
事実上の停戦崩壊により、アメリカとイランのホルムズ海峡をめぐる緊張が再び高まっています。そうした混乱は、日本の夏の風物詩にまで影響を及ぼし始めています。
【写真で見る】ホルムズ海峡再封鎖“ フジャイラ港”などから原油「代替調達」
夏祭りにも“ホルムズ危機” ナフサ不足で屋台や神輿にも影響が…
各地で始まった「夏祭り」。そこでいま、静かな悲鳴が上がっています。
原因はナフサ不足と物価高。屋台の餃子店ではプラスチックのパックに加え、ガス代や材料費なども上昇し春に比べて餃子1パックあたりのコストは30円以上増加しているといいます。
――どこでコストを抑えている?
店主
「人件費。家族でやって、平日はバイトを雇わない。まだ人で削れる分はいいけど『その次どうするの?』って聞かれたら『どうしよう?』って」
異変は神輿の製作工房にも広がっていました。
神輿の製作工房にあった組み立て前の担ぎ棒。本来なら、この棒も黒く輝くはずですが、ナフサ不足で塗料の溶剤が手に入りにくく、白木のままです。
神輿提灯工房茅ヶ崎神輿康 中里康則 代表
「(神輿)全部が白木の棒ならいいけど、親棒(中心の担ぎ棒)が塗ってあるから、これが塗ってないわけにはいかない」
普段使っていない溶剤を取り寄せてでも、なんとか間に合わせようとしています。
神輿提灯工房茅ヶ崎神輿康 中里康則 代表
「(神輿は)無病息災とか、世界平和を祈念しながら回る。なんとか世界情勢を、早く普通に戻してもらえるのが一番ですね」
“停戦崩壊” トランプ氏「20%通行料」発言もすぐ撤回
気になるのは、ホルムズ海峡の状況です。ところが、続くかに見えた停戦が崩壊しています。
トランプ大統領(13日)
「我々は膨大な弾薬を持っていて、猛烈な攻撃を仕掛けている。攻撃は今後も続く」
ハメネイ師の葬儀中から始まった、アメリカ軍の攻撃。
トランプ大統領(8日)
「20倍返しにしてやった」
停戦中にもかかわらず、イランがホルムズ海峡で民間船舶を攻撃したことに激怒したトランプ大統領。以降、11日から8日連続で攻撃を続け、イランに圧力をかけ続けていますが、イラン側も報復攻撃を激化。徹底抗戦を崩していません。
そうした中、トランプ大統領は「海峡の守護者になる」として、安全な航行を確保することへの”見返り”に、20%の通航料を各国に請求すると発表。
トランプ大統領(13日)
「(ホルムズ海峡を)守ることに対する報酬をもらうつもりだ。大金だが、兵士を危険にさらしてやっているのだから(各国から)見返りを受けたいだけだ」
不評を買って1日で撤回したものの、こうした混乱で、原油価格は再び高騰しています。
船舶の動向分析から見えたホルムズ海峡のいま「現実的に通れない」
遠のくホルムズ海峡の正常化。船舶の動きを分析する、東京大学大学院の渡邉教授はこのように話します。
東京大学大学院 渡邉英徳 教授
「(米・イラン)双方が封鎖すると言い始めたら、ほとんど通ってない状況に戻ってしまった」
イラン攻撃前のホルムズ海峡には、たくさんの船が海峡を通って出入りしています。17日には海峡が再封鎖され、ほとんど船が見られません。
そして、日本向けの船舶に関してホルムズ海峡の出口にある、オマーン湾に面した、フジャイラ港の動きが目立ったといいます。フジャイラ港は、ホルムズ海峡を通過せずに原油を送り出すことができる、数少ない拠点です。
東京大学大学院 渡邉英徳 教授
「非常に活発に(フジャイラ港が)機能していることがわかる。現実的にホルムズ海峡を通ることはできない、日本の船は。このフジャイラ港に頼らざるを得ない」
“脱ホルムズ”の動き加速 原油「代替調達」で今後のエネルギー問題は?
停戦中は、週に3隻ほどがフジャイラ港から日本向けに航行。再封鎖後も、1隻は航行しているといいますが、それで十分とはいえないのが現実です。日本は今、“脱ホルムズ”とも言える、原油調達を模索しています。
17日、三重県四日市市にある製油所に、中東情勢の悪化後、初めて「メキシコ産原油」を積んだタンカーが到着。メキシコを出発し、アフリカの喜望峰を経て、70日以上かけて運ばれました。
政府は、こうした原油の「代替調達」を進め、7月の輸入量は、2025年と同じ量を確保できる見込みだと自信をみせています。しかし、その代替調達先の大半は「アメリカ産」。中東産に比べ、1割ほど高い上に、精製過程でもコスト増が見込まれるのです。
脱ホルムズの動きで、日本のエネルギー事情は好転するのでしょうか。
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