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ミャンマー軍事クーデターから5年 市民望まない「見せかけ」の選挙 強まる市民への弾圧…収容施設で激しい拷問・死者も 「極限まで追い詰められている」【news23】

海外
2026-02-14 15:19

ミャンマーで民主派政権が倒された軍事クーデターから5年。市民への弾圧が強まる中、軍主導で行われた初の総選挙を独自に取材しました。


【写真で見る】「もう何日もご飯を炊けていない」最大都市ヤンゴンで食料寄付を受ける住民たち


報道官「国際的な基準は関係ない。我々はミャンマー独自の基準で判断」

記者
「ミャンマー軍の兵士が巡回しています。選挙で警戒を強化しているようです」


2025年12月、JNNが取材したのは、軍事政権下のミャンマーです。5年前の軍事クーデター以降、初めての総選挙が始まろうとしていました。

ただそれは、多くの国民が望んだものではありませんでした。


記者
「ヤンゴン市内には選挙の立候補を載せたポスターがずらっと並んでいますが、街で取材をしていても、市民からは総選挙に対する熱気はあまり感じない状況です」


ミャンマーの市民
「前回の選挙は投票に行きましたが、今回は投票したくないです」


ミャンマーの市民
「投票したいとは思っていないけど、投票しないと何をされるか分かりません」


軍は「自由で公正な選挙」と強調しますが、主要な民主派政党は排除。実態は、軍政が主導する選挙です。


私たちは軍政幹部を取材するため、首都ネピドーに向かいました。


記者
「各国のメディアが集められています。これから軍事施設に入るところです」


兵士
「ここは撮影するな」


総選挙の初日。軍事施設内に設けられた会場で投票する姿を見せたのは、軍のゾー・ミン・トゥン報道官。今回、日本のメディアとしては唯一、JNNの単独取材に応じました。


――民主派政党が排除されていて、自由で公正な選挙とは言えないのではないか。国際社会から「見せかけの選挙」ではないかと批判も出ていますが?


ミャンマー軍事政権 ゾー・ミン・トゥン報道官
「国際社会がこれまで各国の選挙について完全に公正だと断言できた事例はあるのか。私は聞いたことがない。国際的な基準は関係ない。我々はミャンマー独自の基準で判断する」


毎日殴られ、水責めなどの虐待も… 収容施設の劣悪な実態

ミャンマーは5年で、大きく様変わりしました。


アウン・サン・スー・チー氏率いる民主派政党が圧勝した2020年のミャンマー総選挙。軍の統治が長らく続いてきたミャンマーで、民主化は国民の悲願でした。


ところが、軍はこのときの総選挙に「不正があった」と主張。翌年の2月1日にクーデターを強行し、スー・チー政権の幹部らを次々と拘束しました。


軍は、平和的に活動していたデモ隊に容赦なく銃弾を浴びせ、多くの市民が殺害されました。逮捕者は3万人を超えるとされます。


軍に拘束された経験がある、20代のティンさん(仮名)。美容師として働いていましたが、抗議活動に参加したとして逮捕され、収容施設で激しい拷問を受けました。


軍に拘束されたティンさん(仮名)
「食事もろくに与えられず、毎日殴られ、水責めなどの虐待を受けた。兵士は私の頭に銃を突きつけ、『調書にサインしろ。お前を撃ち殺しても構わない。ここで死んでも問題ない』と言った。地獄のような恐怖だった」


一方的に作られた供述調書をもとに、扇動の罪で有罪判決を受けたティンさんは、刑務所に収監され1年半後に釈放されました。


刑務所では、魚を養殖する池の水を飲まされるなど衛生環境は劣悪で、医療処置を受けられず、命を落とす受刑者も少なくなかったといいます。


軍に拘束されたティンさん(仮名)
「軍人には人間としての感情なんて存在しない。罪を犯していない無実の人々が今も数えきれないほど投獄され、刑務所などで拷問が続いている」


「なぜ自分だけが苦しんでいるのか」 広がる“抵抗疲れ”

軍の非道な弾圧に耐えかね、多くの若者たちが武器を取り、武装闘争に身を投じました。各地の少数民族武装組織とも共闘し、全土で内戦状態に。

軍は抵抗勢力の支配地域に空爆攻撃を繰り返し、民間人の犠牲者は、少なくとも7700人にのぼります。


経済の混乱や避難民の急増で、人道危機は深刻化。国連は、ミャンマーで2026年、1200万人以上が飢餓に直面すると警告しました。


最大都市ヤンゴンでは…


記者
「住宅街の一角にはお寺があるんですけれども、その周りに多くの住民が集まっていまして、食料の寄付などを受けています」


このような光景は、各地で見られるようになりました。


食料寄付を受けた住民
「もう何日もご飯を炊けていない。だからこうして助けを求めに来た。こうやって何とか生き延びる方法を探しているんです」


情勢が悪化の一途を辿る中、軍は「民政復帰」を掲げて総選挙を強行しました。自らの支配の正当性を内外に示すためです。


投票は戦闘地域を除いた都市部を中心に行われ、軍とつながりの深い政党が8割の議席を獲得。4月にも新たな政権が発足する見通しです。


軍の拷問を受けたティンさんは、当局に行動を監視されながらも、民主化を求める活動を続けています。


軍に拘束されたティンさん(仮名)
「国際社会を欺き、平和という虚像をつくり出すための総選挙を絶対に認めない。私はこの国で何が起きているのかを世界に知ってもらいたい」


一方、現地で取材していると、人々の抵抗心に疲れも見え始めていました。


クーデター後は、多くの公務員や医療従事者が職場を放棄する抗議運動に参加しましたが、生活が困窮している人も少なくありません。


公立学校の教員だった女性は現在、民主派組織が運営する学校で働いていますが、このままの生活を続けるのは難しいと感じています。


公立学校の元教員
「教師のわずかな収入と菓子売りの仕事でなんとか生計を立てていますが、家族の生活は綱渡りのようで、もう限界に来ているかもしれない」


こうした“抵抗疲れ”は、ジャングルに潜り、命がけで戦う若者たちにも広がっています。


民主派武装勢力のメンバーだったテレサさん(仮名)は、健康問題を理由に隣国のタイに逃れました。彼らの心から民主化の火が消えたわけではありませんが、現実は思うようにいきません。


民主派武装勢力の元メンバー テレサさん(仮名)
「都市部で人々が普通に暮らしているのをみると、『なぜ自分だけが苦しんでいるのか』とため息が出てしまう。健康問題や生活苦で支援が必要になり、闘いから身を引いてしまう人も多い」


軍が実権を握ったまま、形だけの選挙で統治は既成事実化されてしまうのか。ミャンマーをめぐる情勢は、大きな岐路にさしかかっています。


民主派武装勢力の元メンバー テレサさん(仮名)
「本当に苦しい状況です。しかし今、闘いをやめてしまえば、私たちが5年かけて闘ってきたことはすべて無駄になってしまう。国民は今、極限まで追い詰められています」


ミャンマー総選挙には中国やロシアからの支援も?

上村彩子キャスター:
選挙というのは、国民の意思が正しく反映されなければならないのに、形式的なものになっているというわけですね。そして、国民の皆さんも抵抗疲れも深刻だと思いました。


喜入友浩キャスター:
苦しむ国民にまったく目を向けない、そして国際社会の批判も意に介さない。いったい、どこを向いているのだろうと非常に疑問に思いますし、こうした批判もまったく通じない気がします。


上村キャスター:
取材した村橋記者によると、ミャンマー軍は中国やロシアなどから軍事的な支援だけでなく、総選挙についても実質的な支援を受けているということです。


ミャンマーの問題は、このまま世界から忘れ去られ、苦しむ人々が見捨てられてしまうというおそれもあります。国際社会は関与を続け、新政権を注意深く見続ける必要があります。


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