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「衆議院の議員定数削減」法案 与野党の攻防激しく…成立は困難 自民と維新で温度差も 今後の行方は【Nスタ解説】

国内
2025-12-11 21:21

国会が会期末に迫るなか、最大の焦点となっている「衆議院の議員定数削減」法案。与野党の攻防は激しさを増し、成立は困難な状況になっています。一体、何が起きているのでしょうか。


【写真で見る】「やるんだったら12月中」と話す維新・吉村代表


議員定数削減法案 国会渋滞で成立困難に

高柳光希キャスター:
今の臨時国会の会期末は12月17日となっています。定数削減法案が提出された12月5日から1週間が経過していますが、未だに審議入りしていません。なぜ時間がかかっているのでしょうか?


TBS報道局 政治部 青木孝仁:
定数削減について議論する国会の委員会では、すでに3日から企業・団体献金などのあり方を含めた政治資金について審議入りしていて、議論が渋滞している状況です。

国会では「先に審議入りしたものは、先に結論を得る」という原則があるため、▼与党側は一刻も早く政治資金の採決をした上で、定数削減の法案を審議入りしたいのですが、▼野党側は審議入りにはまだ時間が必要だとしているため、折り合えていないという状況です。

15日にも政治資金の問題で委員会が決まっているので、会期末が17日と考えると、今は審議入りすら見通せていない状況であると言えます。


「成立“目指す”」定数削減法案が動かない理由

高柳キャスター:
法案が渋滞していて、最後尾に議員定数の削減があるということです。


日本維新の会の藤田共同代表は10日、「提出したら終わりって思ってるんですかね。提出したからには成立させようと、全力ですべての関係者が取り組んでもらうことが当然」と発言しています。

自民と維新が連立を組む際、「議員定数の削減」はマストだったのではないかというところですが、自民・維新の連立の合意文書には「『1割を目標に』衆院議員定数を削減するため、今の臨時国会で法案を提出し『成立を目指す』」とされています。

「目指す」というのがキーワードで、法案提出自体はマストですが、「成立」はあくまで“目指す”ということです。

自民と維新の間には、温度差があるのでしょうか。


TBS報道局 政治部 青木孝仁:
連立合意文書の解釈の違いもあり、自民党と日本維新の会に温度差があるようです。

自民党内からは、「法案提出までで、会期中の成立は厳しいのではないか」といった声が出ているのに対して、維新の会からは「法案を出したからには提出(成立)する」という立場の違いが表れています。


TBSスペシャルコメンテーター 星浩氏:
永田町では「○○を目指す」という表現は、「実際にはやらない」という解釈が相場です。

問題の一つは、元々、維新が言っていた政治とカネの問題を、議員定数削減に論点をすり替えたことです。また、法案が通らない場合は、1年後に自動的に45人削減するというかなり乱暴な法案なので、「いくら何でも乱暴過ぎる」という与野党の認識が広がっているという点もあります。

さらに、自民党の中には本気で行う気がないというのが現実で、結果的には今の臨時国会では動かないということになると思いますね。


井上貴博キャスター:
結局、合意文書の時点でゴールは決まっていたのだろうなという感じがします。

13年前には当時総理だった野田氏が、定数削減をやろうと言っていました。結局、立場を変えて、みんなやりたくないのだろうと思ってしまいます。


TBSスペシャルコメンテーター 星浩氏:
13年前は増税とセットで、“身を切る改革”として必要だという議論があったと思いますが、今回は日本維新の会の主張に振り回されているということです。

私はメディアの責任についても考えています。国会議員は居眠りや賄賂を受け取ったことなど、悪いことばかり報じられがちですが、私が見てきた実感では、かなり多くの議員が真面目に勉強して質疑をしています。

そういう部分が報じられないために、「国会議員は少なくていい」という世論形成に繋がっていると思います。メディアにも少し考えてもらいたいところです。


井上キャスター:
維新などはまず自ら身を切ってくれと言っていて、これぐらいできない人間に日本の改革なんてできないだろうというのは一定の説得力がある気がします。


TBSスペシャルコメンテーター 星浩氏:
“身を切る”のであれば歳費を削るなどもありますから、ちょっと体育会系な議論だとも感じます。


定数削減で揺れる維新 連立解消はあるのか

高柳キャスター:
維新にとっては、連立合意の絶対条件だった議員定数の削減。成立しないとなると、連立解消はあり得るのでしょうか。


TBS報道局 政治部 青木孝仁:
維新の中には今、さまざまな意見があります。

今国会で結論が得られないのであれば、連立を解消すべきだという声があるほか、「定数削減が実現しないなら解散すべき」と強気の姿勢を見せる議員もいます。

その一方で、連立合意は一つの政策だけではなくて、ほかの項目でも自民党と合意しているので、そうした政策を実現するために連立は維持した方が良いのではないかという声も上がっています。

吉村代表は、記者に対して「審議入りして採決をするべきだ」と連日強調しています。

連立解消という点については、核心に触れていないので何とも言えませんが、会期末に向けてどんどん動いていくので、これからの動きに注視しているのかなというところです。


高柳キャスター:
連立解消となると、高市総理はどう動くのでしょうか。


TBS報道局 政治部 青木孝仁:
補正予算は野党の公明党と国民民主党が賛成しましたが、通常国会で、もしも自維が連立を離脱すると、少数与党で石破政権のような苦悩・戦略を強いられることになるため、自民党としても痛いのではないでしょうか。


TBSスペシャルコメンテーター 星浩氏:
維新もこの問題だけで連立離脱するという覚悟はあまりなく、むしろ政策を実現したいということがあると思います。高市総理もこれで解散するという乱暴なことはできないので、ここをどうやって収めるかというところです。

残念ながら、両党にそれをうまく繋ぐ人がいません。

仮にできなかった場合、維新も「自民党のせい」「野党のせい」と言うのではなくて、自分たちに国民世論を説得する力が不足していたということを考えてもらいたいです。


井上キャスター:
今の状況下で、維新は極めて難しい立場ではないですか。センターピンだと言い続けたものができなかったときにどう動くのでしょうか。


TBSスペシャルコメンテーター 星浩氏:
元々維新は全国展開をしようとして失敗し、大阪中心に戻ってきている最中に連立問題が起きました。

その問題と定数削減というのは、センターピンをいかにアピールするかということでしたから、アピールポイントがなくなることになり、そういう点では痛いと思います。

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<プロフィール>
青木孝仁
TBS報道局政治部 与党・維新担当
維新の連立入りに伴い野党担当から与党担当に

星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身 政治記者歴30年


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