ホルムズ海峡を通過したことが明らかになった原油タンカー「出光丸」。事実上の海峡封鎖以降、日本企業の船が海峡を通過するのは、初となります。なぜ、この状況で通過できたのか…水面下での交渉と交錯する各国の思惑を読み解きます。
ホルムズ海峡 トランプ氏は「長期的な封鎖に向けた準備を指示」報道も
朝焼けに空が染まる中、アメリカ軍のヘリが向かったのは1隻の貨物船です。イランへの航行を試みたとして、兵士が捜索のため船へ乗り込みました。
アメリカとイランの激しい駆け引きの中、事実上の封鎖状態が続くホルムズ海峡。
トランプ大統領は、側近に長期的な封鎖に向けた準備を指示したとも報じられています。
厳戒下のホルムズ海峡 「出光丸」が“通航料なし”で通過
船舶情報サイトを見ると、ホルムズ海峡からアラビア海に向かう赤い点がありました。出光興産の原油タンカー「出光丸」の位置を表すものです。
この船は、ペルシャ湾内に足止めされた日本関連の42隻のうちの1隻とみられていて、目的地は「名古屋」と示されています。
イラン国営メディア(28日)
「出光丸は200万バレルの原油を積んでいて、海峡通過はイランの許可を得たもの」
関係者によりますと、日本から乗船していた3人の乗組員の健康状態は問題がないということです。
アメリカとイスラエルによるイランへの攻撃開始から2か月。日本向けタンカーがホルムズ海峡を通過したのは初めてとみられます。
高市総理もSNSに「日本関係船舶1隻がペルシャ湾外へ退避した」としたうえで、「あらゆる機会を捉えてイランに対して働きかけを行ってきています」と投稿。
日本向けタンカーの通過の裏で、外交努力があったことをアピールしました。
政府関係者によりますと、「日本政府はイラン側に通航料は支払っていない」ということです。
なぜ日本だけが?緊迫の海峡を通過できたワケ
なぜ、厳戒下のホルムズ海峡を通過できたのか。
日本にあるイラン大使館は、突然こんな発信をしました。
駐日イラン大使のSNS
「出光興産が所有する『日章丸』の歴史的な任務は、両国間の長きにわたる友情の証だ」
長らく友好関係にある日本とイラン。そのきっかけが、約70年前に起きた「日章丸事件」です。
当時、イランの原油を独占していたイギリスの会社に、イラン政府が反発。原油を国有化しました。ところが、イギリスは対抗措置としてペルシャ湾を封鎖。
各国はイランからの原油を購入できなくなり、イラン経済は立ち行かなくなりました。
そのとき動いたのが、出光興産のタンカー「日章丸」でした。イギリスの海上封鎖をかいくぐり、イランから原油を運んだのです。
この出来事はイランで語り継がれました。
イラン セアダット駐日大使(2026年3月)
「イラン国民に心強いメッセージを送ってくれた。我々が知る日本は、イランでの評判が非常に高く、人々は感謝を忘れていない。これはイランと日本にとっての財産だ」
韓国でも複数のメディアが報じています。
韓国紙「文化日報」
「日本の船舶とは異なり、韓国の船舶26隻が依然として海峡内に留まり、通過を待機している」
また「イランに特使を派遣したにもかかわらず、成果は得られなかった」などとの見出しで伝え、政府の対応を批判しました。
出光興産は「船の運航状況は、安全上の観点からお答えできない」とコメントしています。
米・イラン再協議はどうなる? 日本船通過 イランの“思惑”とは
藤森祥平キャスター:
イラン国営メディアによると、ホルムズ海峡を通過した出光興産の原油タンカー「出光丸」は、「イランの許可を得ていた」ということですが、思惑は何なのでしょうか。
TBS外信部の豊島歩デスクは、「イランにとってホルムズ海峡の解決策が手詰まりの中、“海峡封鎖はかいくぐれる策がある”とアメリカや世界各国にメッセージをおくる機会となったのではないか」としています。
トラウデン直美さん:
アメリカと同盟国である日本の船が、ホルムズ海峡を通過できたのはなぜなのだろうと、率直に不思議に思います。
アメリカとイランの2回目の直接協議に、影響がないのかということも気になります。
藤森キャスター:
再協議については厳しい状況のようです。
豊島デスクによると、「アメリカはホルムズ問題と核開発問題をワンパッケージとしているが、今回の海峡通過で、イラン側の主張である“先にホルムズ海峡を解決する”という姿勢をアメリカ側に示せたのではないか」ということです。
そして、海峡の通過は今後も続くのかという点については、「海峡通過継続の条件は、戦闘停止状態が続いていること。アメリカとイラン双方にとって外交上の友好国であること。全ては停戦と協議が進展するかどうか」ということです。
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<プロフィール>
トラウデン直美さん
Forbes JAPAN「世界を変える30歳未満」受賞
趣味は乗馬・園芸・旅行
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