりしています。
学生が面接官になったら…話題の就活動画
上村キャスター:
就活で話題の動画があります。
『カメラを止めるな!』などの上田慎一郎監督が「就活面接の立場を逆にして見せれば、現代日本が抱える様々な問題を風刺した作品ができると思いました」と制作した就活で話題の動画があります。
――令和X年、少子高齢化の加速により、就活生が会社を選ぶ時代となった。
学生役(面接官)
「じゃー皆さんの会社に入るメリットを教えてください」
A社役
「必ず定時でご帰宅いただけます。有給も好きなだけ差しあげます」
B社役
「出社頂かなくても結構です。ご自宅からご自身のペースでお仕事をして頂けます」
C社役
「正直うちは残業もある。有給は規定どおりだ。出社はしてくれ。生の交流を大事にしてるからだ。メリットはやりがいだ。やりがいを見つけるのは、お前だ」
学生役
「敬語使いましょか。なんすか、その口のききかた。雇う側ですよ。選ばれる立場っすよ。ありえねー」
C社役
「いや、あのこれはなんていうか」
学生役
「ヒゲ剃ってくるでしょ、フツー。礼儀なってなさすぎー」
C社役
「すみません」
学生役
「こちらの会社(B社)にします」
B社役
「あ、有難うございます」
学生役
「いつから働けばいいすか?」
B社役
「いつからでも」
C社役
「あ、そう」
※TikTok「@PICORE」より
井上キャスター:
お互いがお互いを選ぶのは、それでいいと思います。
歴史・時代小説家 今村翔吾さん:
極端な気がしますよね。ちょうどいい塩梅がありそうなのに、結局需要と供給でそこはいかないんですよね。
いまはフリーランスになっている人も多いですから。
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<プロフィール>
今村翔吾さん
「塞王の盾」で第166回直木賞 受賞
歴史・時代小説家 30歳までダンス講
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