
2万人参加のチャットグループも 秘匿性高いアプリで闇バイトの情報飛び交う
5月、私たちは闇バイトの実態をよく知る人物に接触しました。
【写真を見る】“生々しいやり取り” 「殺しの依頼」接触してみると…
Aさんは、闇バイトを募集する情報がSNSに流れるのを10年近く監視しています。
“闇バイト”の実態をよく知るAさん
「テレグラムのチャンネルに載ってるやつを情報提供したり」
闇バイトの情報が飛び交っているのは、「テレグラム」や「シグナル」といった秘匿性の高いアプリ。その中に闇バイトの案件を呼びかけるチャットグループがいくつも存在するのです。
グループ名は「詐欺師賞金稼ぎ」など様々で、中には2万人以上が入っているグループもあるといいます。
あるチャットグループを見せてもらうと、「国内掛子案件。全国どこにいてもできるお仕事です」と書かれていました。
Aさんは、こうしたチャットグループに応募者を装って入り、得た情報を警察に提供しています。
Aさんのもとに送られてきたインスタグラムのダイレクトメッセージには、海外の出稼ぎ募集で、働く場所はマレーシア、月給は52万円+歩合制などと書かれています。
Aさんは、送り主に電話をかけてみました。
「三食付きで捕まらない」カンボジアからの甘い誘い
Aさん
「もしもし」
ジェイソンを名乗る男
「もしもし聞こえますか」
ジェイソンを名乗る男が応答。働く場所はマレーシアではなく...
ジェイソン
「カンボジアです、こちらは。基本給は4000ドルで大体60万円前後」
Aさん
「具体的に何をするのか教えていただけないですか」
ジェイソン
「簡単に言えば電話詐欺です。カンボジアに渡航していただいて、銀行員とか警察とかなりすまし。マニュアルもあるので先輩たちが教えてくれる。お金持ちのリストもあるので」
日本へ詐欺の電話をかける“ニセ警察詐欺”。ジェイソンはさらに動画を見せてきました。
その動画に映っていたのは、特殊詐欺の拠点とみられる部屋。いくつかにわかれた部屋にそれぞれベッドが置かれていて、奥には洗面台、トイレや洗濯機も。
ジェイソン
「普通の寮です。食堂もあって三食付きです。(近くに)イオンもあるので買い物も便利です」
15人ほどの日本人が、ここで生活しながら詐欺電話のかけ子をしているといいます。
Aさん
「どのくらいの期間行く?半年か1年?」
ジェイソン
「半年です。(その後は)ご自身の判断で続けるか、日本に帰るかどっちか」
Aさん
「カンボジアで最近日本人が捕まっているみたいですが、大丈夫?」
ジェイソン
「大丈夫です。それはポイぺトですね。ここはプノンペンなので問題ないです」
Aさん
「捕まらない対策はしてる?」
ジェイソン
「(対策)してます。警察にかなりお金払ってます。売り上げの20%くらい払ってます」
「三食付きで捕まることはない」。こうした甘い言葉に誘われて闇バイトに手を染めていくのです。
しかし、現地で詐欺グループに入ると暴力で支配されることもあり、抜け出すことは困難です。
「ジジイを×してほしい」殺人依頼も 溢れる“標的情報”
Aさんがチャット上で見つけたのは、ある強盗に関する“標的情報”。
Aさん
「江東区で強盗するという話が載ってたんですよ、事前に。江東区の案件、3月13日の15時50分に載ってる」
東京・江東区のある住宅について、昼と夜でどんな人がいるのかや、現金やブランド品があるという“標的情報”が載っているのを見つけたのです。
この情報をAさんとともに闇バイトを調べている仲間が警視庁に通報。投稿の1週間後に実際に事件が発生し、強盗に入ろうとした男らが逮捕されました。
闇バイトのチャット上には他にも、犯罪を起こすための“標的情報”があふれています。
2026年1月に投稿された“標的情報”には、とある地名と300万円とだけ書かれています。Aさんが接触するとメッセージが送られてきました。
「ジジイを×してほしいといった内容です」
「普通の人です」
「ジジイを×してほしい」とは何なのか、詳細を電話で聞くことに。
ドKUROクン
「普通にちゃんと死んでほしい、亡くなってほしいっていう依頼です」
「殺しの目的は気になりますよね。資産がらみとか土地の話でビジネス的な部分でっていう話」
「僕たちは紹介する側なのでちゃんとやってもらって、事が終わってお金もらえたらそれで僕らは良いんですけど」
Aさん
「本人が外に出てこなかったらどうにもならないじゃないですか」
ドKUROクン
「本人がいて強行突破して殺してくれてもいいけど、死んだことが確認できれば良いという話なので、ニュースにでもなれば一番話は早い」
Aさん
「お金はいつどうやって渡す?」
ドKUROクン
「僕、足つかない口座は何個かある。そこから振り込みしたり」
Aさん
「この人の情報はほかに何かないんですか?」
ドKUROクン
「住所と写真と名前以外何が必要ですかね、逆に。反社ではないというのは確実、カタギの人です」
しかし、次第にAさんが依頼を受ける気がないことに勘づくと…
ドKUROクン
「お金欲しいんだったらさっさと殺してから言えよ」
この後、Aさんは警察に情報を提供したといいます。
殺し屋「倒れた写真撮らせて」 お金目当てで若者も
JNNは標的となった男性のもとを訪れました。
経緯を説明すると、男性は自らへの殺人依頼があったことを既に知っていました。
標的となった男性
「警察署からあなたを殺してくれという依頼がネット上で出回っていると。注意してくださいという内容でした。同居の家族だとかいろいろ心配です」
男性に心当たりを聞くと、過去にある会社の経営をめぐってトラブルになったことがあったということです。
実は警察から連絡があったのは、今回の殺人依頼よりも前のことだといいます。この男性、以前にも殺人の標的になったことがあったのです。
標的となった男性
「『○○さんを殺してくれと頼まれた』と言って、殺し屋さんって若いあんちゃんでした」
「(ご自宅に来た?)直接来まして」
男性を殺害することを依頼された“殺し屋”が、家まで来たというのです。その際、その“殺し屋”はこんな要求をしてきたといいます。
標的となった男性
「『手付金150万円(依頼主から)もらって、チェキで(標的が)倒れてる写真撮ったら残りもやるって言われた』と」
「『チェキで写真撮らせてくれない?』と言われて」
「(倒れた演技をしてもらって)(撮れば)残金もらえるからって」
この後、男性は“殺し屋”を説得し、警察署まで連れて行ったということです。その後、男性は自宅に防犯カメラを設置し、毎週のように警察と連絡を取り合っているといいます。
出回る「標的情報」で何度も被害に
同じ被害者が闇バイトとみられる犯人から何度も狙われるケースが、今年に入って相次いでいます。
Aさんは標的情報を流す“案件屋”のような存在がいて、多額のお金があるといった案件には、複数の匿名流動型犯罪グループ「トクリュウ」が群がるのではないかと指摘します。
Aさん
「一人の人がどこかから流れてきた情報を複数のグループに分けて流してる。大勢の金持ちの情報持ってるわけではなく、少ししか持ってないから、その人から流れてる情報を他の人が分け合ってるみたいな感じ」
警察もこうした標的情報を入手して、強盗に入る前に逮捕する「強盗予備」容疑での摘発に力を入れていますが、闇バイトを防ぐのは容易ではありません。
彼らをつなぐのは「スマホ」だけ “構造が変わった”トクリュウ事件
藤森祥平キャスター:
狙われた標的のもとへ犯行グループが直接行くということや、そのやり取りが分かりました。
捜査関係者によると、これまではリーダー格と指示役はある程度の人間関係があったそうです。ただ、最近は具体的に情報を持ってくる案件屋や指示役、リクルーターや実行役はそれぞれ関係が薄くなり、スマートフォン一つの関係になっているということです。
小川彩佳キャスター:
ますます捕捉できなくなってきます。
トラウデン直美さん:
それだけ“巨大ビジネス”になってしまっているということだと思います。その先の人生を棒に振ることになるので、闇バイトに軽い気持ちで手を出すのは本当に気をつけてほしいなと思います。
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<プロフィール>
トラウデン直美
SDGsなどの社会課題に関心
特技は乗馬 初級馬術指導者の資格も
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