
年齢問わず発症する可能性がある「脳梗塞」。
その前兆にはどんな症状が現れるのでしょうか。
脳神経外科専門医の前田達浩氏に聞きました。
【写真を見る】40代から増加「脳梗塞」の初期症状は?「倒れてからじゃ遅い」早期発見のカギ「BE FAST」とは【ひるおび】
「Time is Brain」脳梗塞は早期発見がカギ
脳梗塞は、発症してからの時間がとても大事です。
24時間以内の初期対応が重要で、早ければ早いほど脳へのダメージや、後遺症のリスクを減らすことができるといいます。
前田病院 脳神経外科診療部長 前田達浩医師:
脳梗塞というのは、基本的に血液が流れているのが途絶えて、脳に血、つまり栄養分が行かないわけですから、当然時間とともに少しずつ脳細胞が死んでいくわけです。
時間が経てば経つほど死ぬ細胞が多くなる=症状は重くなるので発見は早いほどいい。
我々の業界では「Time is Brain」という言葉を脳梗塞では使います。
脳の血管が“詰まる” 脳梗塞
「脳卒中(のうそっちゅう)」とは、脳の血管が詰まったり破れたりして血流が途絶え、脳細胞が障害される病気の総称です。
脳卒中の中に「脳梗塞」や「脳出血」「くも膜下出血」などがあります。
【脳梗塞】
・脳の血管が詰まって血流が途絶える
・酸素や栄養が届かずに脳細胞が壊死する
【脳出血】
・脳の血管が破れて出血する
【くも膜下出血】
・主に動脈瘤の破裂によるもの
・脳とくも膜の間のくも膜下腔という空間に出血する
さらに、脳梗塞には3つのタイプがあります。
◆ラクナ梗塞
動脈硬化などにより脳の細い血管(0.9mm以下)が詰まる
◆アテローム血栓性脳梗塞
太い血管が、動脈硬化や血液中のコレステロールが溜まることで狭くなり、そこに血の塊ができて詰まる
◆心原性脳塞栓症
心房細動などの心臓病により、心臓で作られた血の塊が流れてきて詰まる
命にかかわることが多い
前田医師によると、脳梗塞は比較的「睡眠時」に起こりやすいそうです。
40代から増加 原因は?
脳梗塞の発症年齢は、40代から徐々に増加していき、60~65歳以上が約8割以上を占めます。
主なリスク要因は高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、肥満、不整脈などです。
原因は食生活・ストレス・運動不足・睡眠不足など多岐にわたり、一般的には6:4で男性の方が多く発症します。
女性は40代後半から50代にかけて増えますが、これは女性ホルモンが急激に減ることでリスクが高まるとみられています。
前田達浩医師:
エストロゲンホルモンという女性ホルモンが、40代後半~50歳ぐらいで急激に減るんですが、血圧を安定させる大事なホルモンなんです。
血圧がビュンと上がってしまって、相対的に男性よりもこの年代に増えると言われています。
それから最近、40代~50代の中年の女性は、長期間のストレスに見舞われた時に脳梗塞になりやすいという報告も散見されています。
恵俊彰:
やっぱり生活習慣は大きいですか?
前田達浩医師:
そうですね。
50代ぐらいの若い方々、働き盛りの方々に脳梗塞が増えている要因の中には、ハイカロリーな食生活や、不規則な生活リズム、有酸素運動の不足があります。
また、ストレスの塊の中で過ごしていらっしゃる年齢ですので、それもやはり卒中の因子になるということだと思います。
脳梗塞の初期症状
実際に、どのような症状が表れるのでしょうか?
脳梗塞を発症した人に話を聞きました。
◆「まっすぐ歩けない」40代女性の場合
発症は2年前。自分の最寄りの駅のホームに降りた際に、左側にどんどん引き寄せられるような歩き方をしている自分に気づいたといいます。
帰宅後も違和感は続き、翌日の仕事中、ひどい倦怠感と頭痛で病院を受診。検査を受けたところ「小脳梗塞」と診断され、そのまま入院することになりました。
この女性は、血圧も高くなく、健康診断でも問題を指摘されたことはありませんでした。
大きな後遺症はなく、再発防止のため服薬を続けています。
◆「急に左半身が止まってバッタリ倒れた」58歳で発症した男性の場合
健康診断では問題ありませんでしたが、タバコやお酒など、生活は乱れていたといいます。
「2年前に、急に左半身が止まって、バッタリ倒れてそのまま救急車で運ばれました。
今まで感じたことのない頭痛で、『頭が痛いな』と思ったら(左半身が)動かなくなってきて、ちょうど周りに人がいて(救急車を)呼んでもらった感じです。」
発症後、たばこ・お酒はやめ、仕事は継続しています。
2年経った今も、▼嚥下障害(食べ物をうまく飲み込めない)▼急に言葉が出ずしゃべりにくいなどの後遺症に悩まされているそうです。
「(発見が)もうちょっと早かったら何もなかったみたいだけど。だから本当に倒れてからじゃ遅い。おかしくなったらすぐ病院に行ったほうがいい。」
早期発見のカギは「BE FAST」
【B:バランス(balance)】➡ふらつきや姿勢の傾き
【E:アイ(eye)】➡視野の狭窄
【F:フェイス(face)】➡顔のゆがみなど顔面麻痺
【A:アーム(Arm)】➡手や腕などにしびれ
【S:スピーチ(speech)】➡ろれつが回らなくなる
【T:タイム(time)】➡これらの兆候があれば迷わず病院へ
前田病院 脳神経外科診療部長 前田達浩医師:
このサインをしっかり覚えておくことが大事です。
アイ(視野の狭窄)は、例えばテレビやスマホを見ていて、いきなり真っ黒にスポンと抜けてしまうんです。
目がおかしいんだろうとかスマホ見すぎてるんだろうと思ってしまうんですが、2~3分続く場合は脳梗塞の前触れや、梗塞を起こしている可能性があります。
コメンテーター 中村仁美:
これを知ってるか知らないかはすごく大きいと思います。
また、このサインで仕事を休んで病院に行った時に、もし空振ったとしても、周りが「よかったね安心したね」って言ってくれることですよね。
そこで「大丈夫だったじゃん、何で行ったの?」って言われちゃうと、病院に行きづらくなっちゃうので。
恵俊彰:
サインに「しびれ」がありますが、例えば僕は帯状疱疹を発症したことがあるんですけど、その時にもやっぱりしびれがありましたから、これをどう見るかですよね。
弁護士 八代英輝:
僕は自分が中程度の熱中症になった時の症状と似ているなと思ったので、「熱中症かな」と思って見過ごさないように気をつけないといけないなと思いました。
恵俊彰:
気になったらもう病院に行った方がいいですね。
前田達浩医師:
「大丈夫」とか「様子を見よう」が一番危ないです。
病院に行って何も無かったらホッとして帰ればいいんです。
逆のことが起こると人生が変わることがあるので、サインがあれば、やはり病院に来ていただくことが大事だと思いますね。
(ひるおび 2026年9月1日放送より)
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<プロフィール>
前田達浩氏
医学博士 脳神経外科専門医
前田病院診療部長
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