日付をまたぎ、10時間を超える異例の長さとなったフジテレビの会見。納得できる説明だったのでしょうか。一企業としての企業体質、管理体制がどうなっていたのかをみていきます。
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「女性への聞き取りできていない」中…フジテレビ社員の関与を否定
井上貴博キャスター:
フジテレビの企業体質や管理体制はどうなっていたのか、また、フジテレビ社員の関与はあったのでしょうか。
フジテレビの港前社長は「当該社員と中居氏のヒアリングと、(通信)履歴を精査した結果、これは関与してない」としています。▼当該社員に複数回の聞き取り、▼LINEなどの履歴も提出し、関与を伺わせる内容は確認できなかったということです。
また、中居さんにも聞き取りを行い「社員Aは該当食事会に関わっていない」としました。しかし、上野広報局長は「女性への聞き取りはできておりません」としていて、双方に聞き取りができていない中で「関与していない」と結論付けたので、企業としてのガバナンスが効いていないのではないかということになります。
ホラン千秋キャスター:
今回の会見は、前回の会見があまりにもクローズドだと批判を受けてのものでしたので、前回から調査が進んだというわけではないですよね。女性への聞き取りは、第三者委員会で行われると思ってよいのでしょうか。
河西邦剛 弁護士:
第三者委員会での聞き取りは可能性があると思います。
しかし、第三者委員会の調査というのはあくまでも任意のものなので、女性が「応じたくない」という場合には、「聞き取りを試みたが応じてもらうことができなかった」という結果になる可能性はあると思います。
ホランキャスター:
危機管理上、(双方に)聞き取りができていない中で、「関与を伺わせる内容を確認できなかったので、関与していない」としても問題ないのでしょうか。
河西 弁護士:
ガバナンス上問題になり、やや先走った広報だったかと思います。2024年の年末に、編成幹部とされているA氏は「一切関与はなかった」と言い切っていますが、(問題となった)会に関与があったかどうかは、A氏と女性の双方に聞かないと分かりません。
A氏のみに聞き取った段階で、フジテレビ側が「一切関与がない」と断定的な表現をしたことによって、例えば後々異なる情報が出た場合に、捲られるリスクを自ら背負うことになります。
ホランキャスター:
会見は長時間にわたって行われていましたね。
元競泳日本代表 松田丈志さん:
さすがに質疑応答まですべては見られませんでしたが、冒頭のフジテレビ側の発言はしっかり見ました。言いすぎている部分があるかもしれないとの指摘もありましたが、現時点でフジテレビ側が知っている情報はできる限り出していたのではないかと感じました。そして、できるだけ丁寧に説明していたように思います。
河西 弁護士:
分かっていること、その結果の状態を丁寧に事実のまま発表するのが広報です。
2024年末のタイミングでは「一切ありませんでした」ではなく、「A氏に聞き取りをしたら、A氏はこう言った」などと、あくまでも聞き取ったレベルで言えることにとどめておけば、今回のようにニュアンスが少し変わってしまうこともなかったのかなと思います。
井上キャスター:
27日の会見を見ていて、一つ残念だと感じたのが、プライバシーに踏み込むなど質問者のモラルのような点です。
今後会見を開く際に、どなたでも参加できると27日の会見のようになってしまいます。何か基準を設けることはできるのか…生産性の高い記者会見の場を作るにはどうしたら良いのでしょうか。
河西 弁護士:
前回の記者会見で参加者を絞ってしまったために、今回は誰しも入れないといけないという状況を自ら招いてしまいました。
効果的な記者会見ということについては、テーマを絞るということが必要になってきます。
今回のケースでいえば、番組の継続や代表・幹部陣の進退、A氏の関与といったテーマに沿って記者会見を進めて、質問を集中させることでどんどん質問も深まり、同じような質問が繰り返されて、時間が経つということは防げるかと思います。
ホランキャスター:
テーマを設定して、大きなテーマに関連する質問を聞いていくという質問者側の部分でしょうか。
河西 弁護士:
テーマを設定して、「このテーマについて質問どうぞ」というような形は一つあり得るかなと思います。
“トラブル”発生後も起用 なぜコンプラ室通さず対処?
井上キャスター:
なぜ中居さんを起用し続けたのでしょうか。
2023年4月に放送開始となった「まつもtoなかい」は、中居さんと女性にトラブルが発生した2023年6月以降も中居さんを起用し続けました。その後も、2024年7月のパリ五輪の特番や、12月のスポーツ特番でも起用していました。
「まつもtoなかい」を終了させなかった点について、上野広報局長は「唐突に終了することで憶測を呼ぶことを憂慮し、番組を中止するような大きな動きを作ることを控えたいという考えがあった」といいます。
さらに番組起用が続いた点については、「社内での情報共有も限定されていたことから、他の単発番組への出演が続いておりました」としています。
港前社長によると、「女性のコンディションがそんなに良くないという状況がありまして、動きがあることが、どういう刺激になってしまうのか本当にはかりかねる状況で、ずっと判断が難しいことでした」ということです。
企業体制としては、コンプライアンス室がしっかり機能していくことが望まれます。
コンプライアンス室を通さなかった理由について、▼彼女の心身の状態を最優先にし(少人数でという本人の希望)、▼医師や接触した社員の判断の結果、少人数で職場復帰できるまで寄り添うことが一番最善だとしたとしています。
港前社長は、「コンプライアンスにあげていくと、やはり知る者が多くなる。何か刺激が起きたらといろいろ考えてしまい、コンプラにはあげないで進めてきました」といいます。
コンプライアンス室の役割としては、会社が法律やルール違反をしないよう監督する部署で、営業局や人事局、総務局などとは独立しています。一般的には社長室直轄でコンプライアンス室を設置し、会社の機密情報などを扱う独立した特別な現場だということです。
少人数で扱うからコンプライアンス室を通さないとなると、コンプライアンス室の存在意義がなくなってしまうように感じます。
河西 弁護士:
コンプライアンス室に報告しなかったというのはかなり問題で、コンプライアンスを軽視しているのではないかと感じてしまいます。
コンプライアンス室に話をして、そこから漏れてしまうことを懸念している節がありますが、ある意味、社長自身が内部のコンプライアンス室を疑っている状況で、港前社長が「ルールを守ろう」という点について、真向から否定してしまっている可能性があると思います。
その結果、会社内部において、港前社長と一部の人間は中居さんと女性のトラブルを知っている一方で、特番などの番組を制作するチームはトラブルを知らないために、中居さんに特番のオファーしてしまうといったあべこべの状況になり、組織の中で矛盾してしまっています。
この原因の一つが、まさに港前社長のコンプライアンス室に、中居さんと女性のトラブルを報告しなかったことにあると思います。
ホランキャスター:
トラブルを扱う専門の部署が知らず、専門じゃない人たちが情報を扱うことの危なさもありますね。
元競泳日本代表 松田さん:
そういう危なさは本当にあると思いますし、女性側からの「少人数で」という要望があっても、少人数でどのようにガバナンスを効かせた状態で問題に対処するかというところを組み立てていく必要があったのではないかと思います。
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<プロフィール>
河西邦剛さん
レイ法律事務所パートナー弁護士
芸能・エンターテインメント分野の法律問題が専門
松田丈志さん
元競泳日本代表 五輪4大会出場 4個のメダル獲得
JOC理事 宮崎県出身3児の父
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