連日、熱戦が繰り広げられている夏の甲子園。その地方大会に部員全員が軽度の知的障害を抱える特別支援学校が挑みました。番組では3年前から、この野球部を取り上げてきましたが、今年は仲間を支え続けた3年生エースの「最後の夏」を追いました。
【写真を見る】「野球やってよかった」特別支援学校野球部ナインが奮闘
初出場から2年 白球が育む心の成長 特別支援学校“3年目”の夏
喜入友浩キャスター
「2年ぶりにこのグランドにやってきました。プレイを見てみると、別のチームのようですね」
青鳥特別支援学校野球部。部員たちは皆、軽度の知的障害があります。
今でこそ軽快な動きを見せていますが、大会に初出場した2年前は、野球未経験者ばかりでした。
指導者は選手が目で見て理解できるよう、身振り手振りを交えて指導を続け、選手もそれに応えるようにメキメキと上達。ここで野球をするために、この学校に入学する生徒も増えました。
仲間と一緒に練習していく中で、技術以外の成長も見られるようになりました。
泉田武志くん(3年)
「あまりベースが遠すぎると、打ちにくくなって難しくなってしまうので」
久保田浩司 監督
「子どもたちも学年が上がるにつれて、岩本とか後輩たちに教えてる姿も見られる。頼もしく、こちらも見ることが今できる」
チームの大黒柱、3年生の岩本大志くん。この3年間で大きく成長を遂げた1人です。
喜入キャスター
「お久しぶりです。だいぶ体つき変わりましたね。足のあたりがしっかりしてる」
岩本大志くん(3年)
「筋肉が…」
喜入キャスター
「カチカチだ」
番組が初めて岩本くんに出会ったのは1年生のとき。
当時から書き続けた野球ノートは3冊に増えていました。
喜入キャスター
「(当時と比べ)何が違いますか」
岩本大志くん(3年)
「文字が違います。(2年前は)汚くて。1年生はヒットを打つという目標で、2年生は皆で点を取るのが目標だった」
喜入キャスター
「この夏の目標は?」
岩本大志くん(3年)
「1勝することです」
“憧れの先輩”追いかけた3年間
個人の目標が、やがてチームの目標に。練習にも熱が入ります。
チームの仲間を想う大切さを教えてくれたのは、野球部の先輩でした。
岩本大志くん(1年生当時)
「白子先輩と同じ中学校で、帰り道も一緒に帰ってくれたり、良い先輩だなって。僕もああいう風になりたい」
2年前にキャプテンを務めていた白子悠樹さんです。
白子先輩のように、今度は岩本くんがチームを引っ張ります。
千葉龍華くん(1年)
「引退したら…」
岩本大志くん(3年)
「寂しい。俺らだってあと1か月しかできない。3年間ってあっという間だから」
一瞬で過ぎ去る高校生活。監督が大切にしている思いがあります。
久保田浩司 監督
「周りの人に対して優しく接すること。気遣いや気持ちの優しさを常に持ち続け、野球で身につけた力を、これから長い社会人生活で発揮してくれれば十分」
その思いはしっかり受け継がれていました。
卒業後も思い出す言葉「お前ならできる」仕事の励みに
卒業後、都内の飲食店で働く白子さん。スムーズに仕事をこなしていきます。
白子悠樹さん(19)
「(仕事は)洗い場をやったり、ホールで接客したりしてます」
──仕事で楽しいことは?
「やっぱり餃子を作るところですね。昔から料理を作るのが好きで、料理系の仕事に就きたいなって昔から思ってた」
この仕事を始めて1年あまり、忙しさに追われ、くじけそうになるときに“思い出す言葉”があります。
白子悠樹さん(19)
「監督に最後の打席の前に『お前ならできる』と言われた。(今も)忙しい時に焦るときに、言葉を思い出して焦らずにやってます」
──青鳥の野球部はどんな存在?
「自分を変えてくれて、人と話せるようにしてくれた存在。人と接することが増えて、自分から気持ちを伝えられるようになった」
悲願の1勝へ 青い鳥たちの挑戦
喜入キャスター
「今年の試合の楽しみは」
白子悠樹さん(19)
「去年は点数取れたので、今年は1勝ですかね」
岩本大志くんの母
「とうとう来ちゃったという感じで、彼が今まで頑張ってきたことが今日全部出せるといいなと思っています」
岩本くんは一番ショートで出場。先発は2年生の上野空虎くん。
1回2回をノーエラーで切り抜け、1失点に抑えます。しかし、試合中盤に連打を浴び、大量失点。この窮地にベンチが動きます。
岩本くん自らマウンドへ上がると、2者連続三振を奪い、相手打線をねじ伏せます。
最後の夏、0ー20と勝利には届きませんでした。
「青鳥での野球を人生の支えに」
──試合終わって今は
岩本大志くん(3年)
「悔しいです。やっぱり自分のせいで負けてしまったというのもある。悔いのないようにやり切りました。高校3年間野球やってよかったなと本当に思って。久保田先生に1勝させたかったんですけど、周りがいたからこそ、最後までやり切ることができました」
久保田浩司 監督
「3年生最後の大会お疲れ様でした。野球やりながらいろんなことを勉強して、上手くいったこともあったし、上手くいかないこともあったと思うけど、この青鳥で野球やったことを人生の支えにして、これからも卒業してからも仕事を含めてしっかり頑張ってください」
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