福島の磐越道で高校生が死亡したマイクロバスの事故。逮捕された運転手の男の「事故歴」が明らかになりました。
今月6日、新潟・北越高校の男子ソフトテニス部の生徒を乗せたマイクロバスがガードレールなどに衝突し、3年生の稲垣尋斗さん(17)が死亡、他の部員ら20人が負傷した事故。
これは、当日朝のマイクロバスとみられる映像。前の車と極端に距離をあけて止まるなど、不自然な動きをしているようにも見えます。時間は午前4時40分ごろ。事故を起こした若山哲夫容疑者(68)が運転し、北越高校に生徒を迎えに行く途中の様子だとみられます。
ここから事故が起きるまでおよそ3時間。この間にも“危ない運転”があったと男子ソフトテニス部の寺尾宏治顧問が明かしました。
北越高校・男子ソフトテニス部 寺尾宏治顧問
「事故を起こす前もトンネルにこすっていただとか、休憩した時に車の片側がぶつかったり、こすった跡があったのを後から聞いた。私がバスに同乗していれば、運転者の異変に気付き、運転を止めさせるなどして事故を防ぐことができたのではないかと思っています」
部活の関係者によると、若山容疑者の運転がおかしくなったことに気付き、車内から親に連絡していた生徒もいたということです。
事故の数日前に、若山容疑者を見たという近隣住民は…
若山容疑者を知る近隣住民
「自宅の横を夜9時くらいに歩いている様子を見た。足を引きずって歩いていた」
“車を運転できる状態ではなかった”と話す人もいる一方、本人は逮捕前…
若山哲夫容疑者(逮捕前)
「(Q.これまでに事故を起こしたことはあるか)まったく無いです。(Q.これまでに事故はなかった)無いです」
しかし、関係者への取材で、若山容疑者がマイクロバスでの事故の前に、自分の車などで何度も交通事故を起こしていたことがわかりました。
先月下旬、若山容疑者の自宅の前には…
若山容疑者を知る近隣住民
「ボンネットがめくれ上がったような、いわゆる正面衝突したような車があったので、びっくりした」
その車は、新潟県内の自動車修理業者が若山容疑者に貸した代車でした。
修理業者によると、若山容疑者は先月24日にマイカーで事故を起こし、業者に修理を依頼。代車を貸したところ、4日後(先月28日)にその車でも事故を起こします。それに加え、今月1日、修理が終わった自分の車を取りに来る途中で、また事故を起こしたということです。
8日間で3度の事故…。修理業者の男性は若山容疑者がこの他にも事故を起こしていたと証言します。
自動車の修理業者
「最近この2か月ぐらい、やっぱり6~7回。自分の車を(修理に)持ってきては、代車を貸してやれば、その代車もめちゃくちゃにしてくるみたいなところがあった」
男性は、若山容疑者に「運転するな」と注意していたと話し、今月1日の事故の後には…
自動車の修理業者
「(若山容疑者が)『免許証を返納したい』と。それは良かったですということで」
「免許を返納したい」と話していた5日後、高校生の命を奪う重大な事故を起こしたのです。
自動車の修理業者
「高校生を乗せて6日に乗せる(運転する)ことがわかれば、私は警察でもどこでも行って止めた。『そんなことはするな』『絶対しちゃいけねえ』」
また、若山容疑者が運転していたマイクロバスは自家用車と同じ「白ナンバー」。基本的に有償で人を運ぶことはできません。
今回の事故をめぐっては、このバスが違法に金銭を受け取る、いわゆる「白バス」だったかどうかも焦点となっています。
会社側は会見で、若山容疑者に「報酬を渡していない」と説明しています。一方、学校側は10日、事故後、バスの中で“現金入りの封筒”が見つかったと明かしました。
北越高校 灰野正宏 校長
「蒲原鉄道の担当者から運転手に渡されたと思われる手当の封筒。(Q.いくらぐらい入っていた?)3万3000円です。手当、高速(代)、ガソリン(代)ですね。封筒の表書きに書いてありました」
さらに学校側がバス会社に依頼した内容についても“認識の食い違い”があります。
蒲原鉄道 茂野一弘 社長(6日)
「レンタカーを使って送迎をしたいというお話をいただいたので。普段からお世話になっていたので、レンタカーの手配と運転のできる人間を紹介して」
北越高校 灰野正宏 校長(7日)
「『北越高校がレンタカーの手配を依頼した』であるとか、『北越高校で運転できる者がいないので運転手の依頼もあった』と発言があったが、顧問によればこうした発言はしていない」
その顧問は、依頼したのは「貸切バス」だったと説明しました。
北越高校 ソフトテニス部 寺尾宏治 顧問(10日)
「私は4月11日に金子氏に今回の遠征のバスの運行を依頼した。バスは蒲原鉄道のバス、運転手は蒲原鉄道の運転手だと認識」
これについて取材に応じたバス会社OBによると、高校とは25年来の付き合いがあり、顧問とやりとりしていた営業担当の金子氏は「レンタカーをお願いされた」と話していたといいます。
バス会社OB
「金子(営業担当)の方から (顧問の)先生に電話で『大型バスいくら、中型バスいくら、マイクロバスいくら』『レンタカーいくら』と投げかけて、その返事が『レンタカーにお願いしたい』と。(Q.それは金子さんからの話?)そうです」
金子氏の「知り合いの知り合い」だったという若山容疑者。こうした人物を“運転手”にさせたことについて、OBは苦言を呈したといいます。
バス会社OB
「注文を受けてから5月6日までの間にどんな人かは一回でも会っていたら変わってたと思うので、そこは金子を責めた。(金子氏は)『大変申し訳ない。配慮足りなかったです』と」
高校側と会社側の主張に隔たりがある中、国土交通省・北陸信越運輸局は11日午後、「白バス行為」などの疑いで蒲原鉄道に監査に入りました。
運輸局は今後調査を進め、法令違反の有無や行政処分の対象になるかを判断する方針です。
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