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「死ぬまで前進しろ」出稼ぎのはずがだまされ、ロシア軍に参加させられたネパール人 ウクライナ侵攻から3年…ロシア軍の人身売買の実態は【news23】

海外
2025-03-06 11:51

新たな視点と独自取材でお伝えする「eyes23」。軍事支援を一時停止し、ウクライナのゼレンスキー大統領に圧力をかけ続けるトランプ大統領。こうしたことで有利な状況となっているのが、ロシアのプーチン大統領です。そのロシア軍は戦闘を続けるため、出稼ぎのネパール人をだまして戦地に送っていることがわかりました。


【写真で見る】ウクライナ国境近くでの訓練風景


外国人を騙してウクライナ前線に投入 ロシア軍“人身売買”

2月にJNNが入手した、ロシア西部クルスク州の映像には、ウクライナ軍が敵の兵士の毛髪や唾液を採取している様子が映っています。DNAを検査して出身地を割り出すためだといいます。


3年に渡るロシアとウクライナの戦闘。ロシア軍の死傷者は50万人規模とも言われ、その兵力を補うために、外国人を“ロシア兵”として動員しているのです。ウクライナ側は、ロシアが北朝鮮兵の戦闘参加を隠しているため、それを暴くためだとしています。


また、北朝鮮以外にもアジアやアフリカ、中東など世界各地から外国人が動員されているとみられています。


そのうち、特に多いのがネパール人です。これまでに約1万人が動員されているとの報道もあります。


記者
「カトマンズのパスポートセンターには、若者を中心にたくさんの人で行列ができています。目立った成長産業のないネパールでは、300万人近くの出稼ぎ労働者が海外に渡っていて、ロシア軍に連れていかれる若者が多い背景にはこうした事情があるとみられます」


ネパール国家警察の幹部は、この現状について…


ネパール国家警察 オム・バハドウール・ラナ氏
「就職できない若者たちがあらゆる手口で勧誘され、ロシア軍に徴兵されています。これはれっきとした人身売買事件です」


外国人兵を盾に…「死ぬまで前進しろ」

騙されてロシア軍に参加させられた被害者の多くは、貧しい農村部の出身者です。私たちは、首都カトマンズから120キロ離れた、山あいの集落を訪ねました。


去年8月、ロシア軍から脱走したダワー・タマンさん(22)の足には、ウクライナ軍による砲撃で被弾した傷跡が残っています。


ロシア軍に参加させられた ダワー・タマンさん
「戦場には無数の死体が散らばっていました。希望など何もありません。私はただ運よく生き残っただけです」


タマンさんはそもそも友人とフランスへ出稼ぎに行く予定でした。ところが2023年10月、ネパールの斡旋業者からロシアを経由するよう指示されたといいます。ロシアへ入国すると、迎えにきたロシア軍関係者から、いきなり契約を迫られたといいます。


JNNが入手したロシア軍の契約書によると、陸軍兵舎でロシア兵の補助を担う業務で、月給は3000ドル(約45万円)、ネパールの平均月収の10倍以上の額が提示されています。


タマンさんたちは、斡旋業者への借金もあったため、契約したといいます。


入隊したばかりのタマンさんと友人。このあとウクライナの国境近くで約2週間、ほかのネパール人たちと射撃訓練などを受けました。その後、歩兵部隊として、激戦地のドネツク州に送り込まれたといいます。わずかな装備と食料で、寒さと飢えをしのぐ劣悪な環境でした。


ダワー・タマンさん
「私たちは最前線にいたのですが、後方にいるロシア兵は、仲間である私たちを撃ち殺すことも気にしないのです。生き残るために、死体の山に隠れることもありました」


さらに、ロシア兵がネパール人を盾にすることも…


ダワー・タマンさん
「前線から下がろうとすると、ロシア兵は私たちに銃を向け、『なぜ戻ってくるんだ』と怒鳴りつけました。死ぬまで前進しろと命令されるのです。私たちが虫けらのように殺されても気にもとめず、さらに多くの外国人を送り続けるだけでした」


戦闘を続ける中、タマンさんは負傷。その後、治療を受けていた病院から逃走したといいます。そして、モスクワのネパール大使館に駆け込み、去年8月、やっとの思いで帰国しました。


外国人の命を犠牲に戦闘続けるロシア

私たちが取材したこの日、タマンさんはロシアに入国させられたきっかけとなった斡旋業者の事務所に向かいました。


だまし取られた代金を取り戻すため、警察などとともに事務所内を探すとタマンさんからの入金を記録した帳簿が見つかりました。事務所にいた若い男性を問い詰めると…


事務所にいた男性
「私は何も知りません」


タマンさんの協力者
「これは人身売買として扱われる。被害者がここにいるからな」


代表者に電話をかけさせましたが、音信不通。地方に逃げた可能性が高いといいます。


騙されて戦地の最前線で戦わされる人身売買の被害者。タマンさんは帰国することができましたが、一緒にロシア軍に雇われた友人、ディネシュ・ライさんは亡くなったとみられています。


今も息子の帰国を待ち続ける両親は、息子からの最後の電話が忘れられないと話します。


ロシア軍に参加させられた ライさんの母親
「『僕は1年半後には戻ってくるから、この番号には電話したりメッセージを送ったりしないでね』と言っていました。それ以来、連絡は途絶えました。最後に家を出た日、息子は急いでいたからちゃんとご飯を食べさせることもできなかった」


ロシアのウクライナ侵攻は、それぞれの国の兵士だけでなく、多くの外国人の命も奪っているのです。


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情報提供元:TBS NEWS DIG Powered by JNN

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