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「再び安定取り戻す」“10年で7人目” 英国バーナム新首相が就任演説 なぜ頻繁に首相交代?【news23】

海外
2026-07-21 11:49

20日、イギリスで新しい首相が誕生しました。この10年で実に7人目です。なぜ、これほど頻繁に変わるのか?背景には、イギリス国民が抱える不満があるようです。


【写真で見る】裸のバーナム氏と官邸ネコのラリーが描かれている風刺画


バーナム新首相が演説「再び安定を」

イギリス首相官邸で“ネズミ捕獲長”を務める猫・ラリー。15年で6人の首相を見守ってきました。


記者
「ロンドンの首相官邸前です。バーナム新首相はまもなく到着し、こちらで就任演説を行います。国民に対して、政策の明確なメッセージを打ち出すのか、注目が集まっています」


アンディ・バーナム 新首相(56)
「イギリスは再び安定を取り戻せるということを世界に示さなければなりません。政治をより良く機能させるという、私たちの挑戦なのです」


スターマー氏の後任として就任会見に臨んだ、与党・労働党のアンディ・バーナム氏。イギリス北部・マンチェスターで9年間市長を務め、公共交通機関の改革などを進めてきました。


さらに訴えてきたのが、ロンドンへの一極集中を改める“地方重視”です。


バーナム 新首相(バーナム氏のSNSより)
「ウェストミンスター(=中央政治)はこのような街には機能していないんです」


バーナム新首相についてロンドン市民は…


ロンドン市民
「国全体がめちゃくちゃな状態ですからね。多くの民営化を撤回しようとしている彼の主張には共感します」


一方、こちらの風刺画。描かれているのは、裸のバーナム氏と官邸ネコのラリーです。


ロンドン市民
「ラリー(ネコ)こそ本当の“首相官邸の主”ですよ。2年ごとに首相が交代するようでは、安定した政治とは言えません」


こうした声の背景には、政治への不信があります。


慶応義塾大学 鶴岡路人 教授
「この10年間のイギリス政治というのは、新しい首相の顔を変えることで新しい雰囲気を作ろうとして失敗してきたということの連続だったんだろうと思います」


首相“10年で7人目” 揺れるイギリス

イギリスでは、この10年間で首相が次々と交代。バーナム氏で7人目です。


その間、物価高や移民問題をめぐる有権者の不満も高まりました。その受け皿となってきたのが、右派政党「リフォームUK」です。


右派政党「リフォームUK」 ファラージ氏(今年1月)
「不法移民は止めなければならない。これは国民の最大の関心事です」


こうした右派ポピュリズムの広がりに対抗するため、労働党が前面に立てたのが、地方で支持を集めてきたバーナム氏でした。


バーナム 新首相
「私たちは失敗の代償を支払うことではなく、人々の成功に投資していきます。その取り組みは今まさに始まります。私は我が国に蔓延する損失を終わらせるための最初の指示を出します」


“EU離脱”決定から10年 新首相「損失を終わらせる」

ただ、その道のりは平たんではありません。


イギリス独立党 ファラージ 党首(2016年当時)
「独立記念日にしよう!」


10年前、国民投票で決まった「ブレグジット」=EUからの離脱です。


創業260年以上の企業。過去に、キャサリン妃のウェディングドレスのトレーンにも採用されたレースを製造しています。しかし、EUを離脱したためにフランスの染色工場との往復だけで関税が発生。年間およそ428万円もの余計な出費を強いられています。


クルーニー・レース社 チャールズ・メイソン 社長
「ここで作るものは全てフランスに送って染色と仕上げを行い、再びここに戻さなければならない。ただフランスに送るだけのために8%もの関税が課されるのです」


ブレグジットの代償を、いまも背負い続けるイギリス。バーナム氏は、立て直すことができるのでしょうか。


慶応義塾大学 鶴岡路人 教授
「国民の不満が高まるなかでリーダーシップが発揮できないということで、とりあえずリーダーの顔を変えてみたわけですけれども、政策の基本が変わるわけでもなければ財政状況が急に良くなるわけでもない。首相が変わったといってもできることに限りがある、というのが現状だろうと思います」


“北部の王”新首相誕生も試される船出 世論の支持は?

藤森祥平キャスター:
また新しい首相が誕生しました、イギリスのバーナム氏です。イギリス北部のマンチェスターで9年間市長を務めていました。「キング・オブ・ザ・ノース」(=北部の王)と呼ばれているんですね。飾らない庶民派だそうで、地方重視の政治を訴えている人です。


東京大学准教授 斎藤幸平さん:
格好も、Tシャツとかデニムを穿いていたりとかして、北部の訛りなので、ウェストミンスターのロンドンにいるようなエリートの政治家とは喋り方も違うように感じるらしくて、そういうところに人々が親しみを感じるんだと思うんですよね。


バーナム氏が市長を9年務めたマンチェスターは、エンゲルスが工場をやっていた街で、『イギリスにおける労働者階級の状態』という著作があるように、労働者の街です。バーナム氏はバスを公営化したり、コロナのロックダウンの時には「地方でそんなにやる必要ない、むしろ自営業の人やレストランの人を助けよう」ということで、ロックダウンに反対したりとか、そういうので庶民の人気があるみたいですけれど、中々難しいんじゃないかなという気はしてしまいます。


藤森キャスター:
その難しさの背景かもしれません。イギリスは労働党と保守党の二大政党制ですが、今人気を集めているのが、右派政党の「リフォームUK」で、5月の統一地方選でも躍進しています。


東京大学准教授 斎藤幸平さん:
その影響で、移民の問題などについては、バーナム氏は譲歩して、移民に対して厳しい姿勢を取ることになると思います。


ただ、バーナム氏がそもそもなぜ出てきたかというと、統一地方選で「緑の党」という、環境や移民の問題に対してより左派的な、プログレッシブな政党も人気を伸ばした。その時にバーナム氏は、ちょっと左だけどリフォームUKもあるしと真ん中に寄っていったら、結局中途半端になってしまった。


そういうのは国民に求められていないから、「そんな中途半端だったら、俺らはリフォームUKでいいじゃん」となってしまうと思うので、結局最初から難しい舵取りを強いられて、「中道がやっぱり上手くいくんだ」という考え方だと、労働党はいつまで経っても、右と左のポピュリズムの間で沈んでいってしまうというのが私の見立てです。


小川彩佳キャスター:
ただイギリスは、この10年で首相が7人変わっていて、この先どうなるか、上手くいかないとなると。ずっと漂流し続ける政治の行き着く先には何があるのでしょうか。


東京大学准教授 斎藤幸平さん:
本当はここでバーナム氏が「俺らはリフォームUKとは全然違う」と、左に寄っていって、例えば積極財政をやって、マンチェスターでバスを再公営化したように、医療や学校など色々なものを再公営化して「手厚くやっていくよ、そのために積極財政していくよ」みたいな姿勢を出せば、少し違う色を出せたと思います。


噂されているような新しい閣僚人事の情報を見る限りでは、そういう大胆な姿勢ではいかないようなので、また短命で終わる可能性が高いのではないか、というのが現状での私の見立てです。


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<プロフィール>
斎藤幸平さん
東京大学准教授 ドイツで博士号取得
専門は経済・社会思想近著『人新世の「黙示録」』


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