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ベトナムが投資有望国ランキングでインドに次ぐ2位に躍進しています。かつては世界最貧国レベルだった平均年齢32歳の若い国はどのように急成長を遂げたのか、また今後の展望は?専門家と現地を取材した記者が解説します。
「人口ボーナス」だけではない、成長の背景
昨年、国際協力銀行が日本の製造企業を対象に調査した投資有望国ランキングの1位はインド、3位はアメリカで、4位にはインドネシアが入っています。
「大国が並ぶなか2位にベトナムの規模の国が入っているのは画期的です」とジェトロ=日本貿易振興機構のアジア経済研究所・主任研究員で、ベトナムを専門とする藤田麻衣さんは評価します。
ベトナムの成長を支える要因の1つが、若い人口構成です。平均年齢が32.8歳と、日本の50歳前後と比べて非常に若いのが特徴です。
藤田さんは「まだ若い国で、生産年齢人口が伸び続ける成長期にある」と分析しています。
この若さを背景に、ベトナムは経済が拡大しやすい「人口ボーナス」の真っただ中にあります。昨年のGDPの成長率も前年比7.1%と、日本の1.5%を大きく上回っています。
日本企業のベトナム進出も活発化しています。「直近までの日系企業の累計投資額は韓国、シンガポールに次ぐ3位の規模です」
1975年のベトナム戦争終結後、共産党一党独裁が続くベトナムは計画経済の失敗や国際的孤立により、一時は袋小路に陥りました。
しかし1986年からのドイモイ(刷新)政策により、経済改革と対外開放を進め、経済の立て直しを図りました。藤田さんは2000年代に入ってWTO=世界貿易機関の加入などで海外市場に門戸を開いたことも転換点だとみています。
立ちはだかるのは労働コスト上昇と、トランプ政権の“関税攻勢”?
昨年、現地取材を行ったTBS経済部の岩井宏暁記者はベトナムの現状について「街で人々に話を聞くと、とにかく景気のいい話ばかり」と述べます。中間層や富裕層も増えており、国全体に右肩上がりの雰囲気があるということです。
ベトナムなど発展途上国の経済成長の特徴として、「リープフロッグ」現象が挙げられます。これは一部の技術や産業が、先進国で経た段階を飛び越えて急速に発展することを指します。
ベトナムでのデジタル技術の急速な普及の例として岩井記者は配車アプリの“Grab(グラブ)”を挙げます。「使い方は非常に簡単で、行きたい場所を入力して、迎車を検索するだけ。支払いもキャッシュレスで終わります。ドライバーと話すことなく現地まで行けてしまう」
グラブの導入にあたっては政府による配車アプリの規制が後手に回るなど、共産党による締め付けが必ずしも強くないことや、サービスの成長が結果的に優先されるダイナミズムがあることもベトナムの特徴といえそうです。
急速な発展に伴う課題も浮上しています。「労働力の質が比較的良く、コストも安かったことで成長を続けてきました。ただ賃金も上昇しており、それに見合った付加価値をつけて産業構造を高度化できるか」が問われていると藤田さんは指摘します。
地政学的リスクもあります。中国からの生産拠点移転が進んだこともあり、ベトナムの輸出先の筆頭国は現在、アメリカです。電子製品のほか、特に衣類の対米輸出は中国とほぼ同じレベルに達しています。
その裏返しでアメリカの国別の貿易赤字額でベトナムは中国、メキシコに次ぐ第3位です。「トランプ政権の保護主義的な関税政策のターゲットになる懸念も生じています」と藤田さん。
日本はベトナムが戦略的パートナーシップを結んでいる数少ない国で、日本企業にとって引き続き大きなチャンスのある国といえます。岩井記者が「もしかしたら今後、日本を抜いていくのでは」と指摘するほどのポテンシャルのあるベトナム。今後も要注目です。
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