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トランプ大統領 何を仕掛ける? 次の大統領選の年はロサンゼルスオリンピック【報道1930】

海外
2025-03-22 17:01

国際オリンピック委員会IOCの新しい会長に、これまで絶大な権力を持っていたバッハ会長が推していたジンバブエの女性理事が選ばれた。初の女性会長となるだけなく、欧米以外からも初めての会長選出ということで、あらためてバッハ氏の力の強さが浮き彫りになった形だ。そして新会長としての次の夏季五輪はロサンゼルスだ。2028年はまだトランプ政権下だ。それ次期大統領選真っ只中。全世界注目の巨大イベントと大統領選挙…トランプ大統領が何もしないわけがない。3年先だが、既に心配は始まっている…。


【画像でみる】トランプ大統領 何を仕掛ける? 次の大統領選の年はロサンゼルスオリンピック


「五輪はトランプ氏が“スポーツウォッシング”を行うための絶好の機会だ」

去年トランプ氏は、1期目の政権時に自分が熱烈に進めていなければアメリカは五輪開催地に選ばれなかっただろうと、SNSでアピールしている。しかし、これに対してある専門家は言った。


「オリンピックの尊敬・友情・公平・名誉といった価値観は、トランプ大統領の政治のアプローチとは全く相容れない…」


この専門家とは、五輪研究者のボイコフ教授だ。教授はトランプ氏が五輪に積極的なのは政治利用に他ならないと語る。


米・パシフィック大学 ジュールズ・ボイコフ教授
五輪はトランプ氏が“スポーツウォッシング”を行うための絶好の機会だ。(中略)トランプ氏はスポーツを利用して世界的な舞台で自身の正当性を主張するだけでなく、ホームレスの問題や経済危機などアメリカの多くの問題から注意をそらそうとするだろう…」


“スポーツウォッシング”とはスポーツイベントを国や政治家のイメージ向上や問題隠蔽のために利用すること。つまり、スポーツで悪い印象を洗い流すことだ。


同時にトランプ氏の威を借り大ナタを振り続けるイーロン・マスク氏も五輪を巧みに利用するだろうとボイコフ教授は言う。その五輪は巨額さなどからスポンサーになる企業が減っているのが逆に彼にとってチャンスだというのだ。


米・パシフィック大学 ジュールズ・ボイコフ教授
「イーロン・マスク氏のような億万長者が英雄のように登場し何百万ドルものスポンサーシップや資金をイベントに投入し、自分自身を救世主のような立場に置こうとする可能性もある…」


こうした五輪利用とは別に、競技や開催自体への様々な弊害も予想されるという。例えばトランプ氏は先月、女子競技界からトランスジェンダーを排除する大統領令に証明した。


さらにロス五輪でトランスジェンダー選手の入国ビザを発給しないと宣言した。その他、トランプ氏が就任以来連発する一方的な言動や方針が世界からそっぽを向かれる可能性も教授は指摘する。


米・パシフィック大学 ジュールズ・ボイコフ教授
「トランプ大統領に(不満の)メッセージを送る手段として五輪のボイコットが復活しても私は驚かない。トランプ氏は世界秩序におけるパワーバランスを覆そうとしている」


「ラシュモアの山に(5人目として)自分の顔が(巨大)彫刻として残るような」

2028年の五輪はロサンゼルス開催として44年ぶりとなる。アフガニスタン侵攻を理由に欧米がモスクワ五輪をボイコットした報復で1984年のこの大会はソ連が参加しなかった。


スポーツジャーナリストの二宮清純氏は言う…。


スポーツジャーナリスト 二宮清純 氏
「トランプさんがまず言いたいことは、今回はロスに世界中が集まった。右に習近平氏、左にプーチン氏を従えて世界のキングは俺だっていう…。それを見せたいでしょうね…ウクライナ侵攻が決着していなくてもロシアの参加を認めるかもしれないし(中略)トランプさんはウルトラCを使って3選を目指してるんじゃないかと…」


一方、アメリカ政治が専門で米保守系シンクタンクの元上級研究員、横江公美教授の見方はこうだ。


東洋大学 横江公美 教授
「トランプ大統領は今までの大統領の中でも一番スポーツが好きなんです。格闘技もスーパーボウルも見に行きますし…。ですから五輪は偉大なる大統領として残るために使う。それこそラシュモアの山に(5人目として)自分の顔が(巨大)彫刻として残るようなイメージを作りたいんだと…。もちろん3選も考えているだろうし(無理なら)自分の子飼いの大統領が誕生するようにする…。そうじゃないと逮捕されちゃうかも…。だから五輪を是が非でもトランプ劇場にしたい」


「もしトランプさんの意向をIOCが飲むとしたら、これは魂を売ることになります」

トランプ氏は、トランスジェンダーを排除するなど意に沿わない対象を除外して五輪を思い通りにするかもしれない。


しかし、五輪は開催の主体も費用を工面するのも開催地側だが、権限はIOCの方が握っている。開催地の意思というよりもIOCの意思の方が尊重されるのがこれまでだったという。それで東京五輪も苦労した…と元JOC理事の山口香氏は語る。ところがその山口氏も2028年はどうなるか読めないという。


筑波大学教授 山口香 教授
「パワーバランスが大きく崩れる可能性がありますよね。(中略)いいも悪いも今までIOCがグリッピングしてやってきた。色々な国の利益とか、関係を呑み込んで五輪をやってきたが、もしトランプさんの意向をIOCが飲むとしたら、これは魂を売ることになります。そうなると五輪を何のためにやるのかっていう議論にまでなる…。理念を捨てたら五輪の価値がなくなる」


五輪はIOCが実権を掌握していると言われる一方で、莫大な放映権をはじめとしてアメリカの意向を無視しては運営できないということも現実だ。それでも今までもアメリカはそれほどの無茶は言わなかった。だが、今度はトランプ氏だ。例えば戦争が続いている限りロシアを国として参加させないとしてきたが、トランプ氏が「プーチン氏を呼ぶぞ」と迫ったらIOCは「ノー」と背筋を伸ばせるのか?


筑波大学教授 山口香 教授
「伸ばせないと思います…。だから苦しい。IOCは今から…、言い方あれですけど、ビビってる…」


(BS-TBS『報道1930』3月18日放送より)


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情報提供元:TBS NEWS DIG Powered by JNN

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